2005/12/27 火曜日

メジャー・レーベル、ダウンロード音楽の価格協調で調査

WSJの伝えているところでは、ニューヨーク州Attony GeneralのEliot Spitzerがグローバルなメジャー・レーベル4社中少なくとも3社をダウンロード音楽の卸価格設定の共謀に関する「業界全体にわたる」調査で召喚したとのことです。

楽曲のダウンロードに関しては、AppleのiTunes Storeやウォルマートのダウンロードサービスなどの小売りに対する音楽レーベルの卸価格は1曲当たり67セントから82セント程度とのことですが、音楽は供給サイドが比較的大手に集中しており、小売りサイドは相対的に分散しているために、協調的なプライシングもやりやすいということはあるかもしれません。まぁ、少なくとも驚きはあまりないという感じもします。

しかし、Spitzerはこの間もSony BMGの「わいろ」事件を摘発したところですが、相変わらず元気なおじさんですね。

WSJの記事($)

MacNN

2005/12/24 土曜日

日経16,000

東証が一時16,000円台を付けたことで、バブルの懸念に関していろいろ言われているようです。まぁどこからを「バブル」と言うのかは分かりませんが、グリーンスパンの言葉を借りれば「泡っぽい(Frothy)」ことは間違いないでしょう。時価総額の6割にも上ろうかという第3者割当の増資を発表した三洋電気がストップ高をつけたりするところにも今の市場の雰囲気が現れているんじゃないでしょうか(フツーなら逆でもおかしくないところです)。

旺盛な市場の買い意欲の根拠となっているのは、好調な企業業績だ。新光総合研究所によると、東証1部上場企業(金融除く)1214社の06年3月期の経常利益は前年同期比3.8%増で、3期連続で過去最高益を更新する見込み。好業績が株価を押し上げ・・・

ってことなんですが、たった3.8%で?という感は拭えません。細かい話は面倒なのでばっさりとした比較をすると、バリュエーション面で日経は今や米国市場と大して変わりませんが、S&P500の企業収益は2004年が25%増、今年はおそらく15%増、減速が懸念されている来年でも2桁台低めか1桁台後半と見られています。

ちなみに、きっちりとキャッシュフローをベースにした計算をすると、米国株も平均でみると過去数十年の平均成長率を大きく超える成長率が今後も相当の間続くと想定しないと、かなりの過大評価ということになります。まぁ、絶対的なキャッシュフローで見るのは「流行らなく」なっていて(多くの資産が過大評価になっちゃいますから)、「ファンダメンタル」の皆さんも今はほとんど「セクター比」とか、「他市場比」とかでお茶濁してますが、、、(これって上げる時も下げる時も使えるから便利・・・)

お金がジャブジャブ状態で、企業収益もとりあえず上向き、円安で輸出企業の上方修正も見込めますし、いったん勢いがついていて、しかもセルサイドの「軍楽隊」も総出でラッパを鳴らしているので、結構強いのかもしれませんが、畳をひっくり返すのを気長に待ってる向きもいることを忘れずに・・・

2005/12/23 金曜日

KDDIとクアルコムが携帯向けTV放送技術「MediaFLO」で提携

KDDIとクアルコムが携帯向けTV放送技術「MediaFLO」で提携というニュースが昨日の日経ITProに出ていましたが、「メディアフロージャパン企画」という共同出資の会社を設立して「MediaFLOの日本でのサービス提供を検討していく」そうです。

MediaFLOは,米クアルコムが開発した携帯端末向けの放送技術なんですが、日本では携帯ネットワークは事業者ごとの独自規格のネットワークが当たり前の世界になっているので、このニュースも「あぁ、クアルコムとKDDIで独自サービス提供すんのね」って感じだと思いますが、欧米では携帯ネットワーク自体がかなり標準化されているので、この技術でのクアルコムのポジショニングは超大手とは言えやや微妙です。

実際、GoTVMobiTVはオープンで標準的な技術で携帯電話にTVをストリーミングするサービスを提供しています。日本の携帯は独自仕様のネットワークであったため、急速に多様なサービスが開発されたという経緯もありますから、一概に独自仕様のネットワークが悪いとは言えないということは分かっているのですが、小さい技術的サイロへの消費者、ベンダーの囲い込みは長期的には消費者の利益にはならないのではないかという気がします。あと、巨大な世界の携帯電話市場で、携帯では歴史のある日本のメーカーがほとんど全くシェアを取れていないというのも、ホーム市場でのこの細切れぶりがあるような気がします。

携帯テクノロジーもビジネスも成熟しつつあるわけですから、この「独自仕様」熱はそろそろ卒業しても良いような気がしますが、、、

2005/12/17 土曜日

音楽ファン敵視は音楽業界のベストプラクティス??

