2007/7/24 火曜日
ドイツ政府が次世代サーチ・エンジン技術のリサーチ・プロジェクト「Theseus」に1億2,000万ユーロの補助を行うことを欧州委員会が承認したと言う記事が少し以前に出ていました。
ニュースによると、ドイツ政府は最初にシーメンス、SAP、エンポリスなどに資金を出した後は、プロジェクトの進行に応じて小規模の会社にも資金を出すとのことです。EUでは、フランスも同様の「国家的検索エンジン・プロジェクト」でトムソンに補助金を出す件で欧州委員会と交渉中で、何としても米国に対抗したいという欧州各国の政府やブリュッセルの意向が見えます。
「エアバスの夢よもう一度」ということかもしれませんが、「米国に対抗」するために、「政府が戦略的テクノロジーをピック」して「補助金を出す」という構図自体に既に欧州のダイナミズムの衰えようを感じてしまいます。欧州でも技術者の対米流出が結構起こっていますが、政府が力を入れるほど「シラける」向きも多くなるような気もいたします。
話は変わりますが少し以前に、欧州のハイパフォーマンス・コンピューティング・イニシアティブ(欧州レベルで世界最高級のペタスケールのスーパーコンピュータのセンターを建設しようというプロジェクト)に関して議論したことがあったのですが、その時に渡された「予備的なスタディ」は文書だけでも合わせて軽く200ページはあるという代物でした。
中に入っていた「Scientific Case」では、欧州レベルでスーパーコンピュータのセンターを作れば、地球温暖化のモデリングがより精緻にできるので温暖化の防止の役立つとか、タンパク質の折りたたみ間違いの解明が期待できるとか、次世代のヘリのモデリングがどうだとか、結構「マジメ」なことがびっしりと書いてあって、どっかの国の研究者の「お金ちょーだい」文書のぺらぺらの「Scientific Case」なんかと比較するとやはり良く出来ている気もしました。
しかし、気になったのは、地球温暖化を防ぐためにどーだこーだとか言いながら、常に最後に出てくるのが、「欧州レベルで世界最高の施設を作らないと米国に対抗できない」とか「米国や日本では戦略的にスーパーコンピュータで優位に立とうとしているから、欧州も同様にしないと欧州の科学が世界一線級でなくなる」ってな感じの文章だということでした。
この手の「(政府の力で)科学よりも対米対抗」とか上のサーチエンジンでは「(政府の力で)技術/ビジネスよりも対米対抗」とか感じさせるところに、何となく欧州の周縁化というか、科学者、技術者、実業家の志の低下と言うか、ある種の病を感じてしまいました(それに、同じようなところで税金使って対抗しなくても進んでいる部分は別に一杯あるのにねぇ)。ただし、人によって感じ方はいろいろあるみたいで、私と一緒にスパコンの文書見た人は「さすがに欧州は戦略的に頑張って考えてる。日本の政府はどうなってんだ」なんて言ってましたが・・・
あと、欧州レベルって言ってもプライドの高い国の集まりなんで、結局どこに何のセンターを作るんだとか、コンピューティング時間をどう配分するんだとか、各国に各分野のCOEを作るんだったらどこの国が何のCOEをとるんだとか、コンピューティングの面でもグリッド派やスパコン派や、たぶんまたずーっと延々とやるんでしょう。サーチエンジンのプロジェクトでも結局ドイツとおフランスで分裂でしたし。あぁ、ヨーロッパ。
欧州検索エンジン・プロジェクト
欧州委員会のリリース
APのニュース
ついでに
欧州ハイパフォーマンス・コンピューティングのScientific Case(PDFです)
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2007/4/26 木曜日
なんだか良く知りませんけど、Web2.0(のお金)に関するお話を時々聞くんですが、ちょっと誤解というかイメージの一人歩きと言うか、日本では特に大きいんじゃないかと言う気がします。
まず、ベンチャー・キャピタルなんかが浮き足立ってみんなWeb2.0に集まってきてるんじゃないかというイメージがあるようなんですが、Web2.0企業に関わらず最近のインターネットからみのベンチャーはあんまりお金がかからない上に、出口もIPOではなく企業売却が多いんで、大金積んでボロ儲けというクセがついたベンチャー・キャピタルの面々にはあまり出番が無いのではないでしょうか。
ベンチャー・ファンドは期待される利益も大きいですし、出資者に要求する手数料も高額ですから、少なくとも10億ドルくらいで売却できる企業でないと、そこそこのベンチャー・キャピタルでは手を出さない(出せない)と思いますが、Web2.0でその額で売れる企業というとYouTubeやFacebookなどのごく一部の例外を除けばあんまり無いのではないでしょうか。大体Web2.0の大半の企業の「出口」価値は1,000-2,000万ドルといったところだと思いますが、ほとんどのベンチャー・キャピタリストはそんな「小銭」には興味が無いように見えます。
