2006/8/12 土曜日

つれづれ:地球は暖まっていないし、暖まった方が良い?

先日、「選択」という雑誌の古いやつを人に頂いてパラパラ読んでいたのですが、最初の方のページに渡辺サンという東大の先生か何かが出ていて「地球は温暖化なんかしていないし、二酸化炭素が温暖化の原因となっているのも実証されていない」というようなことをおっしゃっていました。私も専門外なんで科学的に厳密にどうだと言われると良く分からない部分もあるのですが、ここまで言い切れるのはどうかという感じもします。

アメリカの学者なんかですと、こういうことをおっしゃる方は産業ロビー関連か共和党の宣伝関連の方が多いので分かり易いのですが、日本でここまで言い切れるのには何があるのか良く分かりません。とゆーわけで、これだけ見てどーだこーだもフェアではないので先生の筆になる「これからの環境論―つくられた危機を超えて」というのを読んでみました。
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2006/6/30 金曜日

二酸化炭素に見るEU

EU排出権取引スキーム(EU ETS)における、2005年の排出量の検証結果が5月の中旬に発表されて、排出枠に対する予想外の排出量の低さで市場はぐちゃぐちゃになっていましたが、検証結果を見れば見るほど色々面白いです。もともと欠陥の多い超人工的な市場で欠陥と参加者や需給の動向の関係やらで市場の勉強にはもってこいなのですが、そこらへんの面白い話は今度時間のある時にでも。

排出量が排出枠に比較して低かったというのは、もちろんすごく省エネが進んでいるからではあまりなくて、排出枠が単に大きかっただけという面がかなり大きいのですが、面白いのは国別の状況で、一番排出枠が余って楽なのがドイツ(21Mtのアローワンス余剰)とフランス(19.1 Mtの余剰)になっています。でもって一番厳しいのが英国(27.1Mtの排出過剰)となっています。ちなみにEU全体では約65 Mtのアローワンス余剰と排出権はだぶついています(少なくとも2005年は)。

で、さっきも言いましたが、この結果は別にドイツとフランスで省エネが進んでるからでも、英国がさぼっているからでも全然なくて、見ようによっては各国政府がどれだけ(不)真面目に取り組んでいるかのバロメーターとも言えます(排出枠は欧州委員会と各国政府の政治的綱引きで決まる部分も大きいので、排出枠が大きいってことはそれだけ自国産業が二酸化炭素を大量に排出できるように政府が頑張ったってことですから)。

で、EU ETSはもともとEUの「威信的」プロジェクトの1つだったワケですが、とかく「自国産業に不利」とか「排出枠がキツすぎる」とかブータレながらも排出枠設定当時はまだEUを主導していたフランスとドイツが仲良く自分たちのフトコロだけは確保していたワケでこれはやはり大したものです(?)。ただ実績データが出たと言うことで、今度の排出枠割当では欧州委員会も甘くはないと思いますが。

一方英国ですが、ブレアが京都議定書目標よりはるかに厳しい「自主目標」を掲げていただけあって、EU ETSの排出枠もそれなりに厳しかったということで少なくとも「言行一致」は示されたようです(おっと、行動はそれほど伴っていないので「言言一致」でしょうか)。

ところで欧州全体では国ごとにデコボコもありますが、2008-2012年の間の京都議定書目標自体は射程に入ってきているようです(まだ排出超過の見込みですが)。現時点で一番ヤバそうなのはカナダと日本ということのようです。

2006/6/2 金曜日

またクールビズの季節・・・

また、クールビズの季節だそうで、これ自体は二酸化炭素にも地球温暖化にはほとんど影響はないと思いますが、暑い中完全武装というのもしんどいですから、涼しい格好というのは少しは楽かもしれません。環境大臣も仕事してるみたいに見えますし。学者にも二酸化炭素と温暖化の関係に疑問を持っている向きもいるようなんで、適当にやっておこうということかもしれません。

ただ、京都議定書に関して言えば、現時点での見通しだけからは日本の状況はかなり危機的なように見えます。下の図はちょっと以前にPointCarbonが出したものですが、現在予定されている政策、プログラム、予算等をすべて考慮した上で各国が京都議定書の約束に比較してどういう状態になるかという予想(二酸化炭素の排出量が京都目標と比較して何%上回るか、あるいは下回るか)を示したものです。

まぁ、日本よりマズい国はもともと京都議定書などほとんど何とも思っていないイタリアとスペイン、そして今年の始めに新政権が誕生して先行き怪しそうなカナダぐらいです。これだけからすると量的に見れば日本は群を抜いた「違反第1位」になるのは間違いなさそうです。実際には最近はCDMなど開発途上国からのプロジェクトベースの排出権の供給が大幅に増加しているので、実際にはこれよりだいぶマシかもしれませんが、「クールビズ」やら「もったいないふろしき」で何とかなる次元の話では全くありません。

