2006/8/27 日曜日

アメリカの住宅市場は崩壊かそれとも軽い調整か

先週は米国の住宅市場の予想以上の減速が大きな話題となっていました。新規、中古住宅在庫の積み上がり、主要住宅建設会社での新規受注の急減速など、大げさな(かどうか分かりませんが)向きは「すわバブル崩壊、米経済リセッション突入」などと騒ぎ立てています。

米国は広いんで、住宅価格もフロリダやラスべガスやら急激に上がってきたところと、住宅バブルなんてほとんどカンケーありませんというところが入り交じっていて、聞く人によって(というかその人の住んでいるところによって)「世界の終わり」みたいな人から「火星かどっかの話じゃないの?」という人までいろいろいるわけですが、全米屈指の高級住宅会社のトール・ブラザーズのロバート・トールも「過去40年間で見た中で最悪の状況」と言ってるくらいですから、軽いもんでないことは確かです。

現在のところ弱気派は、住宅市場は「底なし自由落下」状態で、住宅価格は2007年一杯は大幅に下落し、米国経済も一緒に泥沼に引き込むとしており、米国経済はともかく、ロバート・シラー先生の開発した住宅価格指数の先物も少なくとも2007年一杯の住宅価格の下落を示しています(まだ流動性も低く、指数商品としてはまだ成熟していませんが)。強気派は、金利がまだ比較的低いこと、米国の人口動態などの住宅市場ファンダメンタルが強固であることから、今回の住宅市場調整は比較的浅く済み、2007年中には安定化の兆しが見られるはずとしています。

住宅関連銘柄も悲惨な状態になっていますが、住宅建設会社は軒並みPBRが1.0近くなってきており(中には大きく割っているものもあります)、強気派の主張を買う向きは出動はまだにしても各銘柄を注意深く見ているところだと思います。PBRが1.0を割込むと言うのは、大きい資産の毀損を市場が予想しているということだと思いますが、おそらく真っ当な会社の帳簿上の資産評価は、最近の土地価格高騰でかなり過小評価状態にあるはずですから、ムードを別にすればファンダメンタル上売られ過ぎの会社もあるかもしれません。土地購入オプションのキャンセルによる損害を恐れているという可能性もありますが・・・

強気派と弱気派のどっちが正しいかはまだ分かりませんが、住宅市場はともかく、少なくともここ数年の米国金融市場が「貸し出しバブル」状態にあったことは確かで、住宅バブルはともかく、こっちのバブルははじけはしないまでも、大きくしぼむ可能性は高そうです。特に従来低リスクとされていたモーゲージ証券や資産担保証券なんかのリスクプロファイルは大きい見直しが必要となりそうです(これは特にPIMCOなんかがここ数年強く主張したきたことですが)。

2006/8/19 土曜日

アジア各取引所のシステム応答時間とな・・・

先日ちょっとしたところでアジア各地の取引所のシステムの応答の遅延時間の表を見たのですが、少なくともシステムのレスポンス時間に関しては、なかなか各取引所とも世界の他地域の取引所と比較しても遜色の無い水準に達しつつあるようです。

もちろん、例外は東証とジャスダックでして、いくら取引量が多いとは言え、これは少し情けなさ過ぎる数字のような気もいたします。アルゴリズムとかいう以前の問題のような気もいたしますが、やはり「旧大蔵スピード」なんでしょうか・・・

面目を一新しているのは少し前まで「アジア最低速」だった大証で、今度は一転してアジア最速の取引所となりました。現物では東証の足許にも及ばない量ですが、それでもこれは他市場と比較しても中々のものです。商品開発も頑張って欲しいものですが。


(source: credit suisse)

2006/8/12 土曜日

つれづれ:地球は暖まっていないし、暖まった方が良い?