で、起業家の方もIPOで超大金持ちを目指すゾーとかいう人はそれほど多くなくって、YouTubeもそうでしたが(YouTubeの場合は大金でしたが)、そこそこ大きくなった段階で企業売却を考えてる人が多いようなんで、起業から売却まで全くベンチャー・キャピタルのレーダーには映らないというケースも多いと思われます。起業家はもともとベンチャー・キャピタルを避けたい人が多いので、ベンチャー・キャピタルの出資を受け入れる場合も、企業が相当大きくなって、自分たちが主導権を握れることが確実になってからというケースも多いようです。まぁ、今はインターネットがらみの起業はあまりお金がかからないので、そういうことが可能になっている面も大きいんですが(極端な例では、IMのMeeboの場合では創業者の3人が起業資金で用意したのは1人2000ドルづつというものです)。
そこで、ベンチャー・キャピタルの代りにお金を出しているのが、カリフォルニアでははいて捨てるほどいる、元起業家で「小金」をためた「エンジェル」たちということになります。先ほどのMeeboも1日5万ビジターに達した段階でサーバの増強が必要となりましたが、この際には3人のエンジェルから10万ドルの出資を得ています。Meeboも最終的にはベンチャー・キャピタルから350万ドルを調達しましたが、それはすでに1日あたり20万のログインユーザを抱えて、起業家が完全にビジネスプランの主導権を握った後のことでした。
ハイテク起業家がハイテク・ベンチャー・キャピタルを嫌うというのもまぁもっともなところがあって、まずハイテク・ベンチャー・キャピタルと言いながら、実際に知ってるテクノロジーはプレゼン用のパワーポイントとキャッシュフロー計算用のエクセルのマクロくらいで、その割には色々口をはさんでくる上に、利益に対する要求が厳しく、おまけにCTOやらCFOやらくだらん役職をいっぱい作る(そして自分たちの何人かはそのC?Oに就任する)上に、同じくらい無知な取締役を山ほど連れてくる、というイメージが強くあって、IPOでごっそり大金を狙うのではない限りVCには関わりたくないといった起業家も結構多くいるようです。その点、元起業家の同輩であるエンジェルは物分かりも良いし、起業家の悩みも良く分かってるということで頼りにされる場合もあるように見えます。
大体、Web2.0の場合、広告費をベースに考えているビジネスモデルが大半ですが、確かに広告費がオールドメディアから移動しつつあるとはいえ、全体のパイの7割程度をGoogleやYahooなどの大手が押さえている現状で、これだけ多くの2.0企業を支える収益源はないということで、Web2.0ブームも投資という面だけに限れば、米国ではある程度抑制された「地味な」ブームであるようにも感じられます(もちろん例外もありますが)。
ここらへん、ちょっと話題になっただけでヘラクレスとか何とかでIPOになってとんでもない値段がつく日本の方がよっぽど過激のように感じられたりもします。
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2006/8/1 火曜日

数カ月前から一部で話題になっていましたが、米国のベンチャー企業のTesla Motorsの電気自動車の記事がEconomistの最新号にも載っていました。なかなか結構なスペックです。
性能は静止状態から時速60マイル(約100km)まで4秒、一晩の充電(家庭の普通のコンセント)で400km走行というもので、十分実用の水準に達していそうです。
環境に関しては結局電気も石炭やら何やら燃やして発電してるので、言うほどには環境に優しいというものではないと思いますが、現在の米国の発電構成(約50%が石炭火力)をベースにすると、通常のガソリン自動車よりも温室効果ガスの排出は少なそうです。
温室効果ガスの排出に関しては、どの先進国も道路輸送での排出量削減ではつまづいているので、電気自動車(でも何でも良いのですが)ネットで排出量が減少するのであれば、排出源が削減の困難な道路輸送から、より規制の容易な発電セクターに移ると言うだけでもメリットはあるような気がします(まぁ、よっぽど普及すればという話ですが)。
ちなみにこの会社の出資者はPayPalの創立者のElon Musk、グーグルの創立者のLarry PageとSergey Brinらが名前を連ねているようです。気になる価格は8万9,000ドルで一般に対する出荷は2007年夏の予定とのことです。これは2人乗りロードスターですが、数千台販売した後でより安価な4人乗りの自動車を発売する予定のようです。
Tesla Motors
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2006/1/17 火曜日
IEEEのSpectrum1月号は最近新年の恒例になっている「Technology Winners & Losers」特集でしたが、Losersの中に見事にNTTのRedTactonが選ばれていました。これは人の体の表面電界を利用して人体を通信のメディアにする技術ですが、「この技術には、現時点で利用不可能であるような説得力のあるアプリケーションは存在しないし、まだ信頼性も低くコストも未知である上に、一般からの感覚上の問題(セキュリティ、健康問題など)に直面する可能性が高い」とされています。
他のLosersには、
- Samsungのフラッシュ・メモリ・ベースの「ディスクドライブ」(価格上の理由から)
- MotorolaのiRadio(がちがち重厚ハード屋さんのモトローラに音楽屋さんができるか?)
