2004/4/30 金曜日

中国:一部銀行融資停止?で大騒ぎ

止まらない信用の拡大に業を煮やした中国当局が一部の銀行に新規融資の停止を求めたという報道が28日に流れて大騒ぎになった。実際には一部のメディアの張り切りすぎ(というより誤報に近いような気もするが)だったようだが、中国経済のスローダウンによる商品市場の低迷をおそれて商品価格の影響を受けやすいオーストラリアドルが売り込まれたり、中国経済に対する期待と不安の大きさをはからずもさらけ出すこととなった。

市場の騒ぎに驚いたのか中国の規制当局は即座に、5月の休みに入る前に融資の審査・実行を慌ててしないように指導しただけだと発表している。中国当局は最近の準備率引上げ、特定業種に対する融資を控えるようにとの通達などの引締め策がどれくらい効果をあげているか見極めようとしているところであり、休み前にみんな急いで融資案件を片付けようなどとされると、月次の融資残高のデータが歪んでしまうという背景があったようだ。

温家宝首相も「全てを切ることのできるナイフのような」政策はとらないと何度も強調しており、規制を行うにしてもマイルドな規制を積み重ねるという形になるだろう。もちろん手がつけられなくなった場合の手段は「全てを切ることのできるナイフのような」強力な規制あるいは金利の操作ということになるだろうが、急速な冷却あるいは通貨・資本市場の混乱は当局が一番怖れているはずだから、これは最後の手段ということになるのではないだろうか(金利はかなり規制されていて、預金金利、貸出金利などの金利は規制変更の一部としてある程度いじられる可能性はある)。

ところで情報が錯綜していて、どのような通達が実際になされ、なぜこのような報道になったのかが良くわからないが、少なくとも昨日夕方には中国当局は通達の内容に関してそれほど大騒ぎするものではないということを発表しているにもかかわらず、今朝の日経の朝刊などはそれには少しも触れずまだ「中国政府が一部銀行融資の停止に踏み切り云々」などという記事を載せているのはなぜだろう?今日は米国株安もあって日経平均は大きく下げているが、中国関係の報道による下落も大きかったような気がする。はっきり言ってこれは日本を代表する経済メディアとしては怠慢なんじゃない?それとも過熱してる中国関連株の熱を冷やそうっていう老婆心(陰謀?)だったりして。

2004/4/27 火曜日

中国経済の過熱??

メールマガジン4月26日配信分(第38号):

中国経済が過熱してるかって言われれば、「???」とゆー答え(じゃない答え)になる。どれくらい?って聞かれると「?????」とゆー答え(じゃない答え)になる。なんといってもあんまり信頼できる数字が無いんだからどーしよーもない。

ただ、中国経済が過熱しようがどーだか大した問題なのかって聞かれれば「たぶん、かなり」ってことになる。なんたって世界経済の成長の25%が中国の成長分(購買力平価ベースでね)だし、日本企業のお得意さんだし、多くの進出企業、これから進出しようかって企業もいっぱいあるからね。ってわけで、今回は中国経済の過熱(に打つ手はあるのか?)とゆーのがテーマだ。

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□ 当てにならん数字ですが、、、
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最初に書いたように、数字好きな連中にとっては中国はけっこうつらい。ここでは適当にみんなが使ってる数字を流用しよう(大体の傾向くらいは分かるはずだ)。

主なデータを見るとGDPは今年第1四半期までの1年で9.7%(!!!)の伸びであり、消費者物価上昇率(いわゆるインフレ率)は3月までの1年で3%(そんなに高く見えないかもしれないけど、1年前は0.9%だった)、銀行の貸し付けは3月までの1年で21%増、M1のマネーサプライも同時期ほぼ20%の伸び、今年第1四半期の投資は前年同期比50%の伸びとなっている。

おじいさんみたいな日本経済からすると目がくらみそうなペースだけどこれが持続可能なペースかって言われると、「かなり難しいかも」というのが常識的な線じゃないかしらん?(イケイケの人たちもすこし、いや、かなりいるみたいですが)

