2008/6/5 木曜日

FRB議長の新しい為替方針・・・って???

猛仕事の日々で今日はとうとうダウンして、ちらちらウェブを徘徊してたら「ドル急上昇、FRB議長の新しい為替方針受け」というヘッドラインが目に入りました。

いつから為替方針が中銀のお仕事になったのか分かりませんが、バーナンキ先生、ドル下落の下手人にされて議会でイジメられるのがイヤになったんでしょうか。いずれにせよ、為替の動向と中銀のトップの意思決定に強いリンクがあるという印象を与えるのはあまり賢明な行為であるとは思えません。もうみんな「これで利下げ打ち止めは確実」なんて言ってますし。まぁ、利下げに関しては、そうなのかもしれませんけど、そういうシグナルを発するにしても良い方法とは思えません。

大体、先生が取れるアクションの幅はそんなにないんですから、こんな軽口たたいてて、それでもドルが落っこちて、それで金利もいじれなければそのうち「オオカミ少年」ならぬ「オオカミおじさん」になっちゃう可能性もあります。

財務長官がオオカミおじさんなのは別にしょうがないとして(皆それは知ってますし)、一応信用が商売道具の中銀総裁がお仲間になるのはちょっとやばいんじゃないでしょうか。ポールソンとコンビで狐と狸なんて最悪だと思うんですが。

2008/5/11 日曜日

インフレ懸念って、そりゃそーでしょう。

そろそろ利下げも打ち止めか(どうか分かりませんが)と思ったら、Bernanke先生は今度は市中銀行が連銀に預けている準備金に対して、金利を支払う許可を求めているようで(もともとは2011年までは認められていないので、前倒しの許可ですが)、暴走機関車というか、欲望という名の電車というか(意味不明ですが)、やりますねぇ。お小遣いをもらえる銀行は喜ぶでしょうが。

ところで、気になるインフレの方ですが、先月末にはボルカーお爺さんが「もう、そろそろ心配した方がええんじゃないかのう」とおっしゃってました。それに関連して面白いチャートを発見したので一発ご紹介。下は、1980年に使用されていたCPIの計算方法でインフレを計算したらどうなるか、という表でShadow Government Statisticから頂きました。

これは、コアCPIではないですが、コアでも大体同様の傾向になっているはずです。このチャートによると、ボルカーお爺さんが就任した当時の計算方法でいけば、インフレ率はすでに10%を上回っている状態でFF金利のターゲットは2.0%、DRは2.25%という、お爺さんからすれば「いや、もう若いもんにはついていけんわ」という世界ではないでしょうか。

もう一発分かりやすいチャートが、データの出所は同じShadow Govt Stat.ですが、レーガン時代、クリントン時代の前の計算方法でインフレ率を計算したらどうなるかというやつです(Sandiego Union Tribute)。

まぁ、意図的にインフレを過小に見積もるように統計が「改善」されているわけではないのでしょうが、例えば品質向上による値下がり効果(例えば、同じ値段でパソコンのスピードが倍になったら、値段が下がるのと同じとかいうやつです)は調整されているのに、安物の粗悪品の増加に対する「値上がり効果」の補正なんぞは聞いたことがありませんし、1980年代以降の「改善」は概ねインフレ数値を引き下げるものであったというのは確かではないでしょうか。

基本的にはこれは中銀からすれば、テイラールールの定数項をパーマネントに引き下げるのと同じような効果があるといえます。いや、テイラールールの下方シフトですと、市場の信認の問題や、インフレによる政策金利の定常状態の上方シフトにより、結局利下げ効果は相殺されますから、この場合の効果はテイラールールの下方シフト以上になります(なんたってインフレ上がらないですから)。

昔、どっかの国では「中央銀行総裁の首を切っても公定歩合を下げさせろ」とか言った有力政治家がいたそうですが、そんなことするよりも統計局の役人をおどしてインフレ率を下げる方が効果的かつスマートかもしれません(ってもちろん冗談ですので)。

2008/3/30 日曜日

血まみれ第1四半期:いろんな人達

第1四半期は大嵐になりましたが、金融、投資業界では嵐を生き残った人、沈没した人、相変わらずエゲツナイ人など、実力と運がシビアに試された期間でした。ここ3カ月は地獄のように忙しかったのであまり書けませんでしたが、最近数カ月でちょっと興味を引かれた(名経営者と言われていた/まだ言われている)人達のおハナシを一発。