- 英国内務省の「バイオID」(不適切なテクノロジーよるプライバシーおよびセキュリティの問題の可能性)
- Microsoftの「Sender ID」(スパムとそれ以外のメールを判別するのは不可能)
が挙げられています。一方、Winnersは、
- IBM、ソニー、東芝の「セル・プロセサ」(グラフィックス、ブロードバンド・アプリケーションで他のプロセサより優れ、ゲーム、テレビなどの大量マス・マーケット向きのデザイン)
- Boeing、三菱重工、川崎重工、富士重工の「複合素材の翼」(軽量で、耐久性が高く、燃料費、メンテナンス経費の節減が可能)
- Jaring(マレーシア) & Soma Networksの「ワイヤレス・ブロードバンド」(自前のネットワークを持たないISPが、既存キャリアと競合することを可能に - そういえばJaringは数年前に日本でも実験してたような・・・)
- Ntera, Ltd. (アイルランド)の「ナノ・クロミクス・ディスプレー」(紙の上にインクで書いたように鮮明で、太陽光の中でも良く見え、電力消費が少なく、安価に製造可能)
となっています。まぁ、テクノロジーの世界は予見が極めて難しいですが、個人的にはそこそこ妥当な線かなという気もします。
Spectrun (非会員も記事の一部の閲覧可能)
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2006/1/3 火曜日
ファイル交換ソフトの配布で裁判に敗れたGroksterですが、今Grokster.comに行くと面白いモノが見れます。おなじみのGroksterのロゴの下には、
著作権で保護されているマテリアルを交換するためにこのサービスを使用することは違法行為であると、米国最高裁判所は全員一致で決定しています。不正なP2Pサービスを用いて著作権で保護されている映画や音楽のファイルをコピーすることは違法行為であり、著作権保持者による起訴の対象となります。音楽や映画をダウンロードできる合法的なサービスはありますが、このサービスはそのようなものではありません。
と書いてあり、最後に
あなたのIPアドレスはXXX.XXX.XXX.XXXで、ログされています。捕まらないと思うべきではありません。あなたの身元は分かります。
というような脅し文句がのっています。しかもページの一番下にはご丁寧にもRIAA(米国レコード協会)とMPAA(米国映画協会)の「著作権を尊重しましょう運動」であるRespectCopyrightsとMusic Unitedへのリンクが貼ってあります。今、Groksterのドメインを実質的に保有しているのはどこか分かりませんが(whoisの情報では名目的にはどこかの登記サービス会社のようですが)、パロディでないとするとなかなか笑えます。このセンスはやはりこの業界で全世界共通ではないでしょうか。
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あけましておめでとうございます。今年も皆さんにとって良い年となりますようにお祈り申し上げます。
L.A timesは、ベアスターンズのアナリストの昨年末のリサーチをもとに、Googleの共同創立者のラリー・ペイジがラスベガスのCES(Consumer Electronics Show)でのキーノート・スピーチで、インターネットと接続し音楽などのメディア・コンテンツを扱えるような、GoogleのOSを搭載した安価なコンピュータあるいはそれに類するハードウェアを発表するという観測記事をのせています。
また、記事はその他の情報源の話として、Googleがそのようなハードウェアを販売するためウォルマートなどの大手小売店と交渉中と報じています。
まぁ、新年の向こう1年間の業界観測記事(しかもGoogleを強くプッシュしているベアスターンズのレポートがネタ)なので、信憑性はそれほど高くないかもしれませんが、文字通り湯水のようにお金を使える会社なので、何があってもおかしくないかもしれません。本当であれば、AppleのIntel移行もありますし、長らく無風状態だったPCの世界にも波が立つかもしれませんね・・・
L.A times
追記(Jan 5):Engadgetの記事によるとGoogleの広報担当David Kraneは、このウワサを即座に否定しているようです。記事によると同氏は、Googleは現在のPCパートナーに満足しており、「この市場に参入する必要性は考えられない」と述べたとのことです。
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2005/12/3 土曜日