さて、日本としてはそのような「不名誉」だけは避けたいところでしょうが、最後の切り札があるので政治家の皆さんも涼しい顔をしているのかもしれません。それはロシアとウクライナなんですが、もともと京都議定書批准のエサとして旧ソ連時代の排出量を基準に排出枠をもらっているので、山のように排出権がだぶついています。

下の図は今度は京都目標に比較して何ギガトンくらいの余剰/不足になるかという予想ですが、ロシア一国の余剰排出枠だけでEU、日本、カナダの不足量をカバーしておつりがくるくらいです。

まぁ、この排出枠(AAU)に関しては取引の可能性もメカニズムもまだ不透明な点が多いですが、いざとなったらロシアにこれだけ大判振る舞いした各国の政治力がモノを言うことになるのではないでしょうか。プーチンもガスや原油だけでなく儲け口がいろいろあってめでたいことです。

ところで引用したPointCarbonの資料は要約版が無料でダウンロードできるので、興味のある方はどうぞ。

Carbon 2006 – PointCarbon

2006/5/6 土曜日

二酸化炭素価格メルトダウン

EU排出権取引取引スキーム(EU ETS)における価格がメルトダウンしています。上の図(Source: PointCarbon)でも分かりますがつい数週間前まで30ユーロ程度で安定していたEUA(EUアローワンス)価格は12ユーロ程度まで急落しています。

これはフランス、オランダなど数カ国が2005年において二酸化炭素排出量が割当量を下回ったと発表したためで、おまけに大排出国のドイツの排出量も割当量を下回ったという(未確認)報道がパニックに追い打ちをかけた状況になっているためです。

原油の高騰->コスト安の石炭使用の上昇->二酸化炭素排出の増加->排出権価格高騰というストーリーが完全に外れたワケで、ロンドン証取ではカーボン金融からみの会社は軒並み下落、排出権を山ほど抱えている企業の株も下落となっています。高値を当て込んで最近CDM投資の呼び込みに熱心だった途上国の排出権商売熱にも少し影響が出そうですね。

しかし、排出枠という市場最大のファンダメンタルがEU委員会と各国政府の綱引きという政治要因で決まるEU ETSの最大の弱点が垣間見えるような値動きでもあります。

2006/2/7 火曜日

地球は暖まっているか冷えているかの賭け市場??

What’s my sceneさん経由、時事通信のニュースで「地球は『ミニ氷河期』に=太陽活動が停滞−ロシア天文学者」というのを見たのですが、少し以前に「Nature」で読んだ地球温暖化に関するちょっと面白い賭けの話を思い出しました。

この賭けを提案したのは、現在日本の地球環境フロンティア研究センターで地球環境モデリングの研究をしている英国人研究者のJames Annanさんですが、賭けの内容は1998-2003年の平均地球表面温度と2012-2017年の平均温度を比較して、気温が上昇していたらAnnanさんの勝ち、気温が下がっていたらAnnanさんの負けで、賭け金は10,000ドルというものです。

Annanさん、面白いことにこの賭けを地球温暖化に対する懐疑派の大物(で強制的な2酸化炭素削減スキームに反対の米国共和党の理論的支柱)であるMITのRichard Lindzen教授に挑んだのですが、Lindzen教授は賭け率が50-1なら受けるという何とも情けない返事だったようです(つまり、気温が下がればLindzen教授は10,000ドルもらうが、気温が上がった場合にはLindzen教授は200ドルしか払わないという、Lindzen教授に極めて有利な条件でならば受けても良いということだったようです)。

結局Lindzen教授とは賭けの条件で折り合わなかったのですが、まぁ、この地球温暖化懐疑派の大物が自分の理論にどれくらい自信があるのか良くわかるような話なので一時大きな話題になっていました。

後日ロシアの2人の学者Galina MashnichさんとVladimir Bashkirtsevさんがこの賭けを受けて立ったようで、この2人は上でリンクした記事の学者と同様、地球気温は太陽の活動に大きく影響されるという立場のようです。

ところで、この話を紹介しているGuardianの記事でも指摘しているように、現在短期的な気候の変化による農作物等への打撃はCMEの天候取引などのメカニズムで一部ヘッジすることが可能です。しかし、地球温暖化の長期的なダメージに関してはヘッジが困難です。このAnnanさんの賭けのように、長期的な将来の気温先物のような市場があれば、温暖化の際に沈没などの危機にさらされる地域にとっては良いヘッジになりそうな気がします。ロバート・シラーのマクロ・リサーチあたりが商品化すると面白いのですが。

Natureの記事(有料)
Guardianの記事(無料)