2006/2/23 木曜日
RIAA(全米レコード協会)が、消費者が自分で買ったコンテンツであっても、スペース・シフティングやフォーマット・シフティング(CDをリップしてiPodやコンピュータに落としたり)は著作権侵害に当たらないわけではない、と主張しているというニュースがちょっとした騒ぎになっているようです。
ただ、RIAAや音楽業界の今までのいろんな裁判での主張を見てきた人にすれば、RIAAや業界が「Fair Use(著作権で守られている作品でも場合によれば、許可なしに複製できる)というのは消費者が与えられることを期待すべき権利ではない」と言う立場を繰り返し明確にしてきたのを知っているでしょうから、あまり驚くには当たらないかもしれません。
ただ、ここで注目されるのは、今まで合法的に購入したコンテンツのフォーマット・シフトなどに関しては知的財産権や著作権などの大きい問題には絡めてこなかったRIAAが正面切って挑んできた点で、過去数年のNapstarやMP3.comに対する勝利で、RIAAがかなり本質的なところで勝負に出てきたような気がします。
今後、iTMSやMicrosoftのミュージック・ストアや音楽プレーヤーに対してRIAAやレーベルがどのようなスタンスを取るのか注目されます。合法的に購入した音楽のバックアップや、合法的に購入したCDをリップしてiPodなどにアップロードするのはRIAAの提出した書類(PDF)によると明らかに「non-infringing use」ではなく、何らかの負担を負わせるべきものとなるからです。
まぁ、私の推測するところですが、RIAAもレーベルもiTMSやMSなどの大手と正面切って戦う気はなく、デジタル音楽も今まで通り少数の大手による寡占市場になるよう、変な奴が一杯出てきて競争市場なんかには間違ってもならないように、きちんとモグラ叩きの予防線を張っているのではないかという気もいたします。
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2006/2/11 土曜日
BloombergによるとSony BMGは現CEOのアンドリュー・ラック氏と現会長のロルフ・シュミットホルツ氏の職責を入れ替える人事を発表したもようです。
SONY出身のアンドリュー・ラック氏とBertelsmann出身のロルフ・シュミットホルツ氏の間(そしておそらくは2つの親会社間)では、経営をめぐって対立があったと見られます。
先週もシュミットホルツ氏はLondon School of Economicsの生徒に対するスピーチで「トップのCEOの人選を誤れば、企業はわずか2年で破壊される」などと語っており(後で特定の企業/CEOに関して語ったわけではないと言ってましたが)、対立の激しさを見せていました。
さて、今回のトップ人事ですが、ブルース・スプリングスティーンへの巨額の契約金や、Rootkit入りCDでミソをつけたラック氏の事実上の解任かもしれませんが、会長とCEOの入れ替えというのは良くわかりません。周りでは「やっぱり50-50の対等のジョイント・ベンチャーはダメだな」という意見も聞くのですが、これには同意せざるを得ないような気がします。
日本の企業は合併でも買収でも対等というのが好きで、合併後の人事もたすきがけなんてのが多いですが、今回の内紛劇や玉虫色人事も買い手、あるいはCommandを取るのがどちらなのかはっきりさせておいた方が良いという見本のようです。まぁ、Sonyがソフト事業を今後どうするかによってこれは変わってくるのでしょうけれど、、、
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2006/2/7 火曜日
What’s my sceneさん経由、時事通信のニュースで「地球は『ミニ氷河期』に=太陽活動が停滞−ロシア天文学者」というのを見たのですが、少し以前に「Nature」で読んだ地球温暖化に関するちょっと面白い賭けの話を思い出しました。
この賭けを提案したのは、現在日本の地球環境フロンティア研究センターで地球環境モデリングの研究をしている英国人研究者のJames Annanさんですが、賭けの内容は1998-2003年の平均地球表面温度と2012-2017年の平均温度を比較して、気温が上昇していたらAnnanさんの勝ち、気温が下がっていたらAnnanさんの負けで、賭け金は10,000ドルというものです。
Annanさん、面白いことにこの賭けを地球温暖化に対する懐疑派の大物(で強制的な2酸化炭素削減スキームに反対の米国共和党の理論的支柱)であるMITのRichard Lindzen教授に挑んだのですが、Lindzen教授は賭け率が50-1なら受けるという何とも情けない返事だったようです(つまり、気温が下がればLindzen教授は10,000ドルもらうが、気温が上がった場合にはLindzen教授は200ドルしか払わないという、Lindzen教授に極めて有利な条件でならば受けても良いということだったようです)。
結局Lindzen教授とは賭けの条件で折り合わなかったのですが、まぁ、この地球温暖化懐疑派の大物が自分の理論にどれくらい自信があるのか良くわかるような話なので一時大きな話題になっていました。
後日ロシアの2人の学者Galina MashnichさんとVladimir Bashkirtsevさんがこの賭けを受けて立ったようで、この2人は上でリンクした記事の学者と同様、地球気温は太陽の活動に大きく影響されるという立場のようです。
ところで、この話を紹介しているGuardianの記事でも指摘しているように、現在短期的な気候の変化による農作物等への打撃はCMEの天候取引などのメカニズムで一部ヘッジすることが可能です。しかし、地球温暖化の長期的なダメージに関してはヘッジが困難です。このAnnanさんの賭けのように、長期的な将来の気温先物のような市場があれば、温暖化の際に沈没などの危機にさらされる地域にとっては良いヘッジになりそうな気がします。ロバート・シラーのマクロ・リサーチあたりが商品化すると面白いのですが。
Natureの記事(有料)
Guardianの記事(無料)
