2004/2/26 木曜日

ブッシュはケッコウ強いぞ

日本のメディアを見てると、アメリカでは大多数の人がブッシュを支持していないような感覚をうけるんだけど、(残念ながら)もちろんそんな事はナイ。

なんで日本のメディアの報道でそんなカンジをうけるかってゆーと、連中がほとんどあちらでは比較的「上等」な人たちが見る比較的「上等」とされてるメディアからばっかりニュースをひっぱってきてるからだ(例えば、ニューヨーク・タイムズとかね)。「インテリ」とか「上等」な方々にとっては、ブッシュを支持するなんてまったく沽券にかかわる事だから、彼らの見るメディアもちゃんとそれに合わせる事になっている。

でもね、そんなに「上等」じゃないオッチャンやオバチャン(こっちの連中の方が大多数だけどね)が住んでる世界はかなり違ってたりするわけだ。特に保守的な方の人たちはね。浅田彰が田中康夫との対談で「あっちではヴァニティ・フェアみたいなちょっとシャレた雑誌まで反ブッシュになってきてる」なんて言って、田中康夫が「なのにその手のことが日本には伝わってきてない」なんて答えてるけど、これはちょっと笑える。日本でちょっとオシャレな雑誌が森喜朗みたいなのを支持するワケナイ以上にアメリカのオシャレな雑誌がブッシュを支持するワケナイでしょ。逆に日本にはその手のことばっかりが伝わってるワケ。(おっと、くまは別に浅田彰がキライなわけじゃないよ)

クルーグマン先生やスティグリッツ大先生の本ばっかり見てそれがアメリカ経済界の大多数の見方だって思うのと同様に(これまた日本では彼らの書いた文章の紹介ばっかり見るけどね)、ちょっと「上等」で「オシャレ」なメディアばっかり見て、それがアメリカの大多数のモノの見方だなんて思ったら大間違いなわけだ。日本のメディアは別に「ニューヨーク・タイムズ」みたいにあっちの「インテリ」を対象にしてるわけじゃないんだから、もうちょっと自分でいろいろ物事を調べて、バランスのとれた(ってゆーか、もーちょっと米国の実態に近い)報道をした方がいいと思う。まあ「インテリ」にあこがれてるってのは良くわかるけどね。

ちなみにくまはブッシュはロクでもないと思ってるけど、「アメリカでも大多数の人はブッシュはロクでもないと考えてる」みたいな記事やら報道はまったくロクでもないと思ってる。

2004/2/25 水曜日

アメリカの職はインドに消える??

(国際経済に強くなろう)第34号:2004年2月25日発行分

みなさま、ご無沙汰しています。地獄の論文書きで、またまた大分休んでしまいましたが、お元気ですか?(前回と全く同じセリフ、、)おかげさまで、論文も終わってのんびり(ええかげんに働かんか!)してます。休んでいる間、おしかりや激励のメール大変ありがとうございました。楽しみにしてますので何でもいいから書いてやって下さい(ぺこり)。

今回は復帰第一発(?)とゆーことで軽く(いつもの事だけど)、現在米国大統領選の議論でもかなりズーム・アップされているアメリカの職の海外流出について考えてみよう。成長めざましい中国や振興アジア諸国に囲まれた日本にとっても他人事じゃない(かもしれない)。

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□ 今度はホワイト・カラーの職がアメリカから消える?
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ここ数十年にわたって、アメリカの製造業の職はへり続けてきた。かつては、アメリカの製造業は日本、そしてそれに引き続いてアジアの新興国、そして中国等の競争相手に職を奪われてきた(と少なくとも連中の多くは考えている)。北米自由貿易協定以降はメキシコ等への製造業の職の流出が続いている(らしい)。実際、今やアメリカで製造業に従事する人は労働人口の12%にすぎない(比率で言えば30年前の半分以下になってしまった)。

そして最近は、IT技術を用いた仕事の外国へのアウト・ソーシング(外国への仕事のアウトソーシングは「オフショアリング」なんて呼ばれたりしている)により、空洞化とは無縁と思われていたサービス業やホワイトカラーの仕事までが海外に流出しはじめた。コールセンターや受注センターなどネットワークを使えばコストの高い米国内におく必要は無いし、ソフトウェア開発だって安いインドのプログラマーが面倒見てくれる。「オフショアリングがホワイトカラーの失業問題の根源だ」なんて考えてる人も多い。

雇用問題はかなり感情的になりやすい分野だから、労組と仲良しの民主党の大統領選の候補者はもちろん、ブッシュ大統領までもがみんなこぞって保護主義的な議論を展開してきている。メディアにとってもセンセーショナルな記事を書ける格好の題材だから、結構いーかげんな事を書きまくっている(日本で産業空洞化が話題になった時の騒ぎを覚えている読者もいるんじゃないかしらん?)。

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□ マンキウ先生受難の巻
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さて、この騒ぎのまっただなかで大統領の経済アドバイザーのマンキウ(マンキューって書いてる人も多いね:「マンキウ経済学」とかのわかりやすい教科書もかいてる若くて超スマートな大先生だ)が「仕事のオフショアリングはアメリカ経済にとってすっごくいい事だ」なんて議会で証言しちゃったもんだから、民主党は「そら見ろ、これが共和党政権の正体だ」なんて攻撃するし、お膝元の共和党からもマンキウ先生の辞任を要求する議員がでたりと、蜂の巣をつついたような大騒動になった。

まあ確かにこの微妙な問題に対してストレートな発言をするには最悪のタイミングだったけど、マンキウの議論は大昔のこのマガジンでも以前とりあげた事のあるリカルドの定理にもとづいたオーソドックスなものだ。

すっごく単純な例をあげてみよう。あなたがすごく有能な(つまり報酬のバカ高い)法律家だとする。ついでに書類のタイピングも超高速でできると考えよう。さて今ここにあなた程早くはタイピングできないタイピストがいるとする。さて、あなたは法律業務とタイピングの業務の両方に資源(つまりあなたの時間)を使った方がいいだろうか?それともあなた程良く出来なくてもタイピストを雇ったほうがいいだろうか?

