ブレア不人気の理由?

英国では、労働党の勝利によりブレアが3期連続で首相を務めることになりましたが、これはサッチャー以来の事です。最近はどうも人気低落が激しいですが、それを上回る野党の不人気に助けられたともいえます。
日本ではイラク戦をブレア首相不人気の理由にしている報道が多いようですが、もちろんイラク戦も大きなきっかけになったとはいえ、ブレア首相の人気低落にはもっと本質的な理由があります。
Economistは最近の特集記事の最後を以下のように締めくくっています。
Britain is disappointed with Mr Blair and New Labour simply because it is tired of the party’s remorseless, pathological, high-pressure salesmanship. Circumstances surrounding the party’s rebirth decreed it had to be that way.
英国人がブレア氏と新たな労働党に失望したのは、単に彼らが労働党の情け容赦のない、病的なまでの(政策の)押し売りぶりに嫌気がさしたからである。労働党の再生をとりまく状況から、労働党はそうせざるを得なかったのであるが。
労働党の再生とは1997年に保守党から政権を奪取する前の数年間に、当時の新リーダーであったブレアが完全に機能不全に陥っていた労働党を政権を取れる党にまで立て直した事を指しています。
労働党が政権党としてやっていくためには、保守党の政策をある程度継承する必要がありました。そうすると必然的に反保守党の旧労働党支持層の離反を招くため、保守党から継承した必ずしも革新的ではない政策も「極めて革新的」な政策であるかのように激しい宣伝を行わねばなかったわけです。この結果として生じた「実質」と「宣伝」の大きい乖離はその後もずっと労働党政権の特徴であったわけですが、それがブレア首相の人気低迷の理由であるとEconomist紙はしています。
ただ、Economist紙は「実質」と「宣伝」の乖離は労働党が政権党となるために必要なことであったとし、またその「実質」自体も「宣伝」とは全く異なっていたとしてもそれほど悪いものではなかったとして、その乖離自体にはそれほど批判的ではありません。ここらへんが「政策本位」の批評が多い英国の出版物らしいところとも言えますが(タブロイド紙はそんなことないですが)・・・
And it need not subtract much, if anything, from history’s verdict on Mr Blair. If he has succeeded, after all, in consolidating centrist politics within the Labour Party, and hence in the country, that will be something to be proud of. Has he? In all likelihood, yes—though it will take a full term of Labour in power under a different leader to be sure.
そして、その事自体はブレア氏に対する歴史の評価を貶めるものではない。結局のところ、もしブレア氏が労働党の中で、ひいては英国の中で、中道的な政策を確固たるものにするのに成功したのであれば、これは誇りとするに十分なことである。彼は成功したのだろうか?その答えはほとんど確実にイエスである。ただし、それを確信を持って言うには、ブレア氏以外のリーダーに率いられた労働党政権による4年間(1期)を見てみる必要があるが。
ブレア首相はおそらく今度の任期4年間の途中で退くことになると思いますが(次の選挙を違うリーダーで戦うため)、次の労働党リーダーはゴードン・ブラウン氏がほぼ確実視されています。ゴードン・ブラウンはどちらかというとブレア首相よりも旧来の労働党支持層に近いと言えますが、ブレア首相並みに右と左の間の矛盾を器用に取り扱えるかどうかは疑問です。それが記事の最後のセンテンスに表れていますね。
ところで岡田さんも小泉首相のパフォーマンスを批判しているようでは政権は遠いのではないでしょうか?ブレア並みの「パフォーマー」でないと野党が政権党に生まれ変わるのは難しいと思いますが・・・