2005/6/29 水曜日
ファイル交換ソフトの頒布をめぐるグロックスター事件裁判の判決が出ましたが、9人の裁判官全員が全員一致で、グロックスターの著作権侵害に関する責任を否定した下級審の判決を破棄したもようです(判決)。
もともとの裁判はGroksterとStreamCast Networksのソフトを使ってユーザーが映画、音楽のファイル交換を行っていたのに対し、MGMが両社に対して訴えを起こしたものです。下級審では両社に無罪が言い渡されていましたが、MGMはこれを不服として最高裁に訴えを起こしていました。
この裁判、ハイテク業界とエンターテインメント業界両方が注目していましたが、ハイテク業界の主張は、ハリウッドが要求するようにユーザーが技術をどう使うか100%コントロールするのは不可能で、それを前提とするルールを作れば技術の進歩は阻害されてしまうというものでした。
ハイテク側は20年前のSony対ユニバーサルのベータマックス裁判を例としてあげていました(当時の裁判所の判断は、VCRには合法的な用途がありユーザーがVCRを使っておこなった著作権侵害に関してメーカーは責任を負うことはないというもの)。
今回の判決でエンタメ産業サイドは大いに祝杯を挙げているかと最初は思いましたが、どうもいろいろ米国のサイトをほっつき歩くと、今回の裁判は以前のベータマックス判決、つまり、著作権を侵害する以外の正当な用途を持つ機械のメーカーはその機械を用いてなされた著作権侵害行為の責任を問われない、という原則を再確認したものであるとの解釈が多いようです。
日本語のサイトでは、awake in a muddleさんのところで分かりやすい説明がありましたが、ハイテク業界サイドでは期待ほどではないにしろ、最悪の事態は免れたといえるようです。ただ、合法かそうではないかの線は依然としてグレーで、今後おそらく多くの裁判が戦われることになるんでしょうね。そういう意味からいうとハイテク・サイドからすると訴訟リスクはかえって増大したのかもしれません。
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2005/6/27 月曜日
原油価格が高騰している中で、CNOOC(中国海洋石油公司)の米国の石油会社Unocalに対する買収提案が米国内で議論を呼んでいるようです。米国の政治家は相変わらずちょっと騒ぎ過ぎなんですが(Unocalが権益を持つ石油/天然ガスの大半はアジアにあり、米国に対する実質的な影響は極めて少ないようです)、ただこれには懸念を煽っても仕方がない部分も(かなり)あります。
1つはCNOOCの株式の70%を実質的に保有するのが中国政府であるということで(CNOOCの70%を持つ企業は非上場の純然たる100%の中国国営企業です)、もしCNOOCがUnocalを買収するという事になると、市場取引を経由するとはいえ米国の民間企業が実質上中国政府に「国有化」されるという事態になります。
多かれ少なかれ経済原則の外にいる政治がもろに市場で企業を買うということで、経済的にはあまり歓迎できる事ではないといえます(経済原則の通用しないプレーヤーの取引による価格シグナルの歪みは資源配分の歪みをもたらしますから)。CNOOCのFu社長は米国企業でも働かれていた方ですから、市場経済のルールを心得られていますが、70%国有という現実が変わるわけではありません。
もう1つは、価格ですがCNOOCの提案196億ドルは、Unocalの原油埋蔵量1バレル当たり11.50ドルとちょっと例のない高額で(まぁ、深海探査等のテクノロジーの「代金」も入っているとは思いますが)、エネルギーの安定供給(=国内政治の安定)のためには中国政府がどれだけの資源をつぎ込む用意があるかという事を如実に表しているということです。
基本的にCNOOCは公開企業で少数株主も多数存在するわけですが、今回の買収資金に関しても100%国有企業である親会社が超低金利で70億ドル(45億ドルを3.5%の30年ローン、25億ドルの無金利のブリッジ・ローン)を出す予定のようですから、中国政府の意向が大きく働いている事は間違いないでしょう。
ということで、原油価格にとっても大きな「支持材料」と言えるのではないでしょうか・・・まぁ、最終的にCNOOCが買収するか、対抗馬のChevronが買収する事になるかはまだ分かりませんが・・・
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2005/6/26 日曜日
