2009/7/28 火曜日
市場は、7月10日から切り返しており、夏にある程度調整が入ったところで拾おうと待ち構えていた向きには拍子抜けとなっているようです。今週のBarronsでは、上昇は(当面は)続くという記事で、以下のような数字を挙げています。
7月10日から先週木曜日までの期間において、S&P 500構成銘柄で:
- 最小型株50銘柄が17.2%上昇し、最大型株50銘柄を7.5%アウトパフォーム
- 最も空売残の多かった50銘柄が、最も空売残の少なかった50銘柄を8.8%アウトパフォーム
- アナリストの格付けが最低の50銘柄が、最高の50銘柄を3.8%アウトパフォーム
- PER最低の50銘柄が18.4%上昇で最高のパフォーマンス
- 6月の調整で最も下落幅の大きかった50銘柄が17.4%の上昇で、調整期のベストパフォーマー50銘柄を10%アウトパフォーム
- 85%の銘柄が50日平均を上回っている
5番目の項目は単に平均回帰的な動きと解釈できますが、最初の4項目は明らかに今回の上昇の質が悪く、安くて小型のトリッキーな銘柄が上昇を支えていることを示しています。さらに、6番目の項目は市場がすでにかなり上昇していることを示していますし、付け加えると今回の上昇は出来高の大きい増加を伴っていないという面で弱々しいとも言えます(いや、何でこれで「上昇は当面続く」という結論になるのか、よう分かりませんが)。
というわけで、フツーなら凡フライで終わりそうな話ですが、先週末までの業績発表でコンセンサス予想を上回った企業が77%と業績発表が好調な点(単にコンセンサスが低い面も大きいんですが)と経済統計の上昇気流(こちらはある程度本物)に煽られて、久々にセルサイドの鼓笛隊も賑やかになってきており、2010年の利益予想がかなり引き上げられてきています(のおかげで予想PERもかなり下がっています)。
まぁ、この方々は、もともと2009年の利益予想をどん底まで引き下げていた人達なんですが、この利益予想の引き上げで、S&P 500はあと26%は上がるというような勇ましいラッパも聞こえています。月曜日はインデックス自体は大幅には変わりませんでしたが、ダウの輸送セクターが上昇するなど、新たな強気の動きも見えました。
今週は今日のコンファレンス・ボードの消費者信頼感、明日の耐久財受注データ、木曜の失業給付申請、金曜にとどめのGDPとシカゴPMIという感じで揮発性の爆薬が詰まっているので、これらの数字次第では、また新たな「お囃子隊」が繰り出す可能性もありそうです。
2009/7/20 月曜日

先週は、ロボット関係の「爆弾ニュース」で騒ぎが起こって、メールボックスが破裂しそうになるということがありました。
問題の発端になったのは、いつもお騒がせのFoxニュースで(記事はもう差し替えられていますが)、「次世代の軍事ロボットは死体がエネルギー源になるかも」というトンデモ・ニュースでした。これをCNETやらの他のテクノロジー関連のニュースサイトがカバーして大騒ぎになりました(例えばWiredにはこんな記事がのってます:リンク )。
これは、もともとPopular Scienceが、Robot Technology Inc.とCyclone Power TechnologyがDARPA関連で開発の発表を行ったEATRという軍事ロボット(いや、確かに「イーター(食う奴)」という感じで薄気味の悪いネーミングですが、Energetically Autonomous Tactical Robot「エネルギー的に自律的な戦術ロボット」の略です)のハナシを取り上げる際に、P. Singerの新しい本の「Wired for War
」から「草、朽ち木、家具、死体などの有機燃料源」というフレーズを引用したのが悪くて、その話がアタマの線のもともと大混線しているメインストリームのメディアの記者の脳内で結合してしまったようです。
たまらなかったのが、EATRを開発した両社で、とうとう木曜日に「EATRは厳格なベジタリアンなので、心配はありません」という間の抜けたプレスリリース(PDF)を行う羽目になりました。
市場関係のニュースでも最近、ゴールドマンサックスの取引用のコンピューター・プログラムが盗まれたニュースやダークプールでの取引が増えている件などで、ことさら「テクノロジーの脅威・悪用」みたいなことを囃し立てる質の低いニュースが増えているのですが(いわゆる「HFT」などのコンピューター・ドレーディングと、ダークプールなどのハナシはまったく別の次元の話です。後者には潜在的にマズいことがあり得ます)、一般的にテクノロジー関係のトピックを咀嚼する能力が落ちている兆しであるとすると、少し懸念される状況であるような気がします。
2009/7/16 木曜日
ここの数日の上げで、S&P 500は6月12日のピーク以来の短期的な下落トレンドを上に突き抜けています。これが、一時的なフェイクなのかどうかまだ分かりませんが・・・
米国企業の第2四半期の業績発表がそこそこコンセンサスを超えてきていることは確かですが、コンセンサス予想自体が劇的に引き下げられていることを考えると(現時点での第2四半期のコンセンサスEPSは、2008年の末時点からは3割近く引き下げられており、3月の市場の底時点から見ても5%引き下げられています)、全般的にはまだファンダメンタルよりも「ムード」の市場であることには違いありません。
ただし、今週は現段階で最も注目すべき工業生産がユーロ圏で(コンセンサスは下回りましたが)前月比でプラスに転換し、米国でも前月比でほとんど下げ止まるなど、経済の底自体が上がっていることは確かなように思われます。