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□ 当局の不安
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これでも1990年代の前半のGDP成長率15%以上、インフレは30%近く、投資の伸び率60%以上ってのに比べればぬるま湯のようなもんだけど、温度が上がっているのには間違いない。特に融資の増加が高いスピードのまま持続しているのは危険な兆候で、全銀行融資の半分近くが不良債権化しているという話もあちこちで見る(どこから出てきた数字か良くわかりませんが)。

どの数字が信頼できるかは別にしても、実際中国当局が経済の過熱にかなり警戒感を持っている事は、銀行の準備金比率をこの8ヶ月で3回も引き上げている事からも分かる(準備金は銀行が中央銀行に置いとかなきゃいけないお金だ。これの比率が上げられると銀行は融資に回せる余力が減るから融資・マネーサプライがおさえられるーーはずなんだけどね)。

しかも、中国政府と人民銀行は当局が「過熱してる」と認定している鉄鋼、自動車、セメント、アルミニウム、不動産関連に対する新規融資を減らすように銀行に対して「行政指導」をおこなっている。しかしこれらの施策によってもなかなか勢いがとまらないところをみると「過熱」はこれらの産業だけの問題では無いのだろう。

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□ 金融政策は使えない。
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さて、米国や日本ではインフレ(あるいは資産価格の異常な上昇)の兆しが見え始めると、中央銀行に対して「利率をあげろ」の大合唱が始まるが中国はどうなんだろう。実際人民銀行が利上げを考慮していると言う報道があったりしたが、これは結構難しい。

一つには、まだ市場経済に移行中で、「価格が需要と供給を決める」という法則が金融市場ではあんまり働いていないように見えるって事もある(金利はお金の価格に他ならない)。しかしもっと基本的な問題がある。ケーザイ学の基本では「固定相場制をとった国には金融政策は無い」ってのがある。したがって人民元の相場を対ドルで固定した中国には、基本的に金融政策の自由度は無い。(厳密にはこれは資本の往来が自由な市場にあてはまる事で、資本市場を自由化していない中国には厳密にはあてはまらないが、基本的に働く力は同じだ)

金利を上げればその貨幣は買われる。したがってその貨幣の他の貨幣に対する相対的な価格(為替)は上がる。だから中国の金利が上がれば人民元が買われる(もともと人民元は将来値上がりするしか無いと踏んで買ってる連中も多いから買いの圧力はますます増える)。この状態で人民元の対ドル相場を固定するには中央銀行はドルを大量に買わなければならない(実際にこうなっている)。

ドルを買った資金は市場にあふれてマネーサプライはまたまた上がる。マネーサプライの増加は金利差が小さくなるまで続く。これを抑えるには国債を売って市場からお金を吸い上げるしか無い(これは良く市場介入の不胎化なんて言われてるやつだ)。大量のお金を吸い上げようと大量に債券を発行すると債券の値が下がる。つまり金利が上がる。金利が上がるとみんなが思うとますます人民元が買われる。最初に戻る。無限ループ。

とゆーわけで人民元の対ドル相場を固定する限り、中国の金融政策を決めるのは人民銀行ではなく、米国連銀だとゆーことになる(この通貨ペアのもう一方、ドルの金利を決めるのは連銀だからね。ドルの金利が上がれば人民元の金利を上げるのも可能だ。為替は結局2つの通貨の相対的な価値だからね)。

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□ 中国はどう出るのか??
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なんてことをだらだら書いてると、中国は人民元の他通貨に対する変動幅を広げる計画だと中国高官が言ったという報道があった(Financial Times 4/21)。しかも相場の変動幅は対ドルで設定するのではなくいくつかの通貨バスケットに対して設定するらしい。まあ対ドルでも通貨バスケットでも基本は変わらないけど、変動幅が狭ければ結局固定相場と大して変わらないだろう。

長期的には変動相場への移行を当然考えているだろうけど、あんまり元が上がるとこんどは経済成長に冷や水をかけかねないから、当然それはまだまだ先の話だ。ある程度の高成長は政治的安定のために必須だからだ。