iTunesで再生中の音楽の歌詞を表示するアプリケーション(Widget)にpearLyricsというのがありますが(ありましたが)、その作者に米国大手パブリッシャーのWarner/Chappell Musicが法的措置の警告状(cease and desist letter)を出した事件がここ1週間ほど音楽ファンの大きい怒りをかっていました。警告状はpearLylicsだけではなく、同種の複数のアプリケーションの作家にも送られていたようです。

pearLyricsは山のようにある歌詞掲載サイトから、該当曲の歌詞を探してくるというもので、Warner/Chappell Musicの見解では例のGroksterの判例に基づけば「著作権侵害を助長するようなテクノロジー」ということで法的措置の対象となりえるということのようでしたが、専門家からも疑問の声が上がるとともに、個人の1シェアウェア作家に突然警告状を送りつけるというアプローチに「著作権侵害対策の主要ターゲットではないソフトターゲット(多くの場合音楽ファン)を狙う音楽業界の悪い体質の典型」と大きい怒りを音楽ファンの間に巻き起こすとともに、EFFも激しい口調でWarner/Chappell Musicを批判するという事態になっていました。

Google Musicでも歌詞検索(だけではないですが)が簡単に行われるサービスが始まろうとしており、Warner/Chappellがどう出るかと注目されていましたが、あっさりと「警告状のトーンも、また警告状自体も不適切なものであった」と謝罪したようです。ただ、アプリケーション自体に対するスタンスに関しては何も述べられておらず、相変わらずpearLyricsは「死んだまま」のようですが・・・

この事件の渦中に、The Music Publishers’ Association of America (MPA)が今度は、歌詞、楽譜、Tab譜を著作権者の許可なく掲載しているサイトに対する法的措置をとるという声明を発表し、しかも「懲役刑が加われば(著作権保護が)より効果的になる」などと言ったために蜂の巣をつついたような騒ぎになっています

楽譜、Tab譜、歌詞などは楽曲自体と異なり権利が分散していてiTunesのようなサービスが難しいとも言われていますが、こういう面での著作物利用のプラットフォーム整備や、最大の著作権侵害者である大規模海賊版制作業者の摘発というような重要なことはほったらかしで、将来的にも最も協力が必要となるファンを「犯罪者」扱いで最初のターゲットにするというのは、まったく理解に苦しむことです。

日本でも、楽しい音楽サイトでどうみても著作権者に被害を与えているとは思えない牧歌組合さんのところにJASRACが文句をつけて話題になっていますが、このヒマぶりと音楽ファンを最初のターゲットにする「悪しき習慣」は国境を越えて業界の「ベストプラクティス」になっているようですね。

2005/12/15 木曜日

Akai Professional破産?

一部で大騒ぎになっているようですが、アカイプロフェッショナルが破産手続きを開始したようです。かつてはサンプラーの代名詞的企業で、時の移り変わりを感じますが、どうも(未確認情報ですが)アカイプロフェッショナル自体はすでに米国の企業買収家のJack O’Donnell氏が買収していたというウワサがあるようです(Jack O’Donnell氏が昔買収したNumarkは2004年にすでにアカイプロの米国での販売権を入手しています)。

このウワサが正しいとすると、今回の破産自体はO’Donnell氏が保有するデジタル楽器/オーディオ企業群(Numark, Alesis, Akai)内での多数の法人の中での1法人の単なるリストラかとも思われます。Akaiは米国法人等もあるでしょうし、Akaiのブランドと基礎技術さえあれば「Akai」ブランドの製品は生産可能で「アカイプロフェッショナル株式会社」は不要ってことでしょうか。何となく淋しい話ではありますが。

NumarkもAlesisも経営不振でアブナイ時にO’Donnel氏が買収して、その後結構うまくやっている様なのでおそらく優秀なオーナー経営者なのだろうと思いますし、そういう点では「Akai」ブランドもうまくやっていけるのかもしれません。

しかし、お金がありあまっていて、なくても誰も困らず生かしておいても将来的にお金を生むとは思えない下らん会社を生かしておくために山のようにお金がつぎこまれている日本で、ブランド価値だけでももとがとれそうな会社が消えていくのはどういうことなんでしょうか。

ところで、アメリカの不動産王のドナルド・トランプの企業帝国の幹部に昔Jack O’Donnellって同じ名前の人がいましたが、まさか同一人物でしょうか?違うとは思いますが・・・

2005/12/12 月曜日

みずほ誤発注:システム以前の問題

大騒ぎとなっているみずほ証券の誤発注は現金で強制決済のようですが、発行株式数14,500株の会社の株を61万株売るほうも売る方ですが、この明らかな間違いに山のように食いついた方も食いついた方というか、、、モルガン・スタンレーや野村も相当数取得しているようですが、多分各社の自己勘定デスクは明らかにどっかのアホが入れた間違い注文に「いただきまーす。ガブッ」とばかりに食らいついたんでしょうね・・・

