2006/4/21 金曜日

商品先物はアブナくない?

原油やらココアやらトウモロコシやら商品先物は怪しいプロの遊ぶ地雷原と思っている人も多いと思いますが、近年は株でイマイチなヘッジファンドの資金も流れ込み資産クラスとしてはかなりメジャーに確立されてきているような感もあります(そういえば大手米国証券会社なんかの機関向けリサーチにも「商品をポートフォリオに加えるべき理由」何て感じのやつが増えてるような・・・)。

ただ、リスクやらリターンに関してはよう分からんという面もまだ大きいですし、大事なヘソクリは株に使っても商品先物に突っ込もうと思う人はまだ少ないでしょうが、最近見たK. G. ROUWENHORST (Yale)、GARY B. GORTON (ペン大)の両氏(ゴートン-ローエンホースト指数のお2人)による “Facts and Fantasies about Commodity Futures” によると、どうも商品先物のリターンやリスクは株式と全く変わらんということのようです(完全に担保でバッバックされた - fully collateralized - 商品先物のリターンとシャープ・レシオが株式とほぼ同じだそーです)。

また、これは前から言われていたことですが、商品先物のリターンと株式/債券のリターンは負の相関関係にあることも改めて示されています。ホンマかいなと言う気もするのですが、なんとなくますますお金が流れ込みそうなお話ではあります・・・

Facts and Fantasies about Commodity Futures

2006/4/14 金曜日

米国の成長率は急降下する?

Bloombergは「『革命的』な連銀の研究が『エコノミストの予想を動揺させている』」と報じています。

米国連銀の研究者(Stephanie Aaronson, Bruce Fallick, Andrew Figura, Jonathan Pingle,William Wascher)の新しい論文は、ベビー・ブーマーの引退は米国経済の動きに大きい影響を及ぼし、成長、雇用、企業収益、そして金利などすべての予測の再考が必要としていると、記事は報じています。

同論文では米国の今後10年間の平均成長率は3%を下回り(過去10年は3.3%)、1990年代には20万人台だった月間雇用者増は半分になる可能性があると、Bloombergの記事はしています。

まぁ、労働力が落ちれば成長率も落ちると言うのは別に驚くことではないですが、重要なのはこの連銀の研究者の論文で述べられている予想が、現在の政府および民間セクターの予想を大きく下回っていることで、財政赤字から社会保障の問題まで、大きな議論を巻き起こすことは必至でしょう。

ところで、この論文は現在ドラフトで6月までは公開されない予定ですが、下のリンクでドラフトが読めます。

実は先月末くらいから少し話題になっていたのですが、読むと分かりますがメインの論点は実は米国におけるLabor Participationが下がっていると言う一般的な議論は誤りで米国の失業率は本当に低いんだという内容に見えます。つまり、Bloombergで騒いでいるような点はオマケで、実は連銀タカ派の理論武装だったりして、、、

Bloombergの記事

問題の論文のドラフト;The Recent Decline in Labor Force Participation and its Implications for Potential Labor Supply (PDFです)

2006/4/6 木曜日

米国の年金会計ブラックホール論の証拠物件

米国企業の年金会計はずっと「ブラックホール」として改革の必要性が叫ばれてきています。

企業が従業員に年金支払う約束したらこれは立派な債務です。企業は年金支払い用の積立金と年金債務はある程度バランスするようにしておく必要がありますが、積み立てなんかで実際運用益がでると会社の「プロフィット・センター」かなんかと勘違いしちゃう困った人が結構います。利益出てるうちは良いんですが、へっこむと「あれ?これ債務だっけ」なんて言い出すもっと困った人も出てきます。

というわけで少なくとも年金債務の債務超過(積み立て不足)なんかを「きちんと」バランスシートに反映させようという話になるのは当然なんですが、企業サイドは「そんなことやったら大変な事になるぞ〜」なんて猛反対してきたわけです。で、本当に「大変な事になる」という話の一端が昨日のWSJに出ていました。

この「困ったちゃん会社」は本当に困っているGMなんですが、WSJの記事によるともし年金会計が改革されて実情にあった年金債務過剰をバランスシートに反映させることになると、GMはなんと680億ドル!の新たな年金債務を計上する必要が出てくるようです。GMの昨年末の自己資本は150億ドルしかないことを考えると、これを計上すると実質的な自己資本はマイナス530億ドル!!となります。先ほどGMは金融子会社で唯一の黒字部門であるGMACを売却すると発表していますが、これが100億ドルですので実際にはマイナス430億ドルになりますが・・・

まぁ、CSFBなんかが年金会計に関する連続もののレポートなんかで問題の大きさに関してはずっと警告してきているので、実質的にはすごい「ニュース」というワケでもないんですが、実際に数字が表沙汰になるとやはりインパクトが結構あります。これで「年金会計改革はやっぱり絶対必要」というコンセンサスになるかどうかは分かりませんが。なんといっても企業は業績悪くなるので反対、労働組合も年金が危なくなるので大反対と言う、労使両方の大攻撃を浴びている珍しいケースなんで・・・

しかし、ちょっと話は違いますが、GMのバランスシートには210億ドルの繰延税金資産が計上されているわけですが、唯一の黒字部門を売っちゃうわけですから、繰延税を使う機会も無さそうなんでこれも除却する必要がありそうですね。泣きっ面に蜂とはこのことでしょうか。

WSJ ($)

P.S: 上記CSFBのレポートの名はDavid Zion、Bill Carcacheの両氏による”The magic of pension accounting”という名前の相当有名なレポートで、現在パート3まで出ていますがかなり面白いです。インターネットを検索すれば、(無断で)アップしているサイトもかなり多いと思います。