以前取り上げたこともある、IFPIの年次海賊版報告書(annual commercial piracy report)の最新版が出ています。世界で販売されているCDの3分の1が海賊版というのは変わっていませんが、海賊版の売上伸び率は前年比2%増でここ5年間で最低としています。
以下ちょっとニュース・リリースから何点かピックアップすると、、、
- 2004年の海賊版ディスク売上は2%増加して12億枚、ここ5年で最低の伸びだが枚数自体は2000年の倍
- インターポールなどの協力で、摘発され閉鎖された海賊版業者の87の生産ラインの生産能力は3億8000万枚(比較のためあげると米国のディスク売上のほぼ半分にあたる)
- 海賊版カセットテープの売上減少で海賊版レコーディングの売上数量自体は微減
- 31カ国で海賊版の売上が正規版の売上を上回る
などが挙げられます。海賊版業者の摘発はある程度効果を上げていると結論していますが(摘発ラインの規模からしておそらくそうなんだろうと思いますが)、ケーザイ学的にゆーと、巨大なブラック・マーケットの存在は、悪人の数が多いということよりも、正規市場のプライシングに問題があるということを示す場合が非常に多いです。つまり、ディスクの価格が高すぎるという可能性もあります(無限にコピー可能な製品では必ずしも一般的な商品の市場のアナロジーは成り立ちませんが)。
ところで、別の調査ですが、ロイターが報じたところによると音楽消費者の35%はいまや正規で音楽ダウンロード購入をしており、違法ダウンロードの経験があると答えた40%という数字に迫っているようです。インターネット・ウィルスの恐れや、音質などが主な理由とロイターは報じています。以前取り上げましたが、元クラッシュのプロデューサーのサンディ・パールマンのいうようにダウンロード音楽を一律5セントくらいにすると確かに違法ダウンロードはかなりなくなる可能性があるかもしれませんね。
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2005/6/25 土曜日
音楽携帯が躍進してiPodの「我が世の春」も終わるって話はもう聞き飽きるくらい流布してるんですが、今度はウォール・ストリート・ジャーナルの投資誌であるBarronsで同じハナシが出てました。私自身は「携帯機器ではあんまり音楽聴きたくない派」なんですが、個人的にはこの「携帯圧勝シナリオ」は眉唾だと思っています(ケータイってなんか音楽の対極にある機械のような気がして・・・でも趣味がからむと大体私の予測は外れるんですが・・・)。
野暮用で記事のちょっとしたまとめを作ったんですが、その一部だけ下にのせてみました。上で書いたように個人的には内容はあまり買えないんですが、ヨーロッパでの携帯電話音楽サービスのミュージウェイブのハナシがちょっとだけ面白かったような・・・
モルガン・スタンレーのアナリストであるレベッカ・ランクル氏は最近のレポートで、アップルの全製品のラインアップで勢いが続くとしている。同氏の予想では -
- iPodの今年度の売上は400%増の2,200万台、来年度はさらに倍増の4,500万台
- マッキントッシュの伸長も続く
- アップルの今年度の売上は70%増の140億ドル、来年度は220億ドル
- 利益は今年度には4倍のほぼ12億ドル(EPS1.34ドル)、来年度には15億ドル(EPS1.67ドル)以上
- アップルのPERは33倍が妥当であり、それによると株価は60ドル程度(現在39ドル程度)。
しかし、この予想は今後予定されている音楽携帯電話の登場を計算に入れていない。携帯電話企業は音楽産業と連携し大半の携帯電話を音楽プレーヤーに変貌させようとしている。iPodがたとえ4,500万台売れたとしても、携帯端末は7億5,000万台販売されており、これはアップルの将来に暗い影を投げかけている。
iTunesストアでは1曲が99セントであるのに比較し、携帯電話では6秒間のリングトーン(着うたのようなもの)が2ドルで売れている。すでにLi’l FlipやPetey PabloのようなアーチストはCDよりもリングトーンの売上の方が多い。ソニーBMGやEMIのような音楽産業もワイヤレス通信業者との方がアップルよりもやりやすいと考えている。
欧州でもドイツ・テレコムのT-モバイル、ボーダフォンなどが音楽のダウンロード・サービスを提供している。この両社は音楽サービスをフランスの非公開企業であるミュージウェイブに外部委託している。
ミュージウェイブのサービスでは、携帯ユーザはいつでもストリーミング音楽を聴くことができ、携帯で音楽をダウンロード購入できる。フルトラックの他にもリングトーン、ビデオ・リングトーン、リングバック(電話をかけてきた相手に聞こえる呼び出し音を音楽にしたもの)の購入ができ、購入した音楽は、携帯とPCの両方にダウンロードできる。
