すこし前に、某社の依頼で米国ワシントンのシンクタンクであるCED (COMMITTEE FOR ECONOMIC DEVELOPMENT:経済開発委員会)のデジタル著作権に関する2004年3月の報告書(Promoting Innovation and Economic Growth: The Special Problem of Digital Intellectual Property)の分析をしたのですが、その際に翻訳したエグゼクティブ・サマリーを一応アップしておきます。
CEDは米国経済界・教育界のメインストリームの大物連中からなる非営利、非党派組織です(非党派・非政治的団体ですが、顔ぶれから見てもある程度影響力があると思われます)。報告書は少し古いですが、あちらの経済界の見方が反映されていて面白いものがあります。
CED報告書のエグゼクティブ・サマリー
少し古いニュースなんだけど、ウォーレン・バフェットといえば伝説的な投資家・経営者だが、彼の率いるバークシャー・ハザウェイ傘下の保険会社(General Re)がAIGの粉飾決算に近い会計処理のもとになった取引の相手方だったことでSECの事情聴取を受けた。
詳しい内容はいろんなところで書かれているから、ここで書くことはあんまりないんだけど、気になる方にはここに記述があります。
気になった点が1つある。AIGは後ろめたい取引をGeneral Reとしたわけだけど、後ろめたい取引の相手方となる事によってGeneral Reは有利な条件を得たわけだ。言い換えると、AIGの経営陣は(経営陣の成績を良く見せるため)潜在的にAIGの株主に不利となる行為を行い、AIGの経営陣を助けたGeneral Reはそのかわりに(AIGの経営陣の弱みに付け込んで)自社の株主の利益になる有利な条件を得たということになる。
言うまでもないが、AIGの株主に責任を持つのはあくまでAIGの経営陣で、バフェット氏の責任はバークシャーの株主にある。なんでこんな事が気になったかというと、1980年代にソロモン・ブラザーズのジョン・グットフロイント氏がソロモンを(株主の利益に反して)買収から防ごうとした時に、バフェット氏に助けを求めたわけなんだけど、バフェット氏はグットフロイントの弱みに付け込んで極めて有利な条件で援助を提供した。
当時グットフロイント氏を株主に対する義務に反したということで攻撃する声は相当あったみたいだけど、バフェット氏を攻撃する声はなかったみたいだ(それどころか、抜け目なく有利なショーバイをしたことで褒める声もあったみたい)。
今回はバフェット氏の名声にもちょっと陰がさしているようだけど、これは、この10-20年の間で米国の企業経営陣を見る目が、単に株主への義務を守っているかどうかとかいうことだけではなく、かなり「モラリスティック」になっていることを象徴しているような気がする。
不倫でクビになった社長もいるしね(全然関係ないか、、、)。今回はバフェット氏は「取引の内容をほとんど知らなかった」ということで放免かもしれないですけどね。
ところで、AIGの「ハンク」グリーンバーグ氏も大変タフな経営者でしたが、こういう形での退場となるとは予想もできないことでした。