より厳しい規制によって融資とマネーサプライを押さえ込むというのは、実行可能ならかなりキクだろう。ただ透明で体系だったルールに基づいた規制を普段から実行するのでなく、対症療法的に厳しい規制をやると予想以外の結果を生むリスクがある。日本のバブル末期のいわゆる「総量規制」を思い出してもわかる。

とゆーわけで当面中国は市場・銀行の(マイルドな)規制と先進国(特に米国)の景気が回復してそこの金利が上昇する事に頼らざるを得ないってことになる。結果は「神のみぞ知る」だけど、米国の利上げも視野に入ってきたみたいなので、結構「ツイてる」のかもしれない(逆にあんまり上がってもこまるんだけどね)。

2004/4/26 月曜日

米国の雇用問題

最近、米国の雇用に関してちょっと面白そうな論文をみつけました。まだ読んでないんですが、わりと良さそうです。興味があればどーぞ。

http://www.freetrade.org/pubs/briefs/tbp-019.pdf

2004/4/23 金曜日

アラン・グリーンスパン

アラン・グリーンスパンは今週火曜日、水曜日と議会で証言したが、内容はなかなか楽観的なものだった。連銀の関心の中心はインフレと雇用だが、インフレに関しては「デフレの危機は終わった」(火曜日)と現在の超低金利の主な理由となってきたデフレの危険性が遠のいたとの見方を示した。雇用に関してもやや明るい見通しを示した。

ただ、まだ経済には需給ギャップがあり、おまけに生産性の向上が続いており、インフレに関しても雇用に関しても簡単には上昇しないとの見方を付け加えるのを忘れなかった(つまりすぐには利上げを要求するレベルではないってこと)。

セントルイス地区連銀のBill Pooleや、ダラス地区連銀のBob McTeerといった「早期利上げ主戦派」からするとちょっと物足りないところだろうけど、アラン・グリーンスパンは1994年の利上げが引き起した大混乱を繰り返す気は毛頭無いだろう。つまり、早めに利上げを何度も警告しておいて、実際の利上げがあまり経済的にインパクトを与えないように細心の注意を払うだろう。とゆーことで今回の証言は「銃の安全装置を外しましたよ」というアナウンスってところだ。

1994年とは違って、今回は市場もそこそこ利上げを織り込んだ動きを示してきている。経済学者がよく使うやつにTerm StructureのExpectation Theoryってやつがある(これは統計学的なテストでは実証されていないーでもケーザイ学者はよく使う。うむ、、、単に他にツールが無いからかも、、、)。で、それで米国市場の利上げ期待をざっと見てみよう。現在(4月20日のデータ)のUS政府債券のTerm Structureは、

Maturity   Yield

3ヶ月    0.99%
6ヶ月    1.16%
2年     2.14%
3年     2.61%
5年     3.51%
10 年     4.45%
30 年     5.26%

上のデータから、市場は2004年8月に0.25%のFF Rate(Federal Fund Rate - 日本で言えば翌日物コール金利にあたるんでしょうか)の利上げ、2006年の春にはFF Rateは3%以上になり、2007年春にはFF Rateは4%以上になると期待しているとゆーこと(あてにならんExpectation Theoryによると)になる。ただ市場は今雇用データ等の動きに極めて敏感だから、この先どーなるかは「神のみぞ知る」だ。グリーンスパンも安全装置は外した(と解釈されるような物言いをした)けど、撃つとも撃たないとも言っていないでしょん。

2004/4/3 土曜日

米国の雇用統計

金曜発表された米国の雇用統計によると、3月の雇用増は30万8000人と大方の予想をはるかに上回った(失業率は0.1ポイント増加して5.7%)。1月2月の数字も改訂され、従来の推計より8万7000上方修正された。雇用が好転しつつある最初のきざしと捉えている向きが多いようで、連銀の利上げが早まったと見て、10年物国債の先物(金利のベンチマークとしてよく使われる)の利回りは0.25%上昇した。でもね、雇用データは月々かなり変動するし、後からの訂正もけっこう大きいから連銀がトレンドを確認して金利スタンスをどうこうするにはまだまだ時間がかかる(少なくとも半年以上はね)と思うんだけど、どうだろう?

