2007/10/22 月曜日

シティ(+アルファ)のスーパーファンド

先週はシティ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガンの米銀3行による「サブプライム対策基金」の設立合意が話題になっていました。

まぁ、これは正確には「サブプライム対策」とゆーよりはSIV対策なわけで、SIV対策というとどうも「シティ救済」という感じが濃いような気がするのですが。自社傘下のSIVの飛び火(というか自業自得なんですが)を避けたいシティと、サブプライムによる動揺に何か手を打ちたいポールソンのお互いに全然違う思惑がどっかでくっついちゃった感じじゃないでしょうか。

SIVは、特別目的会社(SPC)みたいなもんで、一部投資家にうまい話をして出させたエクイティを種に、これまたうまい話でCPなどを発行しまくってお金を借りまくって、そのお金を金融会社の債券やらモーゲージ証券につぎこむという商売ですが、要するに人から出資させたお金をベースに借金して、別の人の借金に投資するという大掛かりなサヤ取り商売です。(で、投資先のモーゲージ証券の値下がりで大ピンチに陥っているというわけです。)

こんなもんですから、SIVのサヤ取りのスプレッドはおそらくせいぜい0.2%位で、4000億ドルのSIV業界のおそらく20-25%を占めるシティでも、せいぜい稼げるのは2億ドル程度ではないでしょうか。エクイティ出資者と山分けにすると税引前で1億ドル程度の儲けになりますが、年間300億ドルも儲けるシティがこんなアホほどリスキーな商売に、こんなスケールで手を出している事自体がこの業界のクレージーさを物語っています。

で、シティは自社傘下のSIVには全然エクイティを出していませんから、バランスシートにものせていません。SIVへの投資家が大損失を被っても、「救済する法的義務は全くない」とおっしゃっています。もちろん、これがそのまま通用すると思ってる人はあまりいなくって、シティも母屋に火がつかないようにこの「救済ファンド」でSIVを支えておきたいというところでしょう。

バンク・オブ・アメリカ(とJPモルガン)はSIVにはほとんど手を染めていないはずですが、バンク・オブ・アメリカが運用しているマネー・マーケット・ファンドが山のようにSIV発行の借用書を抱えているそうで、こっちにはこっちの事情がありそうです。(なんでマネー・マーケット・ファンドがそんなもんに一杯投資しているのかも問題ですが)

評判も散々です。

ウォーレン・バフェット(Foxのインタビューで):「んなことやってるひまあったら、SIVを自分のとこのバランスシートに入れろ」
ビル・グロス(インタビューで):「アホか」

しかし、今回の話で(シティ以外で)一番評判を落としたのは、嬉しがって銀行間の会議を設定したポールソン先生ではないでしょうか。大体この手の話の「自然な」仲介者はNY連銀ですが、NY連銀も動く気配が無いときに「もう待てん」って感じで「昔のお仲間たち」を救済に動いたと見られても仕方がないような気がします。(はしゃいで、G7でも「PIMCOやフィデリティも参加する」なんて口走ったようですが、その後PIMCOに否定されて散々です)

2007/10/13 土曜日

何となくバブリー・・・

今週はFOMCの議事録で利下げに全員一致だったというので、皆さん「やっぱり、もう一杯、いやひょっとしたらもう二杯」という感じで完全に一杯機嫌になったという感じでした。(FRBの場合は委員の反対にどれだけ意味があるのか、私には少し分かりかねますが・・・。英国のMPCの場合は、各委員が自分の意見に対して「個人的にも公的にも責任を負う」とされており、総裁が票決で敗れることも結構あるので、票数に意味があるのは分かりますが・・・ それにコーン御大は「50bpもやったら十分かも」みたいなことも言ってますし)

フェリックス・ズラウフなどは2年程前から、今の強気相場は10年毎のバブル絶頂-崩壊への助走だなどと言っていましたが(今年の始めにも、今年は大きい調整があるが、強気市場は終わらんなんて言ってました)、何となくそれを思い出したりした週でした。

で、今週は色んなとこに「データとリリースへの対応の早わかりシート」ってな感じの題の戯れ言のメールが回っていたようですが、内容はこんな感じでした(原文は英語ですが)

弱いデータ = FRBの利下げ、したがって株は上がる。
強いデータ = 経済は強含み、したがって株は上がる。
銀行の損失40億ドル = 悪材料出尽くし、したがって株は上がる。
原油価格急上昇 = エネルギー関連銘柄に好材料、したがって株は上がる。
原油価格下落 = 消費者に好材料、したがって株は上がる。
ドル急落 = 他国籍企業に好材料、したがって株は上がる。
ドル急上昇 = インフレ沈静、したがって株は上がる。
インフレ急上昇 = 全資産の価格上がる、したがって株は上がる。
インフレ沈静 = 利益の質が上がる、したがって株は上がる。

あーあ。何と言いますか・・・まぁ、これが「強気」ってもんなんでしょうが。
(ところで、上のサンタさんバーナンキの絵はここで頂きました)

2007/10/1 月曜日

バフェットの「買い」(のウワサ)は「売り」?

先週はニュヨークタイムズが「ウォーレン・バフェット氏がベア・スターンズに投資か」というウワサを流して株価が一時的に急騰し、日本でも日経などがフォローしていました。

大体、状況が怪しくなってくると変なウワサを流す輩はどこにでもいるものですが(株屋さんの世界もアニマルの皮をかぶったアニマルが一杯いますので・・・)、大手のメディアまで一緒になってウワサを流すのは(いや、何らかの裏付けをとっておられたのだとしたら済みません)いかがなものでしょうか。

バフェット氏といえば、将来的にキャッシュフローを生む企業を割安で買うという典型であり、いまこの状況で(常識的に考えると)ベアに手を出す意味があるとは思えません(まだアタマもしっかりされているようですし)。

大体、最近でもバフェット氏が「投資を考えている」と噂された会社には、これまた住宅建設で火を噴いているホブナニアン(HOV)やら、同じく住宅ローンのカントリーワイド・ファイナンシャル(CFC)、建材のUSGコープ(USG)など死屍累々でみんなウワサのあと大きくへこんでいます。

この中でもベア・スターンズは一番あり得ないと言う気がしますが・・・おっと、そう言えばニューヨークタイムズもバフェット氏が買うというウワサの対象になっていましたが、ウワサが出て上がった時点からボロボロに下がっています。大体バフェット氏自身投資家へのレターで「新聞なんかあきまへん」と言っています。(これらの「買い」のウワサはNYTの腹いせでしょうか、ひょっとして・・・)

まぁ、一応きちんとしている(と思われている)メディアが率先して「ウワサ」の流布にはげむのはやめて欲しいものですが・・・(フツーならば報道しながらも疑いの一言くらいあっても然るべきだと思われます)。

Bloomberg