
現在、欧州における二酸化炭素排出権取引スキーム(EU ETS)の第2フェーズ(2008-2012年)の排出枠を決定するプロセスが進行中です。これは、EU ETSの対象となる欧州企業がこの期間に排出できる温室効果ガスの総量を決定づけるものなので、極めて重要なものであると言えます。
もちろん各国は自国業界の保護のためにできるだけリクツを付けて大きい排出枠を提案し、それに対して欧州委員会が各国の過大な提案をできるだけ削ろうとする、という構図になります。
第1フェーズ(2005-2007年)では、今年4/5月に発表された2005年の検証データにより排出枠が「枠」とは言えないくらいに大きい(つまり、排出を減らす必要がないほどに排出枠が甘かった)ことが明らかになり、排出権の価格は数日の間にメルトダウンしました。こういう背景もあり、第2フェーズの割当では欧州委員会がEU ETSの成否を賭けて各国政府の提案に対し強硬な態度に出ると予想されていました。
実際、11月末には、欧州委員会は、その時点で提出されていた10カ国の(極めて優等生的な英国を除く)すべての提案に対して約7%の削減を要求し、排出権の価格もやや持ち直しました(記事冒頭のグラフ:Point Carbonのサイトより)。しかし、この回復の後でさえ、かつては30ユーロ前後であったEUA(EUアローワンス)価格は7ユーロ台中盤と見るカゲもありません。何がマズいんでしょうか。
ストレートに見ると、市場は欧州委員会がどれほど頑張ろうと、排出権の供給が逼迫することはないと踏んでいるワケです。この背景の一部には、途上国で行った排出削減プロジェクト(CDM:クリーン開発プロジェクトなど)による削減量の一部も自分の排出権としてカウントできる、といういわゆる「京都メカニズム」による排出権の供給が急増していることがあります。(実際には欧州の多くの国では自国内で使用できる海外調達排出権の量に制限をかける見込みなので、それがどの程度になるかという状況次第では、また展開が異なってくるかもしれません。また、この他にも、ロシアやウクライナの巨大な「潜在的余剰」というのもあるわけですが。)
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