2008/10/29 水曜日
コンファレンス・ボードの10月の消費者信頼感指数は38.0と、9月の61.4(修正後)エコノミストの予想の52程度を大きく下回ったようですが、株価の方は相変わらず気ままな(笑)ジェットコースターのようにダウは+890で引けました。
過去のデータでは、信頼感指数の底と、株価(S&P500)の底は大体前後2-3カ月の幅で一致しているようですが、今回はどうなんでしょうか。(過去と言ってもサンプルが数回だけですからあまり当てになりませんし、10月の信頼感指数が底かどうかもまだ分かりませんが。)
ところで、信頼感指数の方に関しては報道だけみてると何か良く分からんという典型のような気もします。
例えば、10月の調査でもほとんど10%近い回答者が現況は良いと回答し、半分は普通だと答えています。もちろん現況が悪いと答えている人の割合が増えているわけで、38%に上昇しているのですが、6割が「良い/普通」で4割が「悪い」というのは、それほど悪いんでしょうか(最近は「現況が悪い」のは1割台が普通だったので、選挙を前にして共和党にとっては非常に悪い数字であることは確かですが)。
実際に大幅に下がっているのは今後の予想です。ただ、予想は当てにならんというのは誰でも同じですが、特に消費者の先行きに対する感覚は大きくぶれ易いところがあります(ほんの1年くらい前には大多数が先行きは良くなるとか安定しているとか答えていました)。
1980年代には状況が悪いと回答していた人が6割近くに達していた月もあったわけですから、現時点では少なくとも天が落ちるとか、地面が割れるとかには程遠い、というのが米国の消費者の状況の様な気がします。
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2008/10/28 火曜日
EU-15の会議にユーロとは「よそ者」のブラウンを引っ張り込んで救済策をまとめたと思ったら、どう見ても不可能なEUの「経済政府」構想をぶちあげたり、G8議長国の日本なんか完全に無視して金融危機サミットの開催をブッシュに押し付けたり、相変わらずのサルコジさんですが、この超はた迷惑なおじさんに興味のある人にはなかなか面白いのがフランスの劇作家/脚本家のYasmina Reza女史が書いたL’aube le soir ou la nuit(英題:Dawn, Dusk or Night
)です。
これは大統領を目指していた時のサルコジを描いた本ですが、別に政治ドキュメンタリーでもなく、当時のフランスの政治状況や背景に対する説明もなく、大統領の座を目指すとんでもない1人のおっさんの色々な情景を大した脈絡もなくモンタージュ的に組み合わせた本で、何となくフランス映画の脚本のようです。
Yasmina Reza女史はこの本を書くために、サルコジの選挙会議や、個人的な会合、他国の元首との会議にまでアクセスを認められたそうです。
フランスのレバノン大使を「阿呆」と罵り、「あいつに電話をしてそう伝えろ」と叫ぶシーン。選挙戦で「サルコを大統領に」というプラカードを持った群衆を見て、後ろの選挙スタッフを振り返り「この阿呆どもにこんなものを持たせて叫ばせたのはどいつだ?どいつもこいつも何にも分かってない!あぁ神よ!神よ!全くどうしようもない。俺1人きりでやってるほうがよっぽどマシだ」と嘆くシーンや、選挙戦の勝利が近づいてきて「俺はパリの宮殿、ランブイエの城、ブレガンソンの砦を手に入れるぞ!これが人生だ」と語るシーンなど、この本が映画的だと思えるのは、やはりサルコジの存在が「映画的」であるということも1つの理由です。
あるシーンでサルコジは「過去なんて俺には関係ない。俺に興味のあるのは今日の午後、そして明日だけだ」と言っていますが(現在にすら興味がないようです)、本を通じて浮き出るイメージは、自分でも何か分からないものを狂おしいほどに追い求め続ける、特異で孤独な人物の姿です。大統領になり、エリゼ宮の主になったサルコジは「満足だ」と言いながら「しかし、楽しくはない」と続けています。連番が決まっているEU大統領職の期間を延ばそうと画策して失敗したというウワサが最近流れていますが、十分ありそうなことです。
筆者はインタビューで「彼は悲劇的な性格で、自己破壊願望のある人物だと思う。選挙戦中は分からなかったけど、今では彼は自己破壊の強い能力を持っていると確信している」と述べています。しかし、遠くで見てると面白いですが、こんなおっさんと仕事するはめになったら日本人のほとんどは心身症になるんじゃないでしょうか。