1. やっぱりエグイで賞:ウォーレン・バフェットさん(バークシャー・ハザウェイ)

人の弱みに付け込んで「お前達の一番おいしい商売を買ってやるから、心安らかにお陀仏しろ」というのはフツー「救済」とは言わないもんですが、売ってくれないとなると、今度は自ら乗り込んで弱体化した連中の商売の奪取に動くあたり、年をとっても強烈にシビアなお方です。外が嵐だろうが、宇宙戦争だろうが、バークシャーの株を持ってる人は毎晩ぐっすり眠れることでしょう。

2. 明暗を分けたで賞:リチャード・コバセビッチさん(ウェルズ)とアンジェロ・モジロさん(カントリーワイド)

去年の米国のモーゲージ・ビジネスでは、オリジネーターとして1位だったのがウェルズ・ファーゴで2位でカントリーワイド・フィナンシャル、サービサーとしては1位がカントリーワイドで2位がウェルズでした。

しかし、結局カントリーワイドはボロボロになってバンカメに1株7.7ドルで救済買収され(1年前は45ドルくらいでしたが)、ウェルズはホーム・エクイティ・ローンで傷を負ったものの相変わらず結構な利益を出しており、コバセビッチさんも後任に無事席を譲って会長に収まるなど、名経営者と謳われた2人は対照的な結末となったようです。ただモジロさんは4000万ドル近い退職金や手当を断ったようで、一代で築いた会社の末路に対する無念さが少し見えるような気がしました。

あと、(今まで)無傷なところでは、ブラックロックのラリー・フィンクさんも、最近色々買った資産を合わせて1.3兆ドルでほとんど無傷というのは大したものではないでしょうか。一方でリーマンのリチャード・ファルドさんは色々煙が立っていますが大丈夫でしょうか?

おまけ: ベアーのとばっちりで賞:ジム・クレイマーさん

いや・・・。相変わらず面白い人ですが、この「ベアー・スターンズは絶対大丈夫。ベアーには問題なんで全然ない。ベアーの株を今売るのはアホだ」というのは・・・ちなみに3月11日放映です・・・

2007/11/26 月曜日

「暗黒の金曜日セールス」は好調のようですが・・・

毎年この時期になるともうヘロヘロで、ロープにでもつかまるか、タオルでも投げ込んで欲しい気分ですが、感謝祭の翌日は「Black Friday」と呼ばれており全米主要小売店が年間一番のバーゲン・セールを行う日です。またクリスマス商戦の「キックオフ」とも言え、消費の動きに注目が集まる日でもあります。

Bloombergによると、Black Fridayの売上は全米で前年比8.3%と予想を大きく上回る好調だったようです(週末の2日間でも7.2%の上昇のようです)。ニュースを色々あさってみると、中身は一概に明るいとは言えないようですが(例えば1人当たりの支出は3%以上減少しているなど)、株式市場にとっては年末のプレゼントになるかもしれません。

もちろん、「これで心配は吹きとんだ」などと言える状態には程遠いわけで、このニュースで皆さんが少し浮かれ気分になっているようであれば、ポートフォリオの組み替えのチャンスかもしれません。

先週の第3四半期の業績発表がほぼ終わった時点で、S&P500の企業利益は前年比8%以上の落ち込みで、米国の景気の減速はかなりはっきりしています。

これ程のマイナスの時は通常ですと数四半期後には”R”の字がちらつくのですが、まぁ、金融と一般消費財という「サブプライム銘柄」が両者ともマイナス30%を上回る落ち込みで足を引っ張っているわけで、ダイハードな強気派は金融だけ除いた数字を計算して「米国は大丈夫」なんて言ってる人もいます。しかし、これは何となくハンバーガーからバーガー部分を除いてカロリー計算をして「ハンバーガーは健康食品」なんて言ってるような感じもいたします。

一方で、資本財、ハイテクは2桁成長ですが、これは両者とも基本的にグローバル経済銘柄で、世界経済が相変わらず底堅いことを示していると言えます。基本的に米国は減速、グローバルはそこそこ強いというシナリオは変えていない人が大半のようですが、米国がどれだけ弱くて、世界経済がどれだけ底堅いかはこれからのお楽しみ(楽しくないかもしれませんが)というところでしょう。

2007/11/12 月曜日

市場つれづれ

先週後半はまたまた豪快に米国市場が下げましたが、少し「???」と思ったのが新聞の見出しの類いです。

米国のメディアなんかでも「サブプライム問題への恐れで市場下落」なんてのがデカデカのってましたが、これはもちろん30%位しか当っていない、、、というか70%は違うような気がします。

