2004/10/31 日曜日

イラク人質殺害

イラクで人質になっていた日本人旅行者が殺害されたようだ。ご家族の心中察するに、ただなんとも辛い事件ではあるが、少し気になったことがある。

1. 今回以外にも多数の人質を殺害しているザルカウィ一派だが、なぜ今にいたるも排除されていないのか?

米国は少なくとも、かなり昔から(つまりイラク戦が始まるずっと前からってことだが)ザルカウィのテロリスト・キャンプの所在をつかんでいたはずである。

2003年始めにコリン・パウエルが国連でイラクに対する攻撃の正当性を主張した時も、当時クルド族の居住地にあった連中のテロ訓練キャンプに関して詳しく説明し、サダムがテロを支援している根拠としていたように記憶している。

サダムとザルカウィに関連があったかどうかは別として(これは良く分からん。)、少なくともこれから見ても米国はこのとんでもない「聖戦派」に関して十分に情報を持っていたはずと思われる。イラクに侵攻してサダムを排除したものの、所在を知っていたテロリスト一派を取り逃がしたってことは、数多いブッシュ政権の戦術的失敗の中でも結構大きいものではないだろうか?連中のキャンプの所在を知っていたのなら、イラクで大攻勢をかける以前でさえ小規模の攻撃で彼らを排除できたはずである。テロ排除よりも、サダム排除による「中東民主化」というネオコン的目標を重視していたと言われても仕方ないだろう(ところで、ラムズフェルドまでネオコンに含めている記事なんかもあるが、それはさすがにネオコンに失礼だろう)。

2. 小泉は自衛隊撤退を即座に否定して交渉の余地を無くしたのか?

人質事件で毎回言われていることだけど、、、今回もあちこちでこういう批判を見るけどね、どう考えてもザルカウィとかに対して交渉の余地は全くないだろう(あっち側の生殺余奪の権を小泉が握っているならまだしもね)。あったとしてもするべきではないだろうし、していても日本の首相がそんな態度を見せれるわけがないだろう。ザルカウィと交渉して自衛隊を撤退させるなどということがあり得ないのは(自衛隊の派遣の是非は別にしてね)、フツーに考えりゃトーゼンでしょ。ザルカウィと交渉の余地が少しでもあると思ってる方々はもうすこしお勉強した方が良い。フランス人であろうとトルコ人であろうと関係ない連中なんである。小泉の対応はあれしかない。日本人がお好きな(でも決して得意ではない)グダグダ腹芸は持ち込んではいけないところがある。旅行で行ってはいけないところがあるのと同じ。

2004/10/28 木曜日

ブッシュとケリー??

メールマガジン no.39配信分です。

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□ ケーザイ・ガクシャはケリー、ビジネス・コミュニティはブッシュ?
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ここまで単純なモンではもちろんない。ブッシュ支持の経済学者も結構いるし、
ケリーを支持しているビジネスマンもいる。しかしメディアなんかでは、学者
はケリー支持、企業はブッシュ支持が目立つ。

これはまあ単に学者に関してはインテリが多いから「ブッシュ支持」なんて公
言するのは、コケンにかかわるってのもあるし、ビジネスマンに関しては現政
権の批判してもお金儲けにはならないから別に公言する必要はないという事情
も大きいとは思うんだけど、その「目立つ部分」に関して言えば、どちらもロ
ジックは結構シンプルなものだ。

学者に関して言えば、最大のものが財政赤字だ。財政の大赤字にもかかわらず
「減税一本槍」の経済政策に呆れ果ててるってとこだろう。企業社会の方から
言えば、ケリーの相次ぐ「大企業」批判やら、「オフショアリング(業務の海外
委託)」に対する攻撃に見られる「保護主義的」な経済政策や、「増税」による
景気減速の怖れってとこだろう。

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□ 「保守」と「リベラル」
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ここでちょっと基本的なおさらい、、、

共和党:あっちで「保守」とか「右翼」ってゆーと、基本的には経済政策的に
は自由的、市場主義的と言える。つまり、政府は小さいのが一番で、政府が手
を出さないで済めばそれが一番良いってやつだ。極端に言うと、政府はどうせ
ロクなことはできないから市場に介入するべきじゃないし、国民から税金を集
めて公共投資やらに使うなんてのは最小限にすべきということになる。規制も
少なけば少ない程良いが、頼みの市場機能を妨げるような行為は厳しく取り締
まる(独占禁止法など)ってとこだ。

民主党:これまた極端にデフォルメすると、対する「左翼」や「リベラル」は
市場機能なんてそれほど信用していないし、貧困層の生活保護とかヘルスケア
や、大企業や海外との競争に圧迫される小企業や労働者を守るための規制や、
競争力の弱い農家の保護やら、政府が介入すべきことは多くあり、政府が税金
をとってそれらのために使ったり、規制をしたりするのは「当然でしょ」って
ことになる。

だから、ブッシュがケリーを「リベラル」と非難する時はケリーがロクでもな
い政府の仕事のために税金をバンバンあげるぞってことだ。また共和党のブッ
シュがアホの一つ覚えみたいに「減税、減税」というのもこの対比から見ると
良く分かるだろう。もちろん、今は「右」と「左」でそれほど極端な差異があ
るわけじゃない。しかし、考え方の基本はかなり違うと言える。

