2007/4/26 木曜日

Web2.0バブルですかぁ?日本だけかも・・・

なんだか良く知りませんけど、Web2.0(のお金)に関するお話を時々聞くんですが、ちょっと誤解というかイメージの一人歩きと言うか、日本では特に大きいんじゃないかと言う気がします。

まず、ベンチャー・キャピタルなんかが浮き足立ってみんなWeb2.0に集まってきてるんじゃないかというイメージがあるようなんですが、Web2.0企業に関わらず最近のインターネットからみのベンチャーはあんまりお金がかからない上に、出口もIPOではなく企業売却が多いんで、大金積んでボロ儲けというクセがついたベンチャー・キャピタルの面々にはあまり出番が無いのではないでしょうか。

ベンチャー・ファンドは期待される利益も大きいですし、出資者に要求する手数料も高額ですから、少なくとも10億ドルくらいで売却できる企業でないと、そこそこのベンチャー・キャピタルでは手を出さない(出せない)と思いますが、Web2.0でその額で売れる企業というとYouTubeやFacebookなどのごく一部の例外を除けばあんまり無いのではないでしょうか。大体Web2.0の大半の企業の「出口」価値は1,000-2,000万ドルといったところだと思いますが、ほとんどのベンチャー・キャピタリストはそんな「小銭」には興味が無いように見えます。

で、起業家の方もIPOで超大金持ちを目指すゾーとかいう人はそれほど多くなくって、YouTubeもそうでしたが(YouTubeの場合は大金でしたが)、そこそこ大きくなった段階で企業売却を考えてる人が多いようなんで、起業から売却まで全くベンチャー・キャピタルのレーダーには映らないというケースも多いと思われます。起業家はもともとベンチャー・キャピタルを避けたい人が多いので、ベンチャー・キャピタルの出資を受け入れる場合も、企業が相当大きくなって、自分たちが主導権を握れることが確実になってからというケースも多いようです。まぁ、今はインターネットがらみの起業はあまりお金がかからないので、そういうことが可能になっている面も大きいんですが(極端な例では、IMのMeeboの場合では創業者の3人が起業資金で用意したのは1人2000ドルづつというものです)。

そこで、ベンチャー・キャピタルの代りにお金を出しているのが、カリフォルニアでははいて捨てるほどいる、元起業家で「小金」をためた「エンジェル」たちということになります。先ほどのMeeboも1日5万ビジターに達した段階でサーバの増強が必要となりましたが、この際には3人のエンジェルから10万ドルの出資を得ています。Meeboも最終的にはベンチャー・キャピタルから350万ドルを調達しましたが、それはすでに1日あたり20万のログインユーザを抱えて、起業家が完全にビジネスプランの主導権を握った後のことでした。

ハイテク起業家がハイテク・ベンチャー・キャピタルを嫌うというのもまぁもっともなところがあって、まずハイテク・ベンチャー・キャピタルと言いながら、実際に知ってるテクノロジーはプレゼン用のパワーポイントとキャッシュフロー計算用のエクセルのマクロくらいで、その割には色々口をはさんでくる上に、利益に対する要求が厳しく、おまけにCTOやらCFOやらくだらん役職をいっぱい作る(そして自分たちの何人かはそのC?Oに就任する)上に、同じくらい無知な取締役を山ほど連れてくる、というイメージが強くあって、IPOでごっそり大金を狙うのではない限りVCには関わりたくないといった起業家も結構多くいるようです。その点、元起業家の同輩であるエンジェルは物分かりも良いし、起業家の悩みも良く分かってるということで頼りにされる場合もあるように見えます。

大体、Web2.0の場合、広告費をベースに考えているビジネスモデルが大半ですが、確かに広告費がオールドメディアから移動しつつあるとはいえ、全体のパイの7割程度をGoogleやYahooなどの大手が押さえている現状で、これだけ多くの2.0企業を支える収益源はないということで、Web2.0ブームも投資という面だけに限れば、米国ではある程度抑制された「地味な」ブームであるようにも感じられます(もちろん例外もありますが)。

ここらへん、ちょっと話題になっただけでヘラクレスとか何とかでIPOになってとんでもない値段がつく日本の方がよっぽど過激のように感じられたりもします。

2007/4/21 土曜日

市場つれづれ・・・

ダウは連日の最高値更新で、これは一部の企業の好決算が引き金になっているようですが、18四半期連続で続いたS&P企業の2桁利益成長(それにしてもすごいですが)は2006年第4四半期を持って終わっているので、これは基本的に米経済の軟着陸期待が上昇したということを反映したものと言えるんじゃないでしょうか。

今や2大テーマは利下げと経済軟着陸で、利下げの方はどうも皆さんすでに「Done Deal」で後は寝て待つだけと思っていて、おまけに経済が万一大幅に下ブレしてもFedがお札を空から振りまいて救ってくれると信じているようなので(いや、半分以上本気ですが)、お金もじゃぶじゃぶに溢れてることもあって、少しでも良いニュースがあると浮いてしまうようです。