ただ、今回の改善が、アメリカの雇用に関する誤った見方(つまり、仕事の海外へのアウトソーシングによる雇用の海外流出が米国の雇用を脅かしているってやつだ)に基づく、共和党、民主党両方の保護主義的な動きに少しは冷や水をかけてくれればいいんだけどね。

以前のメールマガジンでも書いたけど(2月24日配信の第34号)、最初に「仕事の海外委託(アウトソーシング、オフショアリング)は米国経済にとってはプラスだ」と言ったマンキウ先生(ブッシュのチーフ経済アドバイザー)は民主党、共和党の両方から袋だたきにあい、ホワイトハウスも見殺しというかわいそうな事になったんだった。

本来ならマンキウ先生の議論の擁護に動くはずの経済メディア、経済学者連中もブッシュ支持ととられるのを怖れてか(DeLong先生みたいな一部の「勇気ある人」を除けば)口をつぐみ、一般メディア、政治家は有権者の感情に訴えるいい加減な事を書きまくり、話しまくるという異常な状態となっている(日本の新聞、メディアまで彼らの「受け売り」をしてるのには本当に呆れる。米国内みたいに政治的プレッシャーはないんだからちゃんと調査分析して書いてほしいもんだ)。

ようやく最近になって、連銀のBernankeやノーベル経済学者のKlein先生たちがマンキウ先生と同様の議論を展開してきて経済学者連中に関しては少しましにはなってきたけど、やっぱり実際にあるていど雇用が上向かないとなかなかみんな納得しないんだろうね。

2004/4/1 木曜日

新ブレトン・ウッズ体制??

国際経済メールマガジン4月2日配信分(第37号):

つい数日前(3月30日付けFinancial Times)、Martin Wolfが現在の国際通貨体制に関してのカリフォルニア大のDooley先生とドイツ銀行のLandau、Garber両氏による論文「The Revised Bretton Woods System」を紹介していた。ちょっと面白かったので、4月2日配信のメールマガジンでとりあげて見ました。今や世界の大半を占める地域が「ドル圏」となっており、米国の低金利政策がこのドル圏の経済ブームを作り出しているというお話です。

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□ 新ドル圏?登場
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この論文はタイトルが示すように、現在、かつてのブレトン・ウッズ体制(ドルを中心として、各国が自国通貨の対ドルレートを固定するという固定相場制)に近い国際通貨体制が世界経済の過半をしめる地域で形成されているというものだ。

これを「ドル圏」と名付けると、「ドル圏」は、1.ドルが流通する米国やすでに通貨のドル化をした地域(core zone)、2.自国通貨の対ドル相場を固定して、事実上自国の金融政策を放棄した地域 (inner circle - 仮にドル圏内環としよう。中国、香港、マレーシアなどが含まれる)そして3.自国通貨の対ドルレートは固定していないものの、対ドルレートを安定させるためには大規模な市場介入も辞さない地域(outer circle - 仮にドル圏外環としよう。日本、インド、韓国、ロシア等が含まれる)からなる。

このドルに対する固定相場、または緩やかな相場安定を基軸とした「ドル圏」は今や世界全体のGDPの53%、人口の52%を占めるという巨大通貨・経済圏を構成している。
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□ 新ドル圏における米国連銀政策の意味
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アメリカ連銀の金融政策は必然的にこの「ドル圏」全域に波及する。連銀はアメリカの雇用の上昇と物価上昇があきらかになるまでは、低金利政策を継続させる構えのようだけど、これはもちろんドル圏全体の金利に下向けの圧力をかけて、ドル圏全体の経済を刺激するする事になる(自国の金利を上げれば金利目当てのマネーが流入して対ドル相場が上がる危険性があるからね)。

ドル圏全体で見れば雇用はありあまる程だし、生産力もあり余ってるし、おまけにアメリカの生産性は速いペースで上がっているから連銀の低金利政策にかかわらずアメリカの雇用もインフレも簡単には上がらない。したがって必然的に低金利政策は長引かざる得ないとゆーことになる。