外出先で新しい音楽を聴いたときに、携帯をその音源に近づければ、ミュージウェイブのサービスはその曲が何かを探し出し、その曲を購入できるようにしてくれる。また、ユーザはダウンロード購入した曲を友人にワイヤレスで転送できるが、その友人はその曲を1-2回聴くと支払いが必要となる。顧客の購入履歴データも重要であり、顧客の過去の購入履歴から他の曲やリングトーンを推奨するサービスを行っているが、売上の34%はそのような推奨によるものである。
先月ロジャーズ・ワイヤレスはカナダでフルトラックの音楽ダウンロード・サービスを1曲1.25-1.99カナダ・ドル(1カナダ・ドル=約88.5円)で開始した。最初にサービスに対応した携帯端末はノキア(NOK)の端末で価格は130-300カナダドルである。アップルは1曲販売するたびにクレジット・カード会社に10-20セントの請求手数料を支払う必要があるが、毎月請求を行っている携帯電話会社にはこのような追加費用は必要ではなく、デジタル音楽を販売する上で大きく優位にある。
電話会社はアップルよりも音楽の売上を伸ばせると考えている。アップルが4億曲もの音楽を販売したのは称賛に値するが、現在までに1500万ユニットのiPodが販売されたことを考慮すると、1ユニットあたりの販売曲数はそれほど多いものではない。
ボーダフォンとベライゾン・コミュニケーションズのジョイント・ベンチャーであるベライゾン・ワイヤレスは米国で最初に大規模な3Gネットワークを展開するが、音楽は同社にとって「極めて戦略的」としている。
逆にワイヤレスは音楽産業にとっても戦略的である。CDの売上は下落しており、アーチストとレコード・レーベルはこの下落をリングトーンやリングバックなどで埋め合わせるための努力を進んで行っている。音楽産業は今や売上の10%をこれらの素材から上げている。ソニーBMGの幹部は携帯端末はその数の多さによりiPodに比較して重要な音楽市場になるとしている。この幹部は米国の携帯電話の数はiPodの数を18対1で上回っているとしている。
クアルコム、フリースケール・セミコンダクターやテキサス・インストゥルメンツは、携帯端末の基本的なチップセットにデジタル音楽用のチップを組み込む予定であり、クアルコムはすでにそのようなチップのサンプル出荷を行っている。来年以降、ノキア、サムソン、モトローラなどの3G端末にとっては、音楽プレーヤーの方がデジタル・カメラよりも一般的な装備となる可能性がある。
もちろんアップルも立ち止まっていないだろう。次世代iPodはWiFi機能を搭載するといわれており、ミュージウェイブのサービスのように友人に音楽を転送できるようになるだろう。
しかしソニーBMGやEMIのようなレコード・レーベルはアップル独自の音楽フォーマットに反対し、iPodにデータを転送できないCDをリリースしている。しかもワイヤレス通信事業者とレコード業界はオープン・モバイル・アライアンスの旗印のもと、自分たちのデジタル音楽フォーマットを開発している。
ミュージウェイブの会長であるジル・バビネ氏はiPodについて「袋小路の戦略をとっているかもしれない」と述べている。
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Foreign Affairsといえば米国の外交・政治専門誌で大物もよく寄稿していますが、最新号(2005年7/8月号)ではなんと全体の3分の1を鳥インフルエンザの特集に当てていて、政府による対策の加速を訴えており、米国においてかなり危機感が高まっていることを示しています。
今までの中国南部、東南アジアでのH5N1の状況をみると、1918年のスペイン風邪をはるかにしのぐ猛威を振るう可能性があるとしており、ちょっとユーウツな話ではあります。私も勉強不足で、これ読んで初めて知ったこともわりとあったのですが、そのうちのいくつか(まぁ私からするとForeign AffairsがEUもイラクも中国もそっちのけでこれだけの特集を組んだということ自体が少しコワいのですが)。
- 1918年のスペイン風邪では、米国では当時の人口の6%にあたる675,000人が死亡。1918年の米国の全死亡数のほぼ半数がスペイン風邪に関連するものだった。現在に当てはめると200万人が米国で死亡することになる。スペイン風邪で最も死亡数が多かったのは20-35才の若い大人(これもH5N1と似ている)。
