マサチューセッツで米民主党大敗

故ケネディー上院議員の逝去に伴うマサチューセッツ州の上院補欠選で米国の民主党が事前の予想通り敗北を喫した模様です。

マサチューセッツ州は、投票人口の37%が民主党支持、わずかに11%が共和党支持、51%が無党派という構成で、民主党にはショックな結果でした。大統領選でオバマを圧倒的に支持した無党派が大挙して反対に回ったと見られます。

民主党左派の尻馬に乗るのではなく、中間派の声を聞いた方が良いのでは?というFTのClive CrookのBlogエントリーから。

Instead of listening to the left of the party, which wants him to toughen up his anti-capitalist line, I’d like Obama to listen to the independents who seem to have shifted in droves to the Republican side in Massachusetts. Hear the message this way:

大統領に対して反資本主義的な路線の強化を望んでいる民主党左派に耳を傾けるのではなく、オバマ大統領には、マサチューセッツ州で共和党側に大挙して流れたように見える無党派の言い分に耳を傾けて頂きたい。無党派のメッセージを次のように聞いて欲しい:

“You promised to change the way Washington works. You promised to force the parties to work together, and to make policy in the open. You promised to stop the back-room deals. You broke your word.

「あなたは、ワシントンの政治のあり方を変えると約束した。あなたは両政党に協力させ、公の場で政策を立てると約束した。あなたは密室での取引を止めると約束した。そして、その約束を破った。

You surrendered your leadership to partisan Democrats. You went along with their stimulus plans, and you are ready to go along with their healthcare reform. You gave us a crippled, polarised Congress, and political horse-trading at its most squalid. Do something about it.”

あなたは自分の指導力を党派的な民主党に委ねてしまった。あなたは党派的な民主党の景気刺激策に乗り、今度は党派的な民主党のヘルスケア改革に乗ろうとしている。あなたが私たちに与えたのは機能不全で二極に分断された議会と、見下げ果てた政治的な駆け引きだった。それをまず何とかしてくれ」

私の周りは支持する政党に関わりなく中道派がワリと多いのですが、民主党の政策に少しでも疑問を呈すると、右翼のアホか、右翼のアホに洗脳されたアホか、人種差別主義者かネオコンか、というように左派から攻撃されるだけでなく、大統領までその尻馬に乗って同じようなことを言う状況に白けてる人も結構いるように思われます。ここらへんが米国の「サイレント・マジョリティ」だという気もするのですが。

日本の総選挙

Financial Times 8/28

今期の衆院選挙は政権交代にもかかわらず、前回の衆院選挙に比較して海外でもクールな報道が目立っているように感じます。今回は選挙直前の記事ですが、FTの名物コラムのLexから。

As far as markets are concerned, nothing really changes. In a hidebound society, addicted to foisting bleeping gizmos on a saturated market, reform comes in tiny increments.

(民主党の勝利にもかかわらず)マーケットに関する限りは、実際には何も変わらない。飽和した市場で押し付けがましい電子音を発するケータイに夢中な守旧的な社会においては、改革は少しずつしか行われない。

For the DPJ, which has never governed, overcoming that impression of stagnation won’t be easy. Japan is the world’s most indebted major economy, on both a gross and net basis, with one of the biggest fiscal deficits.

民主党に関していえば、行政の実績はなく、経済停滞の印象を払拭するのは容易ではないだろう。日本はグロス・ベースでもネット・ベースでも世界最大の債務を抱えており、財政赤字も世界で最高の水準にある国の1つである。

In spite of all that, some kind of rally may be on the cards. On a price/book basis, the Nikkei is cheaper than its historic range. (snip) But no one should mistake a bounce for a conviction that Japan is about to haul itself out of its profound slump. Investors are too attuned to disappointment for that.

それにもかかわらず、(株式市場の)一定の上昇の可能性はある。PBRのベースでは日経平均は過去のレンジを下回っている。しかし、この上昇を日本が深い不振から這い上がるしるしであると誤解する者はいないだろう。投資家は(日本が変わらないという)失望にはあまりに慣れきっている。

「変わらない日本」には、市場もあまり関心はないというところでしょうか。強いて良い点をあげるとするなら、日本はほとんど政権交代がないという特異な国だったので、こういう明確な選挙結果で政権が変わるということ自体はある程度は印象的にポジティブなことかもしれません。

北朝鮮、米国と交渉の用意って・・・

Financial Times, The New York Times 7/27

ミサイルやら核実験やらで交渉どころではなかった北朝鮮ですが、同国の核兵器をめぐる問題を解決するための米国との2国間交渉に前向きであるとのコメントを発表した模様です。

(Financial Times 7/27)

”As a party concerned, we know what should be done to resolve the problem far better than anyone else,” North Korea’s foreign ministry said. ”There is a specific and reserved form of dialogue that can address the current situation,” it added obliquely.