オープンソース・ソフトウェアは「(米系)巨大IT企業の安価なアウトソース先に成り下がった」という向きから、相変わらず「ソフトウェアの自由を守る勢力」というハードコア派まで見方が大きく分かれていますが、フリーソフトの4分の3が採用しているGNU GPL (General Public License)がフリーソフト/オープンソース・コミュニティの大きな柱であることにはそれほど異論はないのではないでしょうか。
現在のGPL(v2)にアップデートされたのは1991年と、なんと15年(!)も前でありLinux Kernelが出来た年で、それ以来のフリーソフトの急拡大や、それにまつわる商用利用の拡大を考えるとアップデートの良い時期とも言えます。FSFの創立者でGPLの最初の作者のRichard Stallman氏は、すべての変更はフリーソフトの4つの自由の原則に従って行われるとしていますが、今回のアップデート・プロセスは初めて公開形式で行われるようで、FSFはGPLのアップデート・プロセスとガイドラインを公開しており、最初のドラフトを2006年の1月中旬に発表し、一般のコメントを受け入れるとしています。
FSFは、アップデートのプロセスは、参加の意思のある、フリーソフト/オープンソフト・コミュニティ、あらゆる規模の企業、個人デベロッパー、公的機関、NGO、一般ユーザに公開され、あらゆる意見が考慮されるとしています。意見を寄せたい方、ドラフトや進捗についてのアップデートが欲しい人はGPL V3のサイトでeメールリストに登録可能です。
GPLv3プロジェクト
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2005/11/15 火曜日
11月16日から18日にチュニスで、国連のイベントである世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society:WSIS)が開かれますが、インターネットの管理を巡って米国と他国の衝突は必至の様相です。
(11/18/05 - 追記:WSISの初日に、一応米国/ICANNによる管理という現状維持で合意に至ったようです)。
もともと、ドメインなどの管理は米国の非営利組織のICANNが米商務省との契約で行っていますが、まず各国は米国の組織が、しかも米国商務省との契約に基づいてドメインを管理する体制に不満を持っていました。しかも米国政府はICANNに移譲する予定となっていたインターネットのトップドメイン(.jpとか.frとかいうレベルの260程度からなるリスト)の管理をICANNに移譲せず、米国政府が継続して行うと今年7月になって突然発表したため、ますます各国の不満の火に油を注ぐ状態になっていました(ICANNでさえ許せないのに、米国政府が直接などとても許せんということでしょう)。
基本的には中国などは、インターネットのガバナンスを国連のITUのような組織の下の国際的団体で行うことを求めています。各国のメディアなども(米国を除けば)、米国のスタンスを非難する論調が目立っていました。
しかし、実際にWSISが近づいてくると、メディアの中でも実際の影響などに対して真剣になって少し論調が変わってきたものも見られます。最初に私の目に止まったのは、過去においてICANNによる運営に対して強烈な批判を浴びせていた(といってもICANNの米国とのつながりに関する批判ではなく、非効率的な官僚主義に対する批判ですが)英国エコノミストが米国による管理を支持した記事でしたが、最近では各国の言論規制に対して目を光らせている、米国に対しては好意的とは全く言えないフランスの「国境なき記者団」(Reporters sans frontieres)までが、米国によるドメイン管理を支持する立場を表明しています。
私も現状は理想的だとは思いませんが、現在提案されている他の案に比較すればはるかにマシだと言わざるを得ないと考えます。国連のITUのような機関にまかせるべきだという意見もありますが、このような課題の調整に対する国連の今までの無能ぶりを考えるととてもマジな意見とは思えません(ITUの「管轄下」にある世界の電話網の状態を見ればこれは明らかです。国際電話かけるか、電子メール送るか、あるいはメッセンジャーやIP電話使うかというオプションを考えただけでも分かります)。