- 通常のインフルエンザは実験用マウスには影響しないが、H5N1では100%死亡。感染した鶏肉を与えられたタイの動物園の虎は418頭中147頭が死亡。人間での死亡率は2003年の68%から2004年の12月には36%になっており、ウィルスの人間への「親和性」が高まりつつあることが恐れられている。
- H5N1に感染した鶏は100%死亡。卵もやられるので、卵をベースとしている従来のワクチン生産手法はそのままでは使えない。インフルエンザの初期にウィルスの増殖を抑えるといわれているタミフルはスイスのロッシュ1社のみが製造しているが、生産拠点はスイスの一カ所で、WHOが鳥インフルエンザに備えて各国に勧めている在庫の積み増しは困難。インフルエンザ・ワクチンは儲からないので生産規模は世界的に縮小中。
- 前回のインフルエンザ大流行は1968-69年で、これも中国南部で発生しているが、当時と比較してもウィルスが変異を繰り返して人間から人間に感染するタイプに進化しやすい状況(人間、豚、家禽類の密集)になっており、H5N1が「人間対応型」になる可能性が高い。例:1968年の中国の人口7億9000万に対し現在は13億、当時の中国の豚の数520万頭に対し現在は5億800万頭、家禽類は当時の1230万羽に対し現在は130億羽(!)と「ウィルス試験管」状態となっている。
この間のSARSのような破壊力の弱いものでも、経済的影響は大きいものだったが、スペイン風邪をはるかにしのぐ規模となると、経済・外交、各国の政治、治安に重大な影響を与えることになるため、各国政府は対応を加速させるべきだというのが各記事の結論になっています。実際米国ではインフルエンザ対策の予算は数倍規模でかさ上げされてきているようですが、それではどうしようもないということなんですが・・・ところで、日本は大丈夫かしらん?
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2005/6/20 月曜日
Barronsで恒例のラウンドテーブルをやってました。まぁ金融商品売ったり買ったり(だけ)の人たちの話はあんまり面白くないこともあったりするんですが、ただ、最近の動向についてここらへんの人が何を感じているのか、興味をひかれることもあります。ちょっと例を出すと、
年初にドルの反発を予測していたフェリックス・ズラウフは、米国のマネタリー・ベースと各国中銀のドル保有の合計でみた、「グローバル・ベース・マネー」の伸びの急低下を指摘して、夏以降の株式市場の下落を予想。ふむ、「グローバル・ベース・マネー」の伸びの急低下は、現在の世界的規模の資産バブル(に近いもの)に影響を与える可能性がありますね。
あと、ズラウフと、「トゥモローズゴールド」のマーク・ファーバーの両氏はとうもろこし、大豆、小麦などの長期的な上昇を言ってますね。中国の消費、それと今後の温暖化による気象の極端化で農作物の需給バランスが締まるってことみたいです。天候だけはちょっとわからんですが、食物価格上昇をあてこんだ、ここ数年の投資家やファンドの農業シフト(南アの農牧地を買いあさってるところもあるみたいですが)は続いているようですね。
そして、マリオ・ガベリは「全世界の産業用、商用、民生用などすべての用途の水」に注目だそうで、水処理関連を探してるみたいなんですが、農作物に水となると、エネルギー価格の上昇とも合わせ、どうも人間の生活自体を支えるのが大変になってきてるとも言えますね。あとファーバーの金・銀のおすすめなんかもあわせると何となく剣呑な香りもしますが。
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2005/6/17 金曜日
WSJは米国連邦検察官が濫用的タックス・シェルターの販売と司法妨害の容疑で会計事務所大手のKPMGに対して刑事訴訟の準備をしていると報じています。
ただ、実際に起訴となるとアンダーセンの崩壊などですでに4つしか残っていない大手会計事務所の1つが崩壊するリスクもあり、司法省も痛し痒しのようです。司法省は遅延執行合意書(Deferred Prosecution Agreement)のもとで巨額の罰金を課すことで穏便にすまそうとしているんじゃないかと言われていますが、KPMG側はそんな合意だけでも信用第一の事業に対する致命的なダメージになるとして拒否のポーズをとっているようです。今日のニュースによるとKPMG側は一部の元パートナーの不正行為を認めて謝罪し、起訴をなんとか逃れようという戦術に出ているようです。