「我が国は当事者として、問題解決のために何がなされるべきか、他のどの国よりもはるかによく熟知している」と北朝鮮の外務省は述べた。そして同省は「この状況に対処できる、特別な対話の形態がある」と遠回しに付け加えた。

「特別な対話の形態」とは北朝鮮が求め続けている米朝二国間協議であることは明らかです。ちなみに6カ国協議に関しては、明確に拒否しているようです。

(The New York Times 7/27)

But a fundamental rift remains: The Obama administration has indicated it would be willing to engage the North in direct talks only if the North agrees to return to the six-nation talks that involve the United States, China, Japan, Russia and the two Koreas.

しかし、根本的な相違点は残っている。オバマ政権は、北朝鮮が見返りとして米国、中国、日本、ロシア、南北朝鮮を含む6カ国協議への復帰を合意する場合に限って、北朝鮮との直接的な協議に応じると示唆している。

いずれにせよ、現状では「米朝協議」は手の届く範囲で、「6カ国協議」だけが主な争点という感じで、「検証可能で不可逆な核兵器開発の放棄」で揉めていた頃と比較しても、結局ミサイル実験やら核実験で欲しい物を手に入れつつあるのは北なのではないかという気がいたしますが・・・

自民崩壊へ・・・

The Economist 7/16

海外でも最近ちらほら日本の総選挙の話題を見かけます。今回は英国のThe Economistから。

For all his mistakes, Mr Aso is only a symptom of the party’s steep decline. He is the fourth prime minister in as many years. The LDP has come to the end of the line. It has no ideas, no cohesion and is covered in sleaze. Fathers hand down seats like family heirlooms. Policy is secondary to plotting.

麻生首相の過ちも確かに多かったが、麻生氏は自民党の急激な没落の1つの症状でしかない。同首相は4年間で4人目の首相である。自民党は終着点に達した。自民党にはもはやアイデアもなければ、求心力もなく、頽廃している。議席は相続財産のように受け継がれている。政策は政略の二の次となっている。

The Economistはもともと経済自由主義を掲げている雑誌ですから、民主党を評価しているわけではありませんが、日本の政策決定プロセスのオーバーホール、そして政権交代の可能性が出ることにより野党にも良い政策を提案するインセンティブが生まれるという面で、政権交代は日本にとって長期的にプラスではないかとしています。

インドで大規模なテロ・・・

Times 11/27

インドで大規模なテロが発生しました。インドでは今までにも比較的多くのテロがありましたが、今回は外国人スポットに標的を絞った攻撃で、今までのテロとはやや異なっています。

British security and intelligence sources said there had been increasing concern, particularly in the United States, that a “terrorist spectacular” was on the cards.

英国の治安/諜報筋によると、特に米国において、「派手なテロ」の可能性があるとの懸念が高まっていた。

The multiple attacks on Westerners in Bombay last night showed all the signs of an al-Qaeda strategy — picking on vulnerable Western “soft targets” but not in a country where there would be maximum security.

昨夜のボンベイにおける西洋人に対する一連の攻撃は、アルカイダの戦術の特徴のすべてを示している — すなわち、治安対策が最高水準ではない国において、脆弱な西側の「ソフト・ターゲット」を狙うという戦略 である。

ということで、旧宗主国の英国では、今回の攻撃は2002年のバリ島でのテロなどの系列に繋がるものという見方があるようです。今回攻撃の対象となったホテルは、海外を飛び回るビジネスマンならば一度は泊まったことがあるのではないかと思います。亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

麻生内閣:「真剣なはずない?」

Economist誌9/27にちょっと面白い麻生内閣の記述があったのでちょっとだけご紹介。麻生内閣の布陣がすぐに総選挙をやることしか考えていないのではと言う記事です。

With the chief exception of Kaoru Yosano, a fiscal conservative reinstated as economy minister, the cabinet talent is astonishingly thin. Mr Aso cannot be serious.

経済財政相に再任となった与謝野馨氏を主な例外として、内閣は驚くほど能力を持った者に欠けている。麻生氏は真剣とは考えられない。

Shigeru Ishiba is a defence expert, but he has been put in charge of farms. Hirofumi Nakasone, the new foreign minister, is notable chiefly for being the son of a former prime minister. The new internal-affairs minister is Kunio Hatoyama, another grandson of a prime minister, seen even by his friends as the most incompetent justice minister in memory.