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2008/10/24 金曜日
アジア株の大崩れ、英国のGDPの縮小を受けて米国の株式先物は一斉に大幅な下落となっています。
ナスダック100先物は81.5ポイント、ダウ先物も538ポイントと猛烈な下げで、S&P500先物は60ポイント下げて、電子取引停止のリミットに達しました・・・(追記:ダウ先物はマイナス550までいって売り禁に、ナスダック100先物もマイナス85で仲良くリミットまで来てます)
今日の朝はなかなか恐ろしい光景になるかもしれません(なんかもう感覚が大分鈍くなってますが・・・)。株式市場はここ数週間で十分パニックになっているので、とうとうお手上げ(Capitulation)のフェーズに入ってきたかもしれません。
NYSEのサーキット・ブレーカーは-1100ポイントですが、、、追記:朝は「たったの」500ちょっとの下げで済みました。こんなんでは何も感じなくなっているのが恐ろしいような。お昼前の休憩タイムで「たったの」244ポイントのマイナスで、釜の底も意外と堅いです。この分では今日もそれほど買えてないですねぇ。
ところで、円も92円台とかだそうですが、まさか、

なんてことは言わないですよね。さすがに。(いや、2週間前くらいの記事を見て背中が涼しくなった人も結構多いのではないでしょうか・・・)
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2008/10/20 月曜日
今回の金融村の崩壊で「米国型○○○○は終わった」(○には、各人の都合の良い言葉が入ります)とかいう話をいやというほど聞かされて少々ウンザリなのですが、私のまわりではこの手の話をする人の多くがなぜか日本人です。情報源が限られている上に、狭い反響室みたいな国の中で皆で大騒ぎしているせいでしょうか。
今回の大混乱は基本的には信用バブルの崩壊による金融村の陥没という(世界的ではありますが)ローカルな話であり、業界が業界だけに他に与える影響も大きいですが、バブルや金融危機が原因で国や経済のシステムがドラスティックに変わったという話はあまり聞きません。(ただし、虎の子の老後の資産をアドバイザーの言うまま株式ポートフォリオに突っ込んだ人々が受けた大打撃を考えると、年金改革などの政策レベルでの議論には影響があると思います。個人的には、年金という基本的に保険的な性質のあるものを、ボラタイルな株式市場に対する個人勘定の投資を主にして考えるという政策には米国であれ、日本であれ賛同しかねます。)
米国の金融村は、過去数年に大きく成長しましたが、もともと米国で圧倒的な存在だったわけではありません。S&P500の時価総額に占める比率で見ると、金融業界は1990年には全体の約7.5%でしかありませんでした。これが大きく変わるのが、2000年前後のハイテク村の大崩壊の後で、2002年以降S&P500の時価総額に金融村の占める比率は一貫して20%に達するようになります(最近は10%台の中盤です。ちなみに全盛期のテクノロジー業界はS&P500のほぼ30%を占めていました)。
金融業界の付加価値は基本的に資本の配分を行うシステムの効率を高めて、経済の生産性を伸ばすことにあるわけですが、ここ数年間の金融村の拡大期には、米国の金融以外の産業の生産性の伸びは歴史的水準から見ると低いものでした。つまり業界は経済の生産性にはあまり寄与せず、金融村の中での祭りに忙しかったとも言えます。それもあってか、米国人のマインドの中で金融業の占める位置というのも、それほど大きいものではありません。例えば、投資専門誌のバロンズが米国人投資家相手に行う「世界で最も尊敬に値する企業」調査のベスト10には金融企業は1社も入っていません(18位のゴールドマンや19位のウェルズファーゴが金融では例外的な高順位です)。ちなみにワースト10のうち5社が米国内外の金融会社です。