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2006/2/6 月曜日
もうLivedoor関連の話は食傷でもういいかな、という気もするんですが、英Economistの記事にも少し私が気になっていた点が指摘されていたので紹介だけしておきます。
ライブドアの件ではまだなんらの告発もなされておらず、堀江氏および他の重役、特にCFOの宮内氏が何をしたと訴えられているのか依然として明確とは程遠い。
日本のプレスは独自の調査を行った形跡もなく、オフレコで東京地検からスプーンで与えられた情報を毎日リサイクルしている。
中略
問題は、メディアを通じた検察の主張の一部は曖昧なものであり、その他の点に関しても日本以外では明確に不法であったとしても、日本では必ずしも不法ではないということである。例えば、エンロンスタイルの投資パートナーシップに関する会計ルールも存在していない。少なくとも、ライブドアの活動に対してははるか以前に疑問が投げかけられるべきであった。結局のところ、株式分割や市場外取引などの堀江氏が行っていたことはすべて明白であったにもかかわらず、規制当局はその時点ではほとんど調査も行わず、アクションもとらなかった。
これが現在の検察の行動が極端に厳しく(1つの告発もなされないまま、60億ドル以上の株式価値が破壊されたのである)、動機も不明確なものに映る理由である。
Economistの記事全体の論調は、新たな環境に合わせた明確で透明なルールが必要であるというものであり、上に挙げた部分は必ずしも本論に直結する部分ではないのですが、ルールの明確化、あるいは当局による裁量的な介入の回避、という面では問題となるところだと思います(ただ、Economistも検察の行動について、「こわい組織」や政治家との関連が問題となっている可能性も挙げていますが・・・)。
Economist (有料記事)
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2006/2/2 木曜日
Project Syndicateにロバート・シラー(Robert Shiller)先生の「Is Bernanke Ready?」という小文が載っています。「金融政策アクティビスト」議長に対する「老婆(老爺?)心」とも言える文章ですが、金融商品開発などでワケの分からん金融市場との関わりが深いだけに「お世話」承知で書かざるを得なかったというところでしょうか。
大恐慌に対するバーナンキ氏の優れた研究は、彼が次の景気後退、あるいは不況を阻止できるということを意味しない。なぜなら、デフレを止めても全ての問題を解決することはできないからだ。結局のところ米国は1933年に金本位制を離脱し、1934年には金利を1.5%に下げ(ちょっとしたエピソードを除いては)デフレを終結させたが、失業率が安定して15%を下回るには1941年、第2次世界大戦の勃発を待たねばならなかった。
したがってバーナンキ氏は彼の過去の研究から問題を一般化し過ぎる事を避けねばならないだろう。これは、医療専門家が自分の専門領域の病気の患者に対して行き過ぎた診断をしたり、軍事戦略家が過去の戦争を戦うための準備をし過ぎたりしてはならないのと同様だ。
(中略)
近い将来、原油価格の大幅高、あるいは不動産価格の下落、あるいはその両方により、一般の反応いかんによっては、バーナンキ氏は過去に類を見なかったような経済的圧力にさらされるだろう。コンフィデンスが揺らぐ事があれば、1930年代の大恐慌に対する彼の理解ゆえに、彼はそれらのショックが米国そしてひいては世界経済を沈没させることを阻止できない可能性もある。バーナンキ氏は「pushing on a string」している自分に気付く羽目になるかもしれない。
注:「Pushing on string」は金融政策に対するケインズの言葉から来たもので、経済を引き締める時にはStringを引くように金融政策は効くが、逆はそうでもないということです。新議長に対する米国の金融市場の連中の見方は曰く言いがたい結構面白いものが多いのですが(シラーは金融市場の人というわけではないですが)、この手のもその1つと言えます。
Robert Schiller: Is Bernanke Ready?
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2006/2/1 水曜日
米連銀は大方の予想通りFF金利を0.25%利上げしましたが、これで利上げは連続14回で金利は4.5%となりました。今回の声明で注目されているのは、
The Committee judges that some further policy firming may be needed to keep the risks to the attainment of both sustainable economic growth and price stability roughly in balance.
と言う下りですが、前回の声明ではこれは
The Committee judges that some further measured policy firming is likely to be needed to keep the risks to the attainment of both sustainable economic growth and price stability roughly in balance.
となっており、今回は前回の議事録発表の時に予想された通り”measured”の文言が外れ、ここずっと続けてきた、ほとんどオートパイロットの”measured interest rate hike”がそろそろ終わりであるということが示唆されています。また、将来の利上げに関するスタンスも”likely”から”may be”と、よりソフトなものになっています。ただ、市場はもっとグニャグニャにソフトな文言を望んでいたようで、悪態ついてる人が結構いるみたいです。少なくともあと1回はあるという気はしますが・・・
FOMC声明
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