石破茂氏は防衛関連のエキスパートだが、農林水産省担当とされた。新外相の中曽根弘文氏は、元首相の息子ということだけである。総務相の鳩山邦夫氏は、これまた元首相の孫であり、友人からでさえ思い出せる限りで最も無能な法務大臣であったと見られている。

いや、面白いですが無茶苦茶ですねぇ。相変わらず。次に中川昭一氏との会見について書いておりますが、同氏のことを「麻生氏と同様の潜在的な財政破壊者」と書いた後、

Japan needs more women in the workforce, but Mr Nakagawa has said that they have their “proper place” and their “own abilities” in, for example, “flower arranging, sewing, or cooking”. Countering this view has been left to Yuko Obuchi, 34-year-old daughter of another prime minister, who is in charge of reversing Japan’s declining birth rate.

日本ではより多くの女性が働く必要がある。しかし中川氏は、女性には「ふさわしい場」と「特有の能力」(例えば「お花、裁縫、料理」)があると述べた。この観点に対抗する役目は、またまた別の首相の34才の娘である、日本の出生率の低下への対策を担当する小渕優子氏にゆだねられている。

もともと皮肉なEconomistですが、ここまで皮肉なのは最近珍しいような気もしました。そして最後に一発

Mr Ozawa’s hopes for an upheaval look entirely plausible.

小沢一郎氏の政権交代の望みは十分にあり得る話であるようにみえる。

はは。

「聖火リレーなんかやめちまえ」と英誌

日本でも善光寺が聖火リレーの出発点を辞退して話題になっているようですが、先週のEconomist誌は「聖火リレーなんかやめちまえ」と題した記事を載せていました。

An exercise intended to flaunt the new, outward-looking and confident China has displayed its dark side: nervous, repressive, prickly and stubborn. That stubbornness may rule out the obvious remedy: calling the whole farce off before someone is badly hurt.

新しい、外向きで、自信に満ちた中国を誇示するための行事は、神経質、抑圧的で怒りっぽく、頑固という中国の暗い面を示すことになった。この頑固さにより、誰かがひどい傷を負う前に、この茶番劇全体を止めるという明白な解決策も無理なことかもしれない。

To accuse China’s critics of “politicising” a sporting event is nonsense. What has the relay to do with sport? It is not some timeworn practice integral to the games. Rather, the idea of a relay from Greece to the Olympic venue was revived by the Nazis for the 1936 Berlin Olympics, which is hardly a precedent China wants to advertise.

中国に対する批判者に対して、スポーツ・イベントを「政治利用」していると攻撃するのもナンセンスである。聖火リレーとスポーツには何の関係もない。聖火リレーはオリンピックに必要な古来からの行事ではない。それどころか、ギリシャからオリンピック会場まで聖火をリレーするというアイデアは、1936年のベルリン・オリンピックのためにナチが復活させたものである。これは中国が宣伝に使うことを望むような前例ではあるまい。

ベルリンのことは迂闊にして知りませんでした。まぁ、確かに「しなくてはならいもの」とは言えないような気もしますが、そうはいかないんでしょうねぇ。事故が起こらないことを願いますが・・・

混迷深めるミャンマー

ミャンマーでのデモに対する強硬な取り締まりでとうとう死者が出たようですが・・・

27日付Telegraph.co.uk

By the end of the day, two monks and a civilian were reported to have been killed and dozens injured by soldiers and armed police wielding batons and rifles.One of the monks was beaten to death with rifle butts, witnesses said. The true death toll may be much higher.

Western leaders called for tough new sanctions on the regime to stop the bloodshed but with Burma’s allies Russia and China able to veto any resolution by the United Nations Security Council, the chances of immediate action appear slim.

この一日で、2人の僧侶および1人の市民が、兵士や警棒とライフルを振るう武装警官により殺害され、数10人が負傷したと伝えられている。僧侶の1人はライフルの銃床で撲殺されたと目撃者は語っている。実際の死者はこれよりもはるかに多い可能性がある。

西側諸国の指導者は、流血を止めるために新たに厳しい制裁を求めているが、ミャンマーの同盟国であるロシアおよび中国が国連安保理のいかなる決議にも拒否権を発動できるため、緊急の措置がとられる可能性は低い。

大昔にミャンマーで散々悪行を尽くした英国あたりが、ミャンマーの民主化などと言ってるのはシラけるところも無くはないのですが、これは極めてマズい状況であることは確かです。ところで米国や英国では軍事政権が1989年に行ったミャンマーへの「改名」を認めていないので今でも記事などでは「Burma(ビルマ)」となっています。

また、こういう場合における国連の機能不全も極まっているという感じもします。日本の民主党あたりも「国連のオーソライズ」というロジックに頼るのはそろそろ止めた方が良いのではないでしょうか?