超大企業の監査ができる能力のある大手法人がすでに4つしか残っていないという「過小競争」状態には規制当局もアタマを悩ませており、企業のガバナンス等を考えても、とても残っている大手をつぶすわけにはいかないという部分もあるんでしょうが、逆にいい加減な手を打つとモラル・ハザードを引き起こすという可能性もあり、難しいところでしょうね。しかし記事を見るだけでも相当えげつないことをやってるので「元の社員がやったこと」でタダですませるわけにはいかないと思うのですが・・・・
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2005/6/9 木曜日

先頃AppleのCEOのスティーブ・ジョブズはIntelのCPUへの乗り換えを発表しましたが、新しいIntelベースのMacの登場時期については「来年の今頃には市場に出ている」というあいまいなものでした。そこで、ちらほら見るのが「スティーブ・ジョブズはオズボーン効果(Osborne Effect)のスイッチを押しちゃったんじゃないか」っていう意見です。オズボーン効果っていうのはハイテクのマーケティングなんかでよく出てくる言葉ですが・・・
オズボーン効果という言葉のもとになったのは、アダム・オズボーンというイギリス人ですが、おそらく世界で初のポータブル・コンピュータを世に出した人物です。
オズボーン・コンピュータ・コーポレーションが1981年に発売したOsborne1はポータブルというだけでなく、1795ドルという当時の同等の性能のコンピュータの半額の値段で、しかもこれまた業界で初めて各種ソフトウェアがバンドルされていました。
バンドルされていたソフトウェアはワープロのWordStar、スプレッドシートのSuperCalc、データベースのdBase II、そしてプログラム言語のベーシックを2種という、まぁ今で言えば「オフィス・スイート」って感じのものでした。なかなかやりますね。
Osborne1は最初の事業計画ではトータルで1万台の販売を見込んでいたようですが、実際にはピーク時には1カ月の出荷台数が1万台を超えるという大ヒットになりました。その後アップル、IBM、コンパックなどとの厳しい競争となりましたが、最終的にオズボーン・コンピュータの息の根を止めたのは他ならぬアダム・オズボーンその人でした。
1983年にアダム・オズボーンは当時オズボーン・コンピュータが取りかかっていた新型コンピュータについて誇らしく発言したのですが、その「新型オズボーン」はまだ発売できる状態ではなかったのが問題でした。
消費者は「新型オズボーン」まで待つことに決め込み、ディーラーからは現行機種Osborne1の注文のキャンセルが相次ぎ、倉庫は売れ残りのOsborne1であふれるという状態となってしまったわけです。在庫を売りさばくため価格を大胆に引き下げ、1983年の8月には995ドルまで価格は下がりましたが売上は結局回復せず、オズボーン・コンピュータはあえなく1983年の9月に倒産。ここに「オズボーン効果」という言葉が生まれたわけです。つまり「まだまだ先の新製品の話をして、現行製品をつぶす」って意味ですね。
スティーブ・ジョブズは以前に、NEXTでハード販売をやめると決断した際に、インテル版のNEXT Stepが完成する数ヶ月前にそれを発表して、コンピュータは売れんわ、Intel上で売るソフトはないわというワヤクチャになったことがあったような・・・今度は大丈夫だといいんですが(Intelへのスイッチ自体は別に悪い決断ではないと思いますが)。私?やっぱり新しいMacが出るまで待つかも・・・
ところでオズボーンさんは2年程前にひっそり亡くなりましたが、オズボーン・コンピュータの後にも、業界で初めてコンピュータ関連のテキスト・入門書・マニュアルに特化した出版事業を始めたり(その後Mcgrew-Hillが買収)、スプレッド・シートのソフト会社を興したり(Lotusとの法廷闘争に破れこれもアウト)、なかなか大変な人だったようです・・・ただ「オズボーン効果」に関して言うと、守秘義務をマスメディア・サイドが守らなかったという話もあるようで、「マス・メディアの方々をあんまり信じるな」という意味でも教訓かも・・・


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2005/6/5 日曜日
エンロンの派手な破綻劇からもう数年経ちますが、そのエンロン関連事案のアーサー・アンダーセン事件に対して米国連邦最高裁は有罪判決を破棄しました。
アーサー・アンダーセン事件というのは、不正会計を行っていたエンロンの外部監査であったアンダーセン社において大規模に行われた書類破棄が証拠隠滅に問われたものです。アンダーセン社の所属弁護士で、従業員に書類破棄を促す電子メールを送った1人であるナンシー・テンプルの社内メモには「SEC(証券取引委員会)による調査の可能性が極めて高い」と書かれたものがあり、同社が調査に備えて「証拠隠滅」を図ったとみられました(司法妨害)。アンダーセンのヒューストン・オフィスでは約2トンのエンロン関係の書類が当局の調査が入る前にシュレッダーにかけられたと見られています。