しかも、「国境なき記者団」が指摘しているように国連による管理を最も支持しているのは中国、キューバ、イランなど、世界で最も言論抑圧的な国々であり、自国国民のインターネットへのアクセスをコントロールしている国々です。国連は人権・言論の自由に関して決して誇れるような実績を持っているわけでもありません。2003年にはリビアが国連の人権委員会の委員長に選ばれたり、大体「世界情報社会サミット」自体を、大統領とその一族がメディアとインターネットへのアクセスに対して完全なコントロールを持っているチュニジアで行うとかいう冗談のようなセンスを見れば、長期的にこのような国連に対する権限委譲がインターネットに対してどのような影響を持つか全く予断を許しません(「国境なき記者団」は「背筋が冷たくなる」と評しています)。
EUが推しているのは、中国などとは立場が違いますが、単純化するとWSISが意思決定プロセスを構築し、民間および政府が関与する新たな多国間のフォーラムを設置し、そこでインターネットの管理を行うというようなものですが、あまりにも曖昧模糊としていて、単にテレビに出てくる評論家の寝言程度の実現性しか考えらず、はっきり言ってマジで考えているとも思えません。
大体ICANNでやっていることはほとんどテクニカルな決定であり(しかも現在ではそこそこ国際的な構成になっており)、政治色が薄いというのが唯一の取り柄みたいなもんです。それを国際政治の渦中に放り込むというのはやはり「poor decision」と言えると思います。最後に「国境なき記者団」のポジションの結びを紹介しておきます。
ICANNが永遠に1つの国(米国)の管理下にあるということを正当化することは困難である。米国はこの点において交渉を行うべきであり、実際、米国はインターネットが民間セクターによって運営されるべきであると提案している。
米国がインターネットを大きな問題もなく構築してきたこと、および米国は概ねオンラインにおける表現の自由を尊重していることは認めなければならない。したがって我々は、政府の干渉を最小限に減少させ、言論の自由が保障されるような、なんとか容認可能な妥協がWSISで成されることを期待する。もしそのような妥協が不可能なのであれば、現状のままの維持が最善の方策である。
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2005/11/10 木曜日
メリルリンチのレポートによると、Microsoftの次世代ゲーム機はコスト面で、SonyのPS3よりかなり有利になりそうです。
BOM(部品表)をベースにしたメリルの分析では、製品投入時点での推定コストがPS3は495ドルに対してXbox 360が340ドル、投入の3年後の推定コストがPS3の195ドルに対しXbox 360の145ドルになっています。
MSの超強力な財務基盤を考慮すると、低マージンの競争的価格で製品投入時から長期間の攻勢に出るのが可能ですが、Sonyは財務基盤が揺らいでいるだけに価格面での消耗戦は難しいのではないでしょうか。メリルのレポートは、2006年後半にはMSは出血戦覚悟でPS3の半分程度の販売価格でXbox 360を販売する可能性があるとしています。
数量が膨らむとますますコスト・ダウンが可能になりコスト差が開くため、Sonyとしては苦しいところかもしれません。MSがシェアを握った場合はグラフィックス・ボードを供給しているATIなんかも潤いそうです。まぁ、相変わらずの株屋さんの「風が吹けば、桶屋が何とか」っていう感じもいたしますが、、(笑)
以下、メリルによる製品投入時推定コスト
| |
PS3
|
Xbox 360
|
| CPU |
$160
|
$100
|
| GPU |
$100
|
$100
|
| 光学ドライブ |
$100
|
$25
|
| メモリ |
$60
|
$50
|
| HDD |
NA
|
$25
|
| USB |
$5
|
$5
|
| イーサネット |
$5
|
$5
|
| WiFi |
$5
|
$5
|
| Bluetooth |
$10
|
NA
|
| その他部品 |
$50
|
$25
|
| 合計 |
$495
|
$340
|
ついでに、両者の最新の経営指標も見てみると下のようになります。業界が違うので簡単にどうだこうだとは言えませんが、フトコロ具合が完全に違うというのは分かると思います。ところでSONYのために言っておけば、SONYは日本企業ではそんなにめちゃくちゃ悪いワケではないです。それでも右端に出した米国のS&P500社平均にも遠く届かないところを見れば、日本企業の収益性が極めて低いということも分かります。これはバブル崩壊以前の一応好景気と言われている時から一貫しているんですが(当時は日本企業は短期的利益を気にせず長期的視点に立って投資をするから利益が低いと皆さん言ってましたが)、日本の社員はそんなにさぼってる訳じゃないのに何ででしょうねぇ。(そりゃ経営が悪い)
| |
SONY
|
MICROSOFT
|
S&P500平均
|
| 粗利益率 |
21.90%
|
85.17%