29日追記;最大級の援助国の1つである日本の首相は、自国の民間人が殺されても「いきなり制裁すれば良いというものではない」だそうなんですが少し理解に苦しみます。「結果として、ミャンマーが中国にだけ傾斜していく姿が本当にいいのか」(町村官房長官)だそうですが、中国と一緒になって軍政を支える姿が良いのでしょうか?

柏崎刈羽:IAEAの調査完了・・・

中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発に対するIAEA(国際原子力機関)の調査が終わったようです。日本の新聞では「全く問題ない」というようなことしか報道されていないようなのですが・・・

BBC 8月10

Mr Jamet told reporters that further tests were needed to assess the full extent of the damage to the Kashiwazaki-Kariwa power station. “This is one of the tasks in the following months, year, I don’t know, to be carried out if this plant is to be restarted,” he said, following the six-member IAEA team’s inspection of the site.

ジャメ氏はレポーターに対して柏崎刈羽発電所の被害の全容を評価するには、さらにテストが必要であると述べた。同氏は「発電所を再開するのであれば、このテストが今後数カ月になるか、何年になるかは分からないが、行われるべき作業の1つだ」と6人のIAEA のチームによる施設の調査の終了後に述べた。

BBCだけではなく、全般的に「IAEA、原発の再開に対して慎重を求める」という見出しが目立ちます。いくらなんでも「スシも食ったし安全」というだけではちょっと報道の怠慢なんでは?

Bloomberg 810

Tokyo Electric Power Co. needs to exercise caution before deciding to restart the world’s biggest nuclear power plant that was shut after a July 16 earthquake led to radioactive leaks, an international agency said. “It’s not something you can do very fast,” Philippe Jamet, director of the International Atomic Energy Agency’s safety division, told reporters in Tokyo.

東京電力は7月16日の地震により放射能漏れを起こした世界最大の原発の再開を決定するには慎重を期す必要があると、国際原子力機関は述べた。「それは、それほど早く決定できることではない」と国際原子力機関の安全部門ディレクターであるフィリップ・ジャメ氏は述べた。

事故後の報道が少ないのも気がかりです。私は原発反対ではないですが、国にせよ、東電にせよ最低限の透明性も保てないのであれば、それはまた別のハナシになります。

自民大敗

Financial Times 7月29

自民党の大敗に関しては海外のメディアも結構伝えていますが、日本の読者にとって別に目新しい視点は今のところ見られない様な気がします。敗因を比較的コンパクトにまとめていたのがFTでしょうか。

First, his cabinet has become mired in a series of political scandals, many involving dirty money, which called into question the prime minister’s judgment and leadership.

第一に安倍内閣は、多くは不正な金にまつわる一連の政治スキャンダルにはまり込んだが、これらのスキャンダルでは首相の見識とリーダーシップが問われた。

「Judgment」は「判断」、「判断力」ですが、ビジネスの世界でもそうですが「Judgment」が弱いという評価はほとんどアウトと言う評価です。それに加えてリーダーシップが問われるというのは、平たく言うとリーダーとしての能力に疑問符がついたということです。

Second, Mr Abe has sorely lacked the charisma of his popular predecessor, Junichiro Koizumi, and has failed to convince the public that they should share his political convictions.

第二に、安倍首相には、人気のあった前首相の小泉純一郎氏のようなカリスマが痛々しいほど欠けており、同首相の政治的信念に対して国民の同感を勝ち取ることができなかった。

これは、教育改革や、憲法改正、戦時中の罪の否定などを指していますが、安倍首相はこれらのアジェンダを国民に納得させるだけの能力に欠けていたとの分析です。

The final straw for Mr Abe’s administration was an admission that the government had lost 50m pension records. Although the prime minister was not directly responsible for a problem dating back 10 years, his government’s lacklustre response poured fuel on already flaming passions.

安倍首相に対する最後の一撃は、政府が5,000万件の年金記録を紛失したということであった。同首相は10年も遡る問題に対して直接の責任はなかったが、同首相の政府のまずい対応は、既に高まっていた怒りに火を注ぐものだった。

英国のPMQ(英国国会で首相に対して野党党首や議員が、事前のシナリオなしに質問や批判を浴びせかけることのできる週一回の議事)などを見ていると、政権側に対して良く出てくる批判が「Incompetence(無能)」というものですが、安倍政権にも当てはまる言葉であるように思います。