2009/7/7 火曜日
米国市場は、S&P 500が6月12日に946の高値を付けた後、また目先は調整のパターンに入りつつあるとしている向きも結構あるようです(市場はそこそこ抵抗力を見せていて、加えて2Qの発表という不確定要因もありますが)。過去1年間の弱気市場では、4回ほどある程度の上げがあり、その後下値を試す(テスティング・フェーズ)パターンになっています。
今はGluskin Sheffにいるデビッド・ローゼンバーグさんが、「転ばぬ先の杖」ということで、この過去1年間における「ベア・ラリー」後の下げの期間に関する簡潔なサマリーを書いていたので、ちょっとそれをさらに要約・・・ もしS&P 500が875-880あたりを割ってくるような展開があった場合には役に立つかもしれません・・・
- ベア・ラリーの後の調整期間の平均的な長さは53暦日(38営業日)、一方で「ベア・ラリー」の長さは45暦日(33営業日)
- S&P 500は平均で20%強の調整(現在は6月12日から5%の調整)
- 上昇期にリードしたセクターの調整が最も大きい。したがって今回ならば、金融、一般消費財、素材、資本財がアンダーパフォーム、一方でヘルスケア、生活必需品、公益、通信がアウトパフォームする可能性がある
- ボラティリティは平均で倍以上になっている
- 債券が上昇。10年物国債の利回りは平均で15bp低下している
- 安全への逃避により、カナダ・ドルは平均で10%調整、貿易加重での米ドルは6%以上上昇
- コモディティは平均で15%下落
- 社債スプレッド(Baa)は平均で60bp以上拡大。ハイイールド・スプレッドは平均で300bp以上拡大するため、高格付け債が良い(逆にベア・ラリーではハイイールド債が大幅にアウトパフォーム)
- 金(ゴールド)はベアラリー中も、その後の下落期も極めて堅調 -> 金は依然として長期的な強気市場の可能性
サマリーとして、調整があれば、ヘルスケア、生活必需品、公益、高格付債、米ドルが良い
とのことです。個人的には、新興市場がつられて15%ほど押すことがあれば、良い拾い場なのではないかと思います。
2009/7/3 金曜日
このところ、結構なペースで雇用者数の減少ペースが鈍化していたので6月の統計はショックと言う向きも多かったようです。
しかし、過去においても大幅な不況の後の失業率は、不況の「公式」な終了後も10-12カ月は悪化し続けるのが普通ですから、まだ不況まっただ中の現時点で大幅な改善を予想するのは期待の行き過ぎのように思われます。
株価に関しては、その「行き過ぎ」た期待をある程度(相当程度)織り込んでいるわけですが、現在S&P 500は880前後のかなり強い支持線と950前後の抵抗線の間にはさまれています。
ここでどちらにブレークするにしても、夏から秋にはやや大幅な調整があり、来年前半の相場に向けて良い「買い場」になる、という向きが多いようです。
いずれにしても、財政刺激のお金もまだほとんど使われておらず、最も頑健な先行指標である工業生産がある程度上向いてきているので(下図)、底抜け(3月の安値更新)というシナリオの可能性は低いように思われます。
しかし、関係ないですが、カリフォルニアは結局グロースの先見の明ということになるんでしょうねぇ。
下のグラフは米労働省統計局のリリース(PDF)から

下のグラフはJPMorgan Manufacturing PMIのOutput Index(プラスに転換)とInput Price