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□ ブッシュとケリー:「保守」と「リベラル」か?
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さて、ブッシュだが、上の基準でいくと従来の「保守的」って言える部分は減
税くらいしかない。もともと財政赤字は政府が山ほどお金を使うことによって
起こるものだから、バラマキ政治の「リベラル」の十八番と言われていた。と
ころがブッシュはイラク戦争だけではなく、学校から農家まで歴代の民主党政
権もかすむ位のバラマキを行っている。ブッシュのメディケア(医療保険)の拡
大は史上最大規模のものだし、その上減税なんかしてるんだから赤字になって
当然だ。ブッシュが「財政赤字を半分にする」なんて言っても誰も信じないの
も無理はない。

ケリーもブッシュの富裕層への減税は元に戻すとしているが、こちらはヘルス
ケア・コストのコントロールやら、健康保険の拡大やらの約束があるので、プ
ラスマイナスすると財政赤字に関して言えば少なくとも中期的にはどっちが大
統領になっても大して変わらないと言える(ただヘルスケア関連の支出計画は議
会の共和党に潰される可能性が高いから、プラスマイナスではケリーの方が赤
字は抑えられることになるかもしれない。それに少なくともケリーには「財政
赤字は問題だ」という意識だけはある)。

ただ、ついでに言うと現在の米国経済は経常収支の赤字からも分かるように、
基本的に稼ぐ以上に使うことによってもっている。つまり両大統領候補が訴え
る今以上に強い経済を続けるためには、必然的に公的部門または民間部門が大
きな借金を抱えることになる。そして現在の財政赤字の規模を考えれば、民間
部門が2000年のバブル時代並みの借金漬けにでもならない限り、公的部門(政府)
の財政赤字が大きく抑えられる可能性は低い。つまり、経済をかなり減速させ
るか、ドルが暴落するか、あるいはその両者がおこらない限り、誰が大統領に
なっても財政赤字が急に解決するめどはあんまりない。

経済に関しては「保守」らしく、明らかにブッシュの方が「自由主義的」な発
言だが、実績を見れば、鉄鋼のセーフガードを発動したり、いろいろなところ
に補助金を出しまくったり、これまた全く言行一致しない政権である。一方ケ
リーも昔懐かしの「スーパー301条」の復活をほのめかしたり、「日本のアン
フェアな貿易慣行」のことを言ったり、民主党の支持母体の労組に受けの良い
保護主義的な発言を続けているが、過去の上院における投票歴を見るとかなり
中道の自由貿易主義に近いという面もある(それとも単にコロコロ変わるだけか)。
ここでもどちらが大統領になっても大きく何かが変わるとは考えにくい(ただケ
リーの場合は中国や日本にとっては少し風当たりがキツくなるかもしれないけ
どね)。

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□ そんなに違うのか??
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ケリーになってもアメリカ軍がイラクから早期に引き揚げることは無いだろう
し、必要であれば米国が先制攻撃を行うことはケリーも言っている。どちらも
イスラエルを支持し、アラファトに反対している。どちらが勝っても米国が京
都議定書を批准することはないし(これには共和党も民主党も仲良く反対してい
る)、国際刑事裁判所設立条約を批准することもないだろう。ブッシュはケリー
が勝ったら核物質によるアメリカに対する攻撃があると言い、ケリーはブッシュ
が勝ったら徴兵制になると言うが、実際にはどっちが勝っても攻撃はあり得る
し、徴兵制になる可能性はない。

もちろんケリーの方がより多国間主義的であり、特にヨーロッパとの関係には
気を使うだろうが、かつてのソビエトといった共通の敵が無い今となっては、
かつての「同盟国」が昔のように共同歩調を取ることはもともと困難なことだ
ろう。というわけで、メディアが言ってるのとは全く裏腹に、両候補は「大し
て変わらない」ように思える。

さて、これは良いことなのか、悪いことなのか、、、(悪いに決まってる)

2004/10/14 木曜日

ノーベル経済学賞はキドランドとプレスコット

ノーベル経済学賞はキドランドとプレスコット両氏に決まったようだ。彼らの2つの業績が主に認められたみたい。

1. 「一貫性」の問題:
つまり、嘘つき政府の政策はロクなことにならないということ。例えば彼らが示したのは、もし政府が長期的にインフレを抑える気も実力もないのに、いくら「インフレを抑える」と言っても消費者はインフレを予想した行動をとり、結局インフレが実現しちゃうっていうような例だ。これって「インフレ」を「デフレ」に置き換えたら、どこかの国みたい、、、、(いや、デフレもそろそろ弱まるかもしれませんけどね。)

2. 「景気循環」:
彼らは景気循環は多くの学者が考えるような好景気と不況のサイクルで起こるんじゃなくって、主に技術革新のペースの速さで起こると考えた。まぁ1930年代の大恐慌まで技術革新の速度の減速のせいにできるかって気もしますが、当時は大反対したガクシャたちも少なくとも彼らの理論の1部を取り入れたりしてる。この理論は証明なんてできないとは思いますけどね、面白いのは確かだと思う。直感的なアピールもあるしね。