2006/10/26 木曜日
10月に入ってから、日本のファンドからの、海外勢の資金引き揚げなどの話題やウワサが結構飛び交っていたようです。
ファンドの成績が悪いからだとか、社長がアホだからだとか、有能なファンマネがやめたからだとか、いろいろ言われているようですが、まぁそれぞれ当たっている部分もあるのかもしれませんが、ベースにはそれらの個別の事項をこえて、海外勢からの一般的な「日本株」あるいは「日本経済全般」に対する見方というものも大きくあると言えます。
極めて乱暴にいうと、日本経済というのは、外部から見るとあまりぱっとしない「中堅機械会社」(図体は大きいですが)という感じではないでしょうか。つまり、景気が良くて注文が多い時はOKですが、別に超イノベーティブな製品を出して世界を打ち負かすこともなければ、事業再構築などで生産性が持続的に上昇することもなく、品質はそこそこ良いものの、利益率はそれほど高くなくて、外部の景気が悪くなればそのままドボンという、つまりは外部の経済の浮き沈み次第の究極的な「シクリカル(循環)」銘柄というわけです。
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2006/10/21 土曜日
米国の中間選挙まであと2週間となり、イラクに加えて共和党議員のスキャンダルが共和党に対する大きな打撃となり、各世論調査では民主党が圧倒的に有利となっているようです。
最近のUSA Today/ギャラップの調査でも民主党が23%のリードと、ちょっとお目にかかれないような数字になっています。そこで下院はおろか、上院においても民主党の過半数獲得を予想する向きも結構あるようです。市場も全般的な好調さにもかかわらず、製薬やエネルギーなどの「民主党の勝利がコワイ」銘柄は低迷しており、民主党優位の見方が強いのが見て取れます。
そこで、今週のBarrons誌では、恒例の選挙予想をやっていたのですが、Barronsは大方の予想と異なり、共和党が両院で過半数を維持すると予想しています。ちょっと面白かったので以下に少し紹介・・・
Barrons誌の予想は、選挙資金の大小に基づくもので、基本的には、各選挙区において(差が極めて小さい場合を除いて)選挙資金をより多く集めている候補者の方が勝つという単純なものです。
ただし、過去においてこの方法は、世論調査よりも確実であることが示されており、Center for Responsive Politicsによると、1972年以降の下院選では各選挙区において選挙資金の多い候補者が93%の確率で勝っており、近年に限るとこの確率は98%に近くなっています。下院に比較して大きい資金が必要な上院選では、この数字は89%だそうです。これはもともと上院ではより大きい資金が動くため、「意味のある」リードの額が100万ドル単位になるからではないかとBarronsはしています(100万ドル単位で差が付くのはちょっと難しいですから)。
米国では(共和党であっても)、献金に占める個人の比率が結構高いですから、献金が多いと言うのは単にCMを一杯流せると言うだけではなく、草の根の支持の強固さを測る良い目安であるとも言えます。で、このデータに基づいたBarronsの予想では、下院における共和党の議席は8議席の減少、最悪でも過半数を1議席上回る14議席の減少となっています。上院では、共和党が3議席を失い、100議席中52議席となると予想されています。減少は減少ですが、一部で言われている惨敗には程遠いと言えます。
さて、過去においては、この「金がモノをいう」というのが当てはまらなかったのが、1958年、1974年、1994年となっています。1958年は深刻な不況、1974年はウォーターゲート事件にインフレと石油ショック、1994年は6%を上回る失業率に、個人所得が減少に転じていたという点で、基本的に経済は減速しつつも堅調な今年とは少し状況が異なっているとBarronsはしています。戦争とスキャンダルに対する今年の有権者の嫌気は、これらの過去の3つの年における有権者の怒りの水準には及ばないと言うのがBarrons誌の結論のようです。
まぁ、投資関連の雑誌なので、少しばかり”Wishful Thinking”の気もあるかもしれませんが、Barronsは2002年、2004年の選挙でも同じ方法で予測を行い、大方の世論調査に反して共和党勝利を予想していたので、あながち馬鹿にできないかもしれませんねぇ。
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2006/10/8 日曜日