先日、「選択」という雑誌の古いやつを人に頂いてパラパラ読んでいたのですが、最初の方のページに渡辺サンという東大の先生か何かが出ていて「地球は温暖化なんかしていないし、二酸化炭素が温暖化の原因となっているのも実証されていない」というようなことをおっしゃっていました。私も専門外なんで科学的に厳密にどうだと言われると良く分からない部分もあるのですが、ここまで言い切れるのはどうかという感じもします。

アメリカの学者なんかですと、こういうことをおっしゃる方は産業ロビー関連か共和党の宣伝関連の方が多いので分かり易いのですが、日本でここまで言い切れるのには何があるのか良く分かりません。とゆーわけで、これだけ見てどーだこーだもフェアではないので先生の筆になる「これからの環境論―つくられた危機を超えて」というのを読んでみました。
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2006/8/6 日曜日

MotherRock沈没:元NYMEX社長、ガスで大火傷

先週ちょっと話題になっていたのが天然ガス取引では大手のニューヨークのヘッジファンドMotherRockの運用停止でした。一説ではここ2カ月足らずで2億ドル以上の損失を出していたという話もあるようです。またMotherRockはかなりショート・ポジションを持っていたところをここ1カ月の天然ガス価格の急騰で大損害を被ったという話もあります。ありそうなことです。

米国の天然ガス市場はもともと世界からかなり隔離された市場で、需給面でも安定、というか貯蔵量が山のように積み上がっており、ファンダメンタルズから見ると値が上がる要素はあまりないのですが、何といってもエネルギー関連ですから、それ程関係なくても石油価格との連想が働いたりする面倒な商品でもあります。また、ハリケーン・シーズンを控えて、昨年のメキシコ湾岸壊滅で価格が天井を文字通り破って、ショートを持っていたガスのトレーダー全滅という記憶から市場が天候に極めて神経質になっていると言う面もあります。

7月初旬までは天然ガスはファンダメンタルズ通りのジリ安で、5ドル台中盤まで落ち込んでいましたが、まず7月の米国各地を襲った熱波の影響で米国の電力使用量はうなぎ上りとなり、電力ピーク時の主力であるガス火力発電の操業率が急上昇し、夏期としては史上初めてガスの備蓄が減るという事態になりました。これでガス価格はあっという間に7ドル台に上昇します。また米国では冷暖房にガスを使っている家も多いのでもともとガスは天候に敏感という面もあります。

ここで7月31日にはカリブ海の熱帯性低気圧が勢力を増して、湾岸を窺っているというニュースが流れたので天然ガスは一気に8ドル台を超えて上昇しました。一説ではこれがMotherRockの「トドメ」になったとの話もあり、この日の急上昇の一部はMotherRockがショートのカバーに走ったからだとの説もあります。昨年も高値のまま数カ月続いて値の落ち着きを待とうとして大損害を被った向きもあるようなので、仕方ないかもしれません。

MotherRockというと、もとニューヨーク商品取引所(NYMEX)の社長(その前はエルパソの偉さんだったと思います)が始めたファンドで、そういう意味では玄人さん中の玄人さんですが(まぁ、ヘッジファンドですから、会社で働くのとはまったく違いますが)、それでもこういう事が起こるところを見ると、火遊びは人間の性のようです。今年は天気予報によると昨年よりもマイルドな天気になるそうですが、もちろん予報なんて当てになりません。ボラティリティの高い時に売るのはキケンなのでやめましょう。

2006/8/1 火曜日

この電気自動車は飛ぶか?

数カ月前から一部で話題になっていましたが、米国のベンチャー企業のTesla Motorsの電気自動車の記事がEconomistの最新号にも載っていました。なかなか結構なスペックです。

性能は静止状態から時速60マイル(約100km)まで4秒、一晩の充電(家庭の普通のコンセント)で400km走行というもので、十分実用の水準に達していそうです。

環境に関しては結局電気も石炭やら何やら燃やして発電してるので、言うほどには環境に優しいというものではないと思いますが、現在の米国の発電構成(約50%が石炭火力)をベースにすると、通常のガソリン自動車よりも温室効果ガスの排出は少なそうです。

温室効果ガスの排出に関しては、どの先進国も道路輸送での排出量削減ではつまづいているので、電気自動車(でも何でも良いのですが)ネットで排出量が減少するのであれば、排出源が削減の困難な道路輸送から、より規制の容易な発電セクターに移ると言うだけでもメリットはあるような気がします(まぁ、よっぽど普及すればという話ですが)。

ちなみにこの会社の出資者はPayPalの創立者のElon Musk、グーグルの創立者のLarry PageとSergey Brinらが名前を連ねているようです。気になる価格は8万9,000ドルで一般に対する出荷は2007年夏の予定とのことです。これは2人乗りロードスターですが、数千台販売した後でより安価な4人乗りの自動車を発売する予定のようです。

Tesla Motors