第32号:2003年2月27日発行分
みなさま、ご無沙汰しています。地獄のレポート書き続きでちょっと(だいぶ?)休んでいましたが、お元気ですか?
さて、アメリカ経済・市場をある意味ではテロ以上にゆさぶった、エンロンをはじめとする一連の企業不祥事から一年以上たったんだけど、アメリカの市場経済の限界が見えたってゆー人もいれば、その後の対策の早さから、まだまだアメリカ市場主義健在ってゆー人もいるんだけど、今回は「市場」について考えてみようかしらん。
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□ ズルの報い??
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エンロン、ワールド・コムなどが、粉飾決算で株価をつりあげたあげく、華々しく(?)破綻するとゆー騒動から一年以上になる。自社株を一定の値段で購入できる権利(ストック・オプション)をもっていた経営陣が自分でつり上げた株価で大儲けしていた上に、会計監査をやっていた会社までがグルになって粉飾決算を許していたもんだから、その後の株の急落で痛手を負った投資家だけでなく、一般の国民をまきこんだ怒りが爆発したんだった。
その後、新興企業だけでなく伝統的な大企業でも次々に不正決算が発覚したおかげで、株式市場は強烈に冷え込む事となった(株式市場での企業の品質表示にあたる決算数字が信用できないってのは、肉屋で売ってる肉の産地表示やら値札がえーかげんとゆーのに等しいからね)。これら一連の不正で多くのビジネスマンがブタ箱に入る事になるだろう。
ノーベル賞学者のスティグリッツ御大なども、米国の資本市場のシステムに疑問を投げかけるなど、以来中東情勢の不透明さもあいまって、資本市場はパッとしないままとなっている。
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□ 市場至上主義??
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といっても、現在の資本市場に批判的な連中にしても、市場の現実の動きの不完全さを指摘してるだけで、市場自体を否定してるわけじゃない。市場批判派ですら、日本にもってくれば「市場至上主義者」のレッテルを貼られてもおかしく無いくらい、あちらの皆さん市場に骨がらみだと言っても良い(とゆーかこの面では日本が異常なくらいに、市場メカニズムに疎いと言った方がいいかも)。
さて、市場ってのは市場経済においては、「資源の配分メカニズム」だと言って良い。特定のモノやサービスがどんな値段でどれだけ生産されるかとか、人やお金といった生産資源がどう分配されるかは、お役人や一部の大銀行が決めるより、市場を通じて決定される方が効率的だとゆーのが「市場主義」だと言える。エンロン事件みたいな事があっても、どの産業、企業がどういう条件でどれだけの資金を得られるかの決定を一部の大金融機関や行政指導にまかせる事は、米国では無いだろう。ただどんな市場であっても、資源が効率的に分配されるわけじゃない。
ケーザイ学でいう、効率的市場の条件はいろいろあるけど、大雑把にちょっとあげると、まず買い手と売り手がいっぱい参加していて、特定の参加者が価格を決定できないとか、売買いされるモノに関する正確な情報が市場参加者全員に行き渡っているとか(完全情報)、市場への参入とか市場からの撤退が自由だとかってのが主なところになる。こーゆー市場では、限りある経済資源が最適に分配されるってのが、(いくつかの前提をおけば)さんすう的にも証明される(とゆー事になっている)。
さて、日本では「市場主義」ってゆーとどうも弱肉強食の何でもありの自然放任、野蛮状態と考えてる人も多いようだけど、上のような条件を満たす市場なんて、自然状態ではあんまり存在し得ない。独占企業とか、大企業がグルになれば(カルテル)値段は一部の企業により決定できるし、エンロンの例でも明らかなように、一部の参加者だけが情報をもっていたり、新参者を市場にいれないように政治家にプレッシャーをかける業界だってある。
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□ 市場の番人
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とゆーわけで、市場経済圏では人為的に効率的な市場を維持するためのしくみが必要になってくる。カルテル・談合、独占等は排除されないといけないし、商品に関する情報は正確で、しかも一部の人間が自分達だけの情報を使って取り引きする事も市場の効率性を害するものとして取り締まられなければならないとゆー事になる。賭場には賭場の掟があるように、市場には市場の掟があるわけ。
エンロンに関して言えば、株式市場における商品である「企業」に関するの商品情報(決算情報)を不正に操作した上、一部の人間(経営陣)だけがアクセスできる情報を用いて株の取り引きをした(インサイダー取り引き)という事で二重の掟やぶりとなるわけだ。
また、市場自体は経済全体の効率には良いとしても、個々のビジネス、会社、産業にとっては必ずしもプラスとは限らない。だから賭場、じゃなかった、市場の胴元、掟の番人にはビジネスとあんまり関係のない(とゆー事になっている)政府の役人、あるいはそれに準じた第三者機関という事になる。元締がいないと賭場が成り立たないように、公正取引委員会(FTC)とか、資本市場では証券取引委員会(SEC)なんてのが無いと、市場が成り立たないワケ。
自国の稼ぎ頭のひとつでもあったマイクロソフトを独占企業として分割の瀬戸際まで追い込んだ事からも明らかなように、これらの機関は日本に比べてもかなり強力な力をもっているし、米国の市場主義は相当徹底したもの(だった)とゆー事がわかる。
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□ ブッシュ登場
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さて、ブッシュ大統領だけど、かつてない数のビジネスマンをひきつれてホワイトハウスに乗り込んだ。ビジネスで鍛えた効率的な組織運営をやれる、ってのがうたい文句だったんだけど、さっき見たように市場と企業ってのは決して「仲良し」では無い。しかも政府は市場の元締でもある。これじゃあ博打をうっている連中の親玉が賭場の元締をやるようなことになってしまうんじゃないのかしらん?
案の定、政権が変わったとたんに米国鉄鋼業界の海外競争からの保護(セーフガードの発令)やら、補助金のばらまきやら、どうも身内の賭博みたいな事がぞろぞろ出てくる事になった。マイクロソフトの裁判も(マイクロソフトにとっては)たいした事もなく終結しそうだしね。
一連の企業不正に関しても、大統領は強烈に批判したものの、肝心の規制強化の法案は水で薄めたような抜け道だらけのものとなってしまった。これは私見だけど、米国の資本市場のなんともいえない盛り下がりには、単なる個々の不正事件だけじゃなく、こーゆー政権自体の市場に対する姿勢の不明確さが大きい役割を果たしているような気がする。
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□ おまけ
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ところで、市場資本主義のベースとなる経営情報の透明性に関して言えば、米国企業自体は、法規制が厳しい割には、たいして進んでいるとは言えない。もともと米国企業がめちゃくちゃやるので、法規制が進んできたという事があって、この面でも米国企業が必ずしも「良き」市場主義者でなかったという事がわかる。
英国エコノミスト誌のリサーチ専門組織EIUの、先進国16ヶ国の企業情報の透明度に関する調査では、米国企業はどんじりから二つ目の15位でしかなかった。ちなみに一位二位はドイツ企業、フランス企業だった。
最低の16位だったのは?皆さん想像できますよね?やれやれ。