いろいろ時給をあてはめてかんがえれば、あなたにとっても、タイピストにとっても、また両者をあわせても、あなたが法律業務に精を出し、タイピストがタイプするのがもっとも効率的だとわかる。マンキウ先生は単に、法律家は法律業に精を出すのが(そしてタイプを頼める相手がいるのは)いいってことを言ったワケだ。

もちろんこれに反論するのは簡単だ。法律家はタイプをやめた時間を法律業に使えばいいけど、外国にイッテしまった仕事をしていた失業者は簡単には法律家になるわけにはいかないでしょん。つまり、長期的にはともかく、短期あるいは中期的には仕事が外国にいっちゃうのはやっぱり困るんじゃない??

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□ いったいそんなに大層なモンダイなのか??
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ここで注意しないといけないのはアメリカの労働市場がきわめてダイナミックで、職の再配置(つまり経済資源の再配置)がきわめて大規模・恒常的におこっているっていう点だ。毎月200万ものポジション・職が流動しており、その中で失われるよりはるかに多くの職が作り出されている。1980年から2002年の間にアメリカの人口は23.9%増加したが、雇用されているアメリカ人の数は37.4%増加している。

失われた仕事以上の仕事が強烈なスピードでアメリカ内で生まれているってことだ(失業者に対する短期的なセーフティーネット=失業保険や再訓練の重要さは言うまでもないけどね)。

もちろん、安価できつい仕事ばっかりが増えてるんであって、法律家などの高給取りの仕事が増えた訳じゃないってゆー人も多いけど、アメリカ人の所得と「オフショア」の所得の差を見ればそれほど説得力があるとは思えない(アメリカ国内で富の分配にかなりゆがみがあるのは事実だとおもうけどね:でもこれは日本人やインド人のせいじゃないでしょん)。

それともうひとつ、すごく重要な点なんだけど、海外に「オフショアリング」される仕事の数が一体どれだけなのかってモンダイがある。フォレスター・リサーチによれば2015年までに330万のサービス業の仕事が海外に流出すると推定されている。毎月へっちゃらで100万や200万の仕事がつぶれたり生まれたりしてるアメリカでこれが一体どれだけのモンなんだろうか?他の貿易のせいで生じた失業(主に製造業)についても同様の事が言える。2001年において貿易により失業しちゃった人は全失業者の0.6%にしかすぎないと言われている。

筆者としては、政治家たちが雇用問題に敏感になっている有権者の心理につけこんで、あまり上等じゃないやり方でこのモンダイを政治問題化してしまってるんじゃないかってゆー見方もできなくもないんじゃないと思うわけだ。

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□ リベラルの課題
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貿易・サービス業の職の海外流出モンダイにかこつけて弱い産業を守る保護主義的政策に舵を切るのはあまり感心できない。筆者はぜんぜんブッシュがいいとは思わないんだけど、特にリベラル=民主党候補の保護主義的な議論には危機感を少し感じている。クリントンはリベラルだったけど、生産性の低い産業を守るだけではモンダイはまったく解決しないってことがよくわかっていたように思う。彼はお膝元の民主党議員の猛反対を封じ込めて北米自由貿易協定を成立させたんだった。

クリントンを強烈に皮肉った映画「パーフェクト・カップル」でジョン・トラボルタ扮するクリントンをモデルにした民主党候補は、さびれた工場の労働者にむかって「私はこの工場を生き延びさせるという約束はできない。なぜなら経済は変わってしまっており、あなたたちはこれからオツムと技術で競争して行かなければならないからだ。私はそのための教育と訓練は約束する」ってな感じの事を言うんだけど、とてもクリントンっぽくておかしかった。

クリントンが信望を失って以来、民主党の昔風のリベラルへの回帰を止める力は大幅に弱まってしまったと感じられる。下ネタっぽくてもうしわけないけど、ヒラリーはクリントンのズボンのチャックに鍵をかけとくべきだった。本当に。

*今回は、William Baumol、Alan Blinder、Edward Wolfによる、”Downsizing in America: Reality, Causes and Consequences” (Russel Sage Foundation)を参考にさせて頂きました(もちろん彼らはクリントンのズボンのチャックに関しては何も書いてません。念のため)。

2004/2/23 月曜日

サイトを更新するぞ、、、

とうとう地獄の論文書きの日々も終わり、ここ2ヶ月ほど呆けた生活を送っておりましたが、これではいかんと心機一転(?)、サイトも少しずつ更新する事にしました。今後サイト全体のデザインとコンテンツを気長に変更する予定ですのでよろしくねん。