最近時々、地球温暖化を否定するような本だとか、記事だとかを目にすることがあります。大体ネタは米国の地球温暖化懐疑派のものなんですが、そういう記事や本と合わせて「米国ではXXXXが常識」(XXXXにはもちろん温暖化に関して懐疑的な言葉が入ります)とか「温暖化で騒いでいるのは一部のリベラル」なんて文句が入ってたりするのですが、米国の状況に対するこういう無知は極めてリスキーであると思われます。
もちろん米国は多様ですから、話す人によって全く違う世界が見えるわけで、上で挙げたような記事や本が「間違い」と言うのは困難なのですが、少なくともミスリーディングであるのは確かです。2009年以降(要するにブッシュ以降)、共和党政権が続いたとしても、何らかの形で明確な連邦レベルでの温暖化ガス排出規制のスキームが打ち出される可能性がかなりあると見ているビジネスマンは結構多く、その影響も少し考えておく必要があります(もちろん「玄人さん」達は考えていると思われますが)。
現在、米国が温暖化ガス規制を行っていない大きい理由には、米国人の規制嫌いの他には、「他の国が何もしていない(すなわちグローバルでの実効性が無い)のに何でワシらだけ損する必要があるのか」というのがあります。例えば、クリントンが京都議定書を批准のために議会に送ることができず、ケリーも京都議定書批准に反対と述べた大きい理由の1つには、米上院の「バード-ヘーゲル決議(92対0での圧倒的可決)」があります。ここでは、米国が行動する際には「発展途上国の意味のある参加が不可欠」とされており、途上国に排出枠が課されていない京都議定書では、共和党でなくても、もともと米国の参加は不可能に近かったと言えます。
逆に言うと、そのような米国において、米国内レベルであろうと連邦レベルの対策なり規制が取られた場合には、何らの対策も行っていない途上国、そして大排出国であるにもかかわらず、国内規制がほとんどなされていない日本のような先進国に対するプレッシャーは、決して小さいものではなかろうと想像できます。大体、アメリカの「都合の良い記憶回路」と「腕力」に関しては疑問の余地が無いわけで・・・、そこで米国の圧力と有権者の怒りという「リスク」に備えるため、「米国2009年対策説」の根拠を少し下に挙げておきます。
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2006/10/6 金曜日
FRB議長バーナンキ先生が、Washington Economic Clubでのスピーチで「住宅市場は大幅(Substantial)な調整」で米経済の大きな減速要因となると語ったことで、皆さんは完全に「FRB金利引き締め終了宣言」ととっているようです(「デフレを防止」するため利下げも近いという期待も一部で膨らんでいるようで・・・)。
株も上がって(なんとなくダブル・トップみたいな感じもありますが)、債券も値上がり(10年国債の利回りは4.559%に低下)ということで、株屋さんは(今のところ)先生に足を向けて寝れないのではないかと思います。
一方、この動きに対してFRBのコーン副議長は、すかさず「Fedのインフレに対する懸念を過小評価するなよ〜」と凄んでますが、こりゃもう完全に後の祭りですねぇ。しかし、これが「Good Cop/Bad Cop」だとすると(違うと思いますが)、役割を逆にしないと全然インパクトないですねぇ。当たり前すぎて。
コーン先生は、AGの振付け師とも言われていたので、口に出しているほど「タカ派」ではないのではないかとも思われますが、ここでのかなり強めの発言は、市場での親玉の「ヘリコプター」の威光の強さにちょっと危機感を持っているのではないかという気もします。しかし逆に「この2人、やっぱりあんまり話してないんじゃない?」という印象を残してしまったようで。ここは「年の功」で、踏ん張って(何を?)欲しいものです。
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2006/10/3 火曜日
10月2日付日経「領空侵犯」
いや、おどろきました。「立ち読みは国を滅ぼす犯罪」なんだそうです。曰く「本や雑誌は知的財産であり、したがって立ち読みは国家的財産侵害」であり「このまま立ち読みを許せば、日本の文化は衰え、国力が低下する」そうです。ガーン。そうすると私などはテロ犯人級ということになりますなぁ・・・
あほらしくて、この記事のまとめをする気もしなかったんですが、「余丁町散人さん」のところにコンサイスなまとめがあったので、興味ある方はそちらをご覧ください。