|
45.88%
|
| 営業利益率 |
1.51%
|
37.12%
|
20.75%
|
| 純利益率 |
1.64%
|
31.90%
|
13.75%
|
| 資産収益率 |
1.21%
|
15.53%
|
7.90%
|
| 投資収益率 |
1.78%
|
19.36%
|
11.86%
|
| 株主資本利益率 |
3.92%
|
20.71%
|
19.97%
|
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2005/10/29 土曜日
米国国務省はパスポートに対するRFID(Radio Frequency Identification)チップ装着に関する規制を発表したようです。RFIDは名前の通り遠くから電波でスキャンできるバーコードのようなものですが、バーコードと違い光学的にスキャンする必要のないこと、情報量がケタ違いに大きいことから次代のIDタグとして期待されているものです。
もちろん、EFFなどセキュリティやプライバシーに敏感な団体は即座に反対しています。無線でスキャンできるので、例えば他人がパスポートのRFIDの情報を読み取って米国人と分かれば爆弾を投げつけることも可能なのではないかとか、情報を盗み出して複製できるのではないかとか色々ありますが、基本的には米国人(欧州でもある程度そうですが)は基本的に合法的であろうと非合法的であろうと、政府であろうと小売業者であろうとテロリストであろうと、第3者が本人の断りも無く組織的に個人の情報を収集できるようなテクノロジーにはかなり強い拒否反応を持っていると言えます。ということで当初の計画に対するパブリック・コメントではコメントの何と98%が反対ということで計画は頓挫していました。
国務省はそれに懲りもせず、今回新たに決定を発表したわけですが、さすがにパブリック・コメントには留意して、パスポートの内側に印刷されたPINをリーダーで読み取ってそれをRFIDチップに送信しないとチップが応答しないようにすることや、アクティブRFIDではなくパッシブRFIDにすること、何らかの「アンチ・スキミング」素材を埋め込むことなど、基本的に閉じられているパスポートの情報を他人が遠方から読むことを不可能にする方策をいくつか採用しています。しかし、開いて光学的に読まねば作動しないのであれば、高密度で暗号化されたバーコードの方がはるかに安いのでは、という専門家もいるようですが・・・
米国ではウォルマートがメーカーに対して商品へのRFID装着を要求したりしていた関係もあって、RFIDは急速に普及するのではないかと観測していた向きもありましたが、前述した米国人のセキュリティやプライバシーに対する懸念もあり予想された程には普及していないので、チップ業界は今回の国務省の決定には大喜びのようです。ちなみに日本でも、外務省が来年3月までの「RFID」パスポート導入を目指しているようですが、これも基本的にはパスポートの内側に印刷されたコードを光学的に読み取り、それから生成された暗号鍵をRFIDに送信して、それに対しRFIDが応答して情報を返すという方式のようです。
個人的には、反対派の皆さんが言う程リスクが高いかどうか分かりませんが、この手の反テロに名を借りたイニシアティブに共通したこととして、リスクも含めてどうもコストベネフィットで算盤が合うようには全然思えないところがあります。国際的な資金移動に関する銀行に対する規制なんかもそうなんですけどね。誰か得してるんでしょうかねぇ・・・
余談ですが、商品等に付けるRFIDタグに関してですが、国内技術であるユビキタスIDを推進しておられる坂村センセーがセキュリティやプライバシーに関して話されていること等を見ると、どうも第三者の不法な使用を防ぐ話ばかりなようですが、先にも述べたように消費者が強烈に反発しているのは、そこらへんのストリートキッズがポテトチップの缶についてるRFIDチップを不正にハックする事なんかではなく、あくまで「(メーカーや小売業者などを含む)第3者が本人の承諾を得ずに個人の情報を組織的に収集できる技術」であり、ちょっとばかり感覚が甘すぎるような気がします。
この面では国際標準のEPC globalのセキュリティ・スタンスも大したことはないですが、まだここらへんには一応の目配りをしているように見えます。ここらへんの感覚が甘くても、中国、韓国くらいなら何とかなるのでしょうが、国際的にはやはり相当まずいのではないかと思われます。まぁ、エンジニアリングの人は、それはテクノロジーの問題ではなく運用の問題だと言いそうですけどね。
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