これにちょっと渋い顔をしているのが一部の学者や評論家で、「なんで皆Fedの言ってることをちゃんと聞かないんだ。これじゃ中央銀行の政策の透明性なんて無意味じゃないか」なんて言ってます(これとかこれとか)。バーナンキ先生はAGなんかよりストレートな言葉でインフレ懸念を言ってるし、他の面々も一生懸命(?)インフレ懸念を合唱してすぐの利下げは無いと強調しているのに・・・ ってとこなんでしょうが、3回や4回声明や会議の議事録を出しただけで皆それを額面通りに受け入れるべきだと思ってるところがやはり書き物を生活のネタにしているガクシャさんだなぁと言う気もします。

大体、そんなにインフレが心配ならもともと利上げを止めていないと市場は思ってますし、もともと「札束をばらまいて景気を救う研究を一生やってた」先生なんじゃないの?とも思ってますから、「deed」なしで「word」だけ聞けというのも難しいところではないでしょうか。まぁ、ここらへんはあんまりしがらみの無い(?)マーク・ファーバー御大なんかが言ってたセリフが何となく大方の気分を表してるような・・・ 先生曰く「ショートの側なら、30年物米国債が世界最悪の投資だ。償還まで持てばの話だがね。まず構造的に弱い通貨建ての上に、米国の中央銀行は資産価格が下がればお金を刷るって言ってるんだからな。長期的に30年国債を売って損をする方法があったら聞いてみたいもんだ」(Barrons, 1月29日)

とゆーわけで、さすがに天動説のアメリカ人も最近の株高に「これってひょっとして株が上がってるんじゃなくて目盛りが縮んでるだけじゃないのか?」という人もいるようです(下は対ユーロでの米ドルのチャートです)。

2007/4/7 土曜日

米最高裁の二酸化炭素判決ってどうよ、、、

米国最高裁は、いわゆる「マサチューセッツ州対米国環境保護庁(EPA)」裁判で、二酸化炭素を含む温室効果ガスは大気浄化法(The Clean Air Act)が規定する「大気汚染物質」に該当し、米環境保護局(EPA)に規制の権限があるとの判断を下したようです(判決文:PDF)。

この「マサチューセッツ州対米国環境保護庁(EPA)」というのは、マサチューセッツ州など12州や環境団体がEPAに対して 二酸化炭素等の排出規制をするべきだと訴えたものでしたが、今回はEPAが大気浄化法の下で温室効果ガスを規制する権限をもつかどうかが争点となっていました。9人の判事のうち5対4と言う「真っ二つ」だったようです。

これに関しては、「ブッシュ政権の敗北」とか環境保護派の勝利とかの論調が多く、地球温暖化とのからみで歓迎する報道も多いようです。ただ最高裁の今回の判決は、温暖化とのからみでは、少しやっかいな判断であるような気もします。

問題となる点は、法律の大幅な見直しでもしないかぎり、EPAは実質上、二酸化炭素を実効的に規制できる法的な枠組みを現時点では持っていないということです。今回の判断でもベースになった大気浄化法は「古き良き(?)」時代の健康被害に関連する大気汚染物質を規制するための法律で、もしEPAがこの「ポンコツ」を用いて規制を行うとなると、大気浄化法のTitle IVによる環境基準を用いるしかない可能性があります。

この環境基準を用いた規制というのは、鉛、一酸化炭素、粒子状物質の大気中の濃度(あの何とかppmとかゆーやつです)を設定するもんですが、いくら米国が最大級の二酸化炭素排出国だとしても、全世界の排出量の4分の3が米国外と言う状況で、例えばIPCCの言う「大気中の二酸化炭素濃度550ppm」なんぞという基準を使用した一国での規制は実質上無意味で不可能です(米軍に中国やインドの自動車工場や火力発電所を爆撃する許可でも与えない限りは)。つまり、もともとローカルな環境被害の防止を目的とした法律では、グローバルな問題に対処するには、力不足すぎるというわけです。

じゃあ逆に、最高裁が被上訴人(EPA)側についたら良かったのか、と言われると、これはもちろん温室効果ガス規制における政府の怠慢を合法化することになるんで、これはこれでまた困ったもんなんですが・・・まぁ、EPAも規制の即時実施を命令されたわけではないですから、いろいろ検討することになるんでしょうが、いずれにせよ、議会では民主党が多数派で、しかも次期大統領の有力候補は二酸化炭素の規制に乗り出す見通しが相当高い(マケイン、ヒラリー、オバマの各候補は強力な規制論者です)と言う状況を考えると、地球温暖化という観点だけから見た場合は、最高裁は下級裁判所に訴訟を差し戻して、議会とホワイトハウスのイニシアティブにまかせるのが最も早道であった様な気もします。