みずほ証券サイドは61万株中46万株を買い戻したとしているようですが、モルガンや野村等でも1000から数千株しか買えていないところをみると(知らん顔して大儲けして売っちゃった後かもしれませんが)、少し怪しい気もいたします。

しかし、普通でしたら誤りの発生をすぐ東証に連絡し、東証はすぐに該当銘柄の取引を停止したあと、誤りの結果生じたと思われる取引をすべて取り消し、またはキャンセルというのが当たり前の対応のような気がしますが、みずほも東証もぼけっとほっといて、あとで数百億の決済というのはにわかには信じがたい世界です。世間ではシステムがどうこう言ってるようですが、システム以前の問題も極めて大きいと言えるでしょう。

この大量取引の時代に、システム的にも仕組み的にも「なっていない」というところを東証も証券会社も暴露しちゃったわけですが、他の国でも”fat finger trade”(まちがい取引)による市場混乱とそれへの対応に関しては昔からの事例があるわけですから、きちんと勉強しておいてほしいものです。

追記:

1. 「昔の事例」でリンクしたのは、2003年12月に起こったナスダックでのCorinthian Colleges(COCO)の取引をめぐるものです。朝10時46分にCOCOの株式は57.45ドルから38.97ドルに急落、Nasdaqは同社に急落の原因となるようなことがあったかどうか確認すると同時に急落の原因となった注文の出所を突き止め、12分後の10時58分には取引は何らかの間違いであるという自己判断のもと同社株の取引を停止、取引停止までに執行されたすべての取引をキャンセルしたという事例です。

この決定に関しては当然その後、多くの疑問、批判もありましたが、Nasdaqは「投資家と一般の利益の保護、および公正で秩序正しい市場の維持のためには必要な措置であった」と訴訟やSECによる調査の潜在的圧力にもかかわらずなかなか骨のあるところを見せていました。法律的にはどうなのかは分かりませんが、この手の大ミスに関しては執行しないというポリシーで宜しいのではないでしょうか。

2. 「占う女」さんが「間違い発注をした側と大量に買った側に密約があった可能性」について書いておられますが、それってあるかも・・・今回の件ではどうか分かりませんが(Abnormalな価格変動はすぐ分かりますから)、からむお金が大きいだけに日本のザル法状態ではそのうちとんでもない状態になるかも・・・。

2005/12/11 日曜日

オーマン先生とシェリング先生のレクチャーがオンラインに

今年のノーベル経済学賞はゲーム理論のロバート・オーマン先生とトーマス・シェリング先生でしたが、お二人のノーベルレクチャーがオンラインで視聴できるようになっています。ちなみに、フォーマットはリアル・オーディオです。

ところで、最近スタンフォードなど、人気教授のレクチャーや講演をオンラインで配信するところが増えてますが、こういうのってなかなか便利ですね。実際に直接議論するのには及びませんが、文字では伝わらない部分もやはり結構多いですから。

ロバート・オーマン:War and Peace

トーマス・シェリング:An Astonishing Sixty Years

Aumann LectureSchelling Lecture

2005/12/9 金曜日

リストラ下手の日本企業

Pioneer Logo

パイオニアが事業構造改革計画を発表しましたが、苦境に陥った日本企業お決まりの業績下方修正とわずかなリストラの積み増しの定番セットという感じでなんとも冴えません。三洋電気よりはマシですが・・・3万人以上の同社で600人の雇用調整というのが多くを物語っているような気がします。もちろん、大規模のリストラをすればそれで良いというものではありませんが、富を生めない事業に資源を貼付けている企業がそのままずるずる同じような事を続けるのはなんとかならないものでしょうか。経済全体でお金がジャブジャブ状態で、潰れる会社もなかなか無いということもあるのかもしれませんが、経営者への利益、成長、生産性といったものに対するインセンティブの仕組みがどうも上手く機能していないような気がします。

中核事業を決めれば、後は出来るだけ速く、短期に思い切ったリストラを行うのが、結局長期的にみれば良い、最も正統的な方法だと思うのですが、ソニー、三洋、そしてこのパイオニアと日本を代表するような企業がなぜそういう「フツー」のことが出来ず、だらだらと中途半端な手を打つのか少し理解に苦しみます。松下の再構築もある程度タイミングを切って一気に行ったのが良かったのではないでしょうか。