私は当然、消費者は製品の情報をちゃんと知った上で、購入を行う権利があると思っていたんですが(落丁、乱丁は返品させてくれますが、下らん内容に怒り狂う羽目になっても、取り替えてくれませんからね)、、などというような、真っ当な(?)議論はさておき、湯川れい子氏は、音楽ファンから極めて評判の良いJASRACの理事であり、同氏の立ち読みに関する意見も、音楽業界の衰退を図る同団体の見解の延長線上にあるものだと思われます。
大体消費者を、泥棒扱いして敵視するという業界慣行が、音楽業界衰退の原因の1つであると私は思っておりますが(音楽ダウンロード・ビジネスなどの、イノベーションが音楽業界から出なかったのもそのためであると思われます)、出版業界、本屋の方々がこの愚かな慣行を取り入れないように、ただただ祈るばかりです。
ところで、しょーもない揚げ足とりですが、同氏曰く「すべての本にビニールカバーをかけるのは、コストと手間上現実的じゃない」らしいんですが、「文化が衰え、国力が低下する」ことを考えれば、安いもんじゃないのかという疑問もありますねぇ。同氏の中では、どうも文化とか国力は、本にビニールカバーかける程度のコストにも値しないようです。
しかし、昔から???な方だとは思っておりましたが、ここまでXXXXXXXとは・・・・
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2006/10/1 日曜日
Paul Volcker (元FRB議長)に、歴代のNY連銀総裁のGerald Corrigan (現ゴールドマン)、William McDonough (現メリル - たぶん)、Anthony SolomonにTim Geithner (現職)という豪華メンバーを揃えて先週行われた、パネル・ディスカッションの内容がちょっと話題になっています。内容はBloombergやKing Reportなどで少し触れられていますが、基本的にはインフレ警戒色の強いものであったようです。
Corrigan
「瓶から昔のインフレの魔物がとび出る可能性が少しある。一旦やつが飛び出ると、再び閉じ込めるのは極めて難しい」(おなじみのたとえですが)「米国市民の福利という面に限って言えば、長期的に極めて深刻な問題となる可能性がある」
Volcker
「インフレが少しずつ這い上がってきているのに少し懸念を強めている。・・・・ウォール街の多くの人々は引き締めと言う面では大したことは何も起こらないという前提で動いている。しかし、いったん人々がそれを確信すれば、インフレはますます上昇し、それに対して手を打つのも難しくなる」
「我々は奇妙な世界に生きている。そこでは、3%のインフレは安定を意味し、0.5%の物価下落はデフレになるらしい。新しい言葉には全くついていけない・・・」(笑)
ところで、準備制度、連銀や財務省に山程出入りしているアドバイザーには全米でも相当良い部類に入る大学の先生たちがすごーく多いですが、大体タカ派的な金融引き締め政策には反対の人が非常に多いです。まぁ、先生達の生活がかかっている頼みの綱の大学のendowmentは、大体トンでもないリスキーな資産やストラテジーに投資してるとこが多いですから、こういう傾向になるのは当たり前のような気がします(いや、半分以上は真面目です。”self interest”というのは、法律で禁止されない限り、別に恥ずかしい社会ではないですから)。
で、endowmentの投資アドバイザーがウォール街という具合で、米国のインテリ界の生活もまたリスク資産に骨がらみとも言えます。と・・・いうわけで、ちょっとばかりインフレが上昇してもバーナンキ先生がボルカーになる可能性はゼロからマイナスの間ではないかと思われます。期待通り、米経済はソフトランディング、インフレはそこそこで収まる、という具合に行けば宜しいのですが。
コロンビア大パネル・ディカッション
ブルームバーグの記事
KIng Report (購読者のみ)
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ガッコー出た後、気前の良くない会社なんかに行ったり、自分で何かしてたりすると、人の論文をお金払って読むというのがアホらしく感じる人も多いのではないかと思いますが、NBERがタダのトライアル期間をやってるようです。
期間は11月15日までで、2004年10月以降の論文をフリーでダウンロードできます。えーと、もちろん上限がありまして、100本までだそうです。
ということで、興味ある方は下からどーぞ:
NBER TRIAL
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