2002年の同社の起訴後、ビッグ5の大手で当時約90,000人の従業員を抱えていた会計事務所・監査法人アンダーセンは完全に崩壊し(直前に分離独立していたアンダーセン・コンサルティングは現在アクセンチュア)、現在はこの事案を含む裁判関連の残務のために200人程度が残っているだけで、今回の破棄決定を受けて再公判が行われる可能性はほとんどなさそうです(死刑の判決を受けて、もう処刑された人をもう一度訴えるようなもんですからね)。
今回の決定の理由は、以前の有罪判決では「書類の破棄の際に、アンダーセンの社員に不正行為を行っているという意識があったということが立証されていない」(そのように陪審説示されていない)というもののようです。つまり、「調査が始まると知っていった」ということと「書類の破棄を命じた」ということだけでは、有罪の根拠にはならないという事だと思います。まぁ、2トンものエンロン関連の書類が調査の直前の短期間の間に始末されたということだけでは「証拠にならん」ということでしょうか(法律に関してはトーシロなんで良く分かりませんが)。まぁ、真っ当な決定であり、問われるとすれば検察サイドの怠慢なんじゃないでしょうか。
ただ、このエンロンの件が無ければアンダーセンが生き残ったかというと難しいところでしょうね。この他にもWaste Management社やワールドコム社ににおける不正会計など爆弾を山ほど抱えていましたから。ただ、アンダーセン社にはこれらのどうしようもない連中とは関連の無い人も山のようにいた訳ですから、会社ではなく個人の起訴でも良かったような気はしますが・・・
サーベンス・オクスリー法の施行などで、この事案の背景となっている事項がすでに大きく変わっているので、この決定の影響自体は限定的なものだと思います(まぁ不正を行っている幹部が書類をシュレッダーにかけやすくはなるかもしれませんが)。ただ、同じく司法妨害の容疑で現在係争中の元クレディ・スイスのFrank Quattroneなんかには有利な決定かも知れません(起訴陪審の調査が始まったと知った直後に「ファイルを片付けとけ」とスタッフに電子メールで指令していた)。「ちらかってるのが嫌いなだけだ」なんてね。
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2005/6/2 木曜日
文献あさりをしていて見つけたんですが、ifpiのレポートによると2003年に世界で販売された全CDの何と35%が違法コピー物だそうです・・・・まださっと見ただけで推定方法の詳細など分からないので何とも言えませんが、以前から犯罪組織が財源獲得のため力を入れているなどとの話もありましたから相当量が出回っているのは事実なんでしょうね。で、これをある程度本当とすると、単純に考えて分かることは・・
- 米国でRIAAなんかがやっている、P2Pで音楽ファイルを交換した貧乏学生をちまちま訴訟に引っ張りだすというのはほとんど何の役にも立たないとゆーこと・・・
- コピー防止やDRMもあんまり役に立たないだろうとゆーこと。DRMを破るインセンティブが一番あるのは組織的な犯罪グループであり、いったん破られると山のようにコピーを流通させるのもこういうグループですから。個人レベルのコピーを難しくするのは優先順位から言うと低い(というかあまり実効的ではない)ですね。
- 上と同様の理由で、CD-Rドライブや、ハードディスクや、MP3プレーヤに広く「著作権税」をかけるってのも、犯罪組織のおかげでヘッコンだ収入を大半は違法コピーとは関係のない連中から巻き上げようってことになっちゃいますね。
米国のMPAAなんかは、RIAAとは異なり海賊版販売業者の取り締まりのために警察当局などに資金協力を行っているようですが、もし3分の1が海賊版というのが本当であれば、犯罪組織の財源を断つ意味でもこのような取り組みに力を注ぐべきであるようにも思えます。
ちなみに、推定ディスク製造能力と合法的なディスクの需要との差(つまり過剰プレス能力)を国別に示したリストがあったのですが(つまり過剰能力の部分は違法コピーに用いられている可能性が高い)、上から、台湾、中国、香港、インド、マレーシア、シンガポールという順になっています。いや、ご近所ばっかりですな。
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