米国人の投資家が「尊敬できる事業」としてまず思い浮かべるのは、J&Jであり、P&Gであり、バークシャーやアップル、グーグル、ウォルマート、コカコーラ、ペプシ、GE、エクソン、シスコシステムズ、IBM、インテル、ジェネンテックなどの企業、外国企業ではトヨタやネスレ、ノバルティスのような企業です。金融村の凋落が米国人に与えるショックが長期的にそれほど大きいとは思えません。ベアー、リーマン、メリル、AIGでなく、J&J、PG、GE、IBMが消えていれば流石の米国人も悔い改めたかもしれませんが。
私はここ1カ月くらいで「今回のリセッションは米国のテクノロジー業界にとっては大チャンスだ」とはっきりと言い切っているハイテク業界の研究者や経営者、投資家を相当数見ています。そう言う理由は人によって色々ですが、私の感想は基本的に「こいつら本当に変わらん(懲りん)」です(この中には10年前に大やけどを負った連中もかなりいました)。そう言えば、トラクシス・パートナーズのバートン・ビッグスは景気回復はハイテクがリードすることになるとか言ってましたです。
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2008/10/14 火曜日


先週は株式の下げのスピードと同様にポールソン長官の突進も大したものでした(もし、ブッシュ + スノーのコンビだったらどうなっていたかと思うと背筋に冷たいものが走ります)。しかし、その後EU-15の「あっち向いてほい集団」が週末から月曜にかけてどたばたながら一応の体裁を整えてきたのも快挙ではないでしょうか。
欧州の総額1.7兆ユーロ(約2.3兆ドル)のプランは一応一足先に銀行に資本注入を発表した英国のプランを下敷きにしたものですが、サルコジ、ブラウン、メルケルといった役者がそろっていなければ、これはなかなか難しかったでしょう。実際にはつっこみどころが多そうなプランですが、それでもブレークスルーには違いありません。
月曜の暗い時間からスピーチを見ていたのですが、まずブラウン首相のスピーチはまるでバトル・オブ・ブリテンに向かうチャーチル風の時代がかったもので、まさしくブラウンが今度の事態を「戦争」と同様に捉えているということが強調されていました。
国内ではライバルの保守党に世論調査で2桁の差を付けられ、身内の労働党内からも「反逆者」が続出するなど、主要国首脳の中でもこれだけサンドバック状態の人も珍しいですが、それにも関わらずめちゃくちゃタフで粘り強いおっさんです。少なくとも以前のノーザンロックの時にへっぴり腰でイングランド銀行に厄介ごとを押し付けようとしていた人物とは全く別人です。
「私が訪れた市や町では、静かで、断固たるイギリス魂(British Spirit)を見てきました。この世界的な金融危機は米国で始まったものかもしれませんが、英国がこの危機から脱出する道をリードします」
大きく出たものですが、相手が金融危機であれ、保守党であれ、身内の反逆者であれ、総選挙までは絶対に戦い抜くという肚を決めていることは良ーく分かりました(市場もそのようでした)。横にいたアリスター・ダーリング財務相が刺身のツマみたいに見えて可哀想でしたが、これはやはりトップの仕事だからしかたがないでしょう。そしてブラウンは(今のところは)この仕事を見事にこなしてみせました。
そして、ブラウンを上手く使ってEU-15をまとめた議長国フランスのサルコジの腕力も大したものです。今年の6月までは議長国はスロベニア、来年の1月からはチェコということで、ちょうど議長国がEUの中心のフランスで、そのまた大統領が元気と野心と色気に服を着せたようなサルコジだったというのもEUにとっては運に恵まれていたかもしれません。サルコのスピーチも見ましたが、相変わらず超エネルギーのかたまりで、ブラウンとサルコジの2人の「濃い」スピーチを連続で見た後では、少なくとも連中はマジそうだということは伝わりました。
また、独仏中軸でのサルコジのパートナーが「鉄のお嬢さん」ことメルケルだったのもEUにとっては幸運だったかもしれません。昔「私は授業中、飛び込み台の板の上に立っていて、45分たってようやく飛び込むような人間です」と言ったとか伝えられていますが、同氏の慎重さ、思慮深さ、そしていざという時の思い切りの良さが現れている言葉です。
というわけで、ここ一番で、主要国のリーダーが踏ん張ってみせたという週末/週の初めでした。
しかし、一応日本は今年G8議長国だったような気もするのですが、サミットも無事終わったしカンケーないんでしょうねぇ。きっと。

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