ドル圏内部の各政府の外貨準備の主要通貨はもちろんドルだけど、他の通貨、例えばユーロに切り替える、ということは対ドル相場安定という「ドル圏」の政策に反するから簡単にはできない。したがってドル圏内部の政府はアメリカ国債を買い続け(つまりアメリカにお金を貸し続け)、アメリカはそのおかげで金利上昇の心配も無く、稼ぐ以上の投資・消費ができることになる。これはますますアメリカ経済を刺激し、「ドル圏」の国々は対アメリカ輸出でうるおうことになる。

増大する輸入に悲鳴をあげる国内産業を保護しようとして、アメリカがドル安に誘導しようとしても、ドル圏内部の各国政府による大規模なドル買いの市場介入を招くから、ドル圏内部の通貨に対してはそれほど効果は無い。それよりもドルを含む、ドル圏内部の通貨全てが(円とか元とかね)がドルに対するよりドル圏外の通貨(ユーロ)等に対して下落する事になる。

市場介入は各国でのマネーサプライを増大させるし(これについてはまたいつか説明しよう)、通貨の下落はドル圏外への輸出を増大させるし、対ドルレートの安定は対米輸出の安定を保証するし、ドル圏経済はますます刺激される事になる。

とゆー具合に、アメリカ経済を浮揚させようとする連銀の金融政策は「ドル圏」全体の経済を壮大な規模で刺激するすることになる。日本を始めアジアの政府は歴史上類を見ない規模で市場介入をおこないドルを買っているが、上に上げた論文に従えば、これもブレトン・ウッズ崩壊後初めて、歴史上類をみない規模で「ドル圏」が形成されてきていることの結果でしかない、ってことになる。

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□ 新ドル圏の経済ブームの行く末は??
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上にあげたロジックにしたがうと、連銀の低金利政策はけっこう長く続かざるを得ないということになり、したがって「ドル圏」の経済ブームも長く続く事になるんだけど、いったいその先はどーなるんだろうか?

温故知新ってことで、かつてのブレトン・ウッズ体制の崩壊を簡単に振り返ると、基本的には、世界規模でのインフレと安定したドルのせいで競争力を失った国内産業を保護しようとした米国政府の一方的ドル切り下げという2つの要因でかつてのドル体制は崩壊したんだった。

そしてこれらは基本的に今度も起こりえる。ドル圏全体の低金利と政府による通貨市場に対する大規模な介入は、ドル圏内部のマネーサプライを増大させることになる。マネーサプライの増加は長期的にインフレにつながると考えているのは「金こそ全て派(マネタリスト)」だけじゃない。ただ、上にも書いたようにドル圏内部は生産力、労働力過多の上に中国等はそれ以上に生産力を増強しているから簡単にはインフレ圧力は出てこないだろうけどね。

ドル安誘導に関しては、日本政府や他のアジア政府による市場介入を批判したり、大統領選挙という事もあって国内産業への気使いが目立つけど、アジア各国のアメリカ国債購入が細るようなことがあれば、低金利政策が破綻するから、当面は金利上昇のデメリットと国内産業の不満による政治的デメリットを天秤にかけた中途半端なものにならざるを得ないだろう。

とゆーわけで、この「新ブレトン・ウッズ」体制がいつ破綻するかは分からないけど、Martin Wolfの言葉を借りれば「それまでは、経済ブームをせいぜい楽しもう」ってことになるのかもしれない。

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□ おまけ「ドル圏」の外側は??
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ここで気になるのはユーロ圏だけど、すでに対ドル、対円でのユーロ高や、ドイツの経済不振に音を上げた連中が欧州中央銀行(ECB)に利下げしろっていう大合唱をしている。3月は利下げを見送った欧州中銀だけど、5月には利下げに踏み切るという見方も多くなってきている。巨大な「ドル圏」での低金利政策に完全に知らん顔をするのはむつかしいということかもしれない。

最近の米Foreign Affair誌に「もうG7とかG8とかそんなものは無意味だ。アメリカとEUのG2を作ってそこでいろんな事を決めちゃえば良い」なんてトンでも無い事を書いてたおっさんがいたが、けっこう当たってるのかもしれない。そうなれば「新ブレトン・ウッズ体制」は崩壊する前にホントに世界をおおうかもね(もちろんそれで崩壊しなくなるって事じゃないよ)。