ちなみに、ダラダラとしたリストラとして強烈な批判を浴びている米国企業の例を出すとコダックがあります。同社は2年間連続してリストラ費用を計上したために「連続リストラ魔」とか「万年計画未達企業」と強烈な非難を浴びていますが、同社のリストラ計画は全従業員の3分の1以上にあたる25,000人を2年間で削減し、デジタル・イメージングのリーダー企業として再生するというもので、日本であれば「超アグレッシブ」な計画とされているところでしょう。どうも日本企業はこと転換局面になると、やはり全般的にスピードに欠けているような気がします。

2005/12/3 土曜日

GNU GPL、15年ぶりのアップデートへ

Gnu

オープンソース・ソフトウェアは「(米系)巨大IT企業の安価なアウトソース先に成り下がった」という向きから、相変わらず「ソフトウェアの自由を守る勢力」というハードコア派まで見方が大きく分かれていますが、フリーソフトの4分の3が採用しているGNU GPL (General Public License)がフリーソフト/オープンソース・コミュニティの大きな柱であることにはそれほど異論はないのではないでしょうか。

現在のGPL(v2)にアップデートされたのは1991年と、なんと15年(!)も前でありLinux Kernelが出来た年で、それ以来のフリーソフトの急拡大や、それにまつわる商用利用の拡大を考えるとアップデートの良い時期とも言えます。FSFの創立者でGPLの最初の作者のRichard Stallman氏は、すべての変更はフリーソフトの4つの自由の原則に従って行われるとしていますが、今回のアップデート・プロセスは初めて公開形式で行われるようで、FSFはGPLのアップデート・プロセスとガイドラインを公開しており、最初のドラフトを2006年の1月中旬に発表し、一般のコメントを受け入れるとしています。

FSFは、アップデートのプロセスは、参加の意思のある、フリーソフト/オープンソフト・コミュニティ、あらゆる規模の企業、個人デベロッパー、公的機関、NGO、一般ユーザに公開され、あらゆる意見が考慮されるとしています。意見を寄せたい方、ドラフトや進捗についてのアップデートが欲しい人はGPL V3のサイトでeメールリストに登録可能です。

GPLv3プロジェクト

2005/12/2 金曜日

だからダンゴーはやめられない

橋梁談合やら成田の談合やら、まったく談合がなくなる気配はありませんが、橋梁談合の初公判が1216に迫っているようですね。談合などの独禁法違反や、粉飾会計などの経済犯罪に対しては、日本はあまりに甘いんじゃないかという海外の疑念も結構高く、最終的にどのような判決になるか注目されます。

つい先日、某機関投資家勤務の英国人の友人が、日本の某証券会社のプレゼンを受けた話をしていて面白かったのですが、「買い」の推奨銘柄の中にこの橋梁談合事件で指名停止を受けた某社が堂々と入っており、彼は、悪い冗談か、彼の会社をなめきっているのか、あるいはケンカでも売っているんじゃないかと一瞬怪しんだらしいんですが、プレゼンしている方は「事業好調だが、指名停止の影響が不透明なので、事業予想は保守的にしている」なんて平気でしゃべっていて「アタマがクラクラした」と言ってました。「別にそんなのフツーよ」って言うと「またアタマがクラクラしてきた」そーで(笑)。

談合の独禁法とは違うんですが、例えば財務報告なんかでも海外は米国のSOXを始めとして相当キツいですが、日本では結構ザルです。かなり古い話ですが、一昨年の12回金融審議会の議事録でも、

岩原委員:大和銀行の例の有名な事件、あれはアメリカであれだけ大きい問題になって、何百億という罰金を科せられた。あれは要するに嘘をついたということで、本来の正しい財務諸表の提供を当局にしていなかったというわけですけれども、隠していたとき、ちょうど大和銀行はたしか転換社債か何かを日本で発行しているんですが、当然隠して発行しているわけです。ところが、日本でそれを摘発されたということは全然聞きませんし、民事責任を追求されたという話も聞かない。(略) 

大和銀行は、要するに当局に嘘の報告をしたことでアメリカで刑事罰を受けたわけですけれども、そのときの罰金の額はたしか1,000億を超えた額で、しかも結局、閉鎖して国外追放というか、営業できなくなったんですが、日本の当局に対しても実は同じ問題があったはずで、日本の銀行監督当局に対して虚偽の報告をしたときの罰金、たしか当時300万だったと思います。300万だったら、金を払って嘘をやった方が多分得なわけでありまして・・・(略)

ってな話で、罰が軽くても法律守るってのが理想ですが、罰も軽くさっきの証券会社の話みたいに一般の認識も軽くじゃ、多額のお金や仕事が絡んでる世界で、法律守れってのが無理かもしれませんね。もう1つ、その友人に教えてあげたら完全に絶句したのが、世界に名高いKeidanren会長の「談合は慣習、一気になくすのは難しい」というセリフで、こりゃ本当にトドメでした。