大体大下がりしたのは、サブプライム関連どころか「ドル安銘柄、グローバル経済銘柄、業績好調銘柄」のハイテクの大型株連中です。先週1週間で見ても、メディアが「下手人」としている金融はマイナス3%くらいでしょう(ハイテクは8%以上下げています)。それに先週はクレジット関係では、そんなにサプライズの話はなかったですし。

さて、問題のハイテクですが、最近は「ミニ・フロス」(バブルというほどでもないんで)状態で、ここ3カ月だけでもNASDAQ100は20%以上、年初来では30%近く上昇していました。つまり、何かきっかけがあれば、いつ大きく調整しても不思議はない状態でした。今回のきっかけはシスコのアウトルックが、皆さんが「イって」しまうほど強くなくって、失望売りがかさんだというところではないでしょうか。

火曜日の終値から見ると、ハイテクの調整具合が良く分かりますが、VMwareが20%以上、シスコ、百度が約16%、オラクルが約15%、アップル、ヤフー、RIMMが約13.5%、グーグル、アマゾンが約10%、比較的損害が軽微だったマイクロソフトでさえ3日間で7%以上下げています(シスコだけでも時価にしてほとんど330億ドルが吹っ飛んだ勘定になります)。

さて、サブプライム問題に、経済減速、そして今度は「最後の砦」が「陥落(しかし大げさですが)」ということで、American Association of Individual Investorsが調べたところでは、米国の個人投資家の50%以上が市場に対して「弱気」となっているようです。これは米国人にしては相当弱気な数字でかなり一般投資家が動揺しているのが分かります(ちなみにファンド・マネジャーなどの調査では弱気派は大体20%程度です)。

というわけで、かなりパニック気味に強烈な経済減速を織り込んでいる感じなのですが、来週はThanks giving商戦の最初の感触が少しずつ出てくる週ですので、それ次第で変わってくるような気もします。

2007/10/22 月曜日

シティ(+アルファ)のスーパーファンド

先週はシティ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガンの米銀3行による「サブプライム対策基金」の設立合意が話題になっていました。

まぁ、これは正確には「サブプライム対策」とゆーよりはSIV対策なわけで、SIV対策というとどうも「シティ救済」という感じが濃いような気がするのですが。自社傘下のSIVの飛び火(というか自業自得なんですが)を避けたいシティと、サブプライムによる動揺に何か手を打ちたいポールソンのお互いに全然違う思惑がどっかでくっついちゃった感じじゃないでしょうか。

SIVは、特別目的会社(SPC)みたいなもんで、一部投資家にうまい話をして出させたエクイティを種に、これまたうまい話でCPなどを発行しまくってお金を借りまくって、そのお金を金融会社の債券やらモーゲージ証券につぎこむという商売ですが、要するに人から出資させたお金をベースに借金して、別の人の借金に投資するという大掛かりなサヤ取り商売です。(で、投資先のモーゲージ証券の値下がりで大ピンチに陥っているというわけです。)

こんなもんですから、SIVのサヤ取りのスプレッドはおそらくせいぜい0.2%位で、4000億ドルのSIV業界のおそらく20-25%を占めるシティでも、せいぜい稼げるのは2億ドル程度ではないでしょうか。エクイティ出資者と山分けにすると税引前で1億ドル程度の儲けになりますが、年間300億ドルも儲けるシティがこんなアホほどリスキーな商売に、こんなスケールで手を出している事自体がこの業界のクレージーさを物語っています。

で、シティは自社傘下のSIVには全然エクイティを出していませんから、バランスシートにものせていません。SIVへの投資家が大損失を被っても、「救済する法的義務は全くない」とおっしゃっています。もちろん、これがそのまま通用すると思ってる人はあまりいなくって、シティも母屋に火がつかないようにこの「救済ファンド」でSIVを支えておきたいというところでしょう。

バンク・オブ・アメリカ(とJPモルガン)はSIVにはほとんど手を染めていないはずですが、バンク・オブ・アメリカが運用しているマネー・マーケット・ファンドが山のようにSIV発行の借用書を抱えているそうで、こっちにはこっちの事情がありそうです。(なんでマネー・マーケット・ファンドがそんなもんに一杯投資しているのかも問題ですが)

評判も散々です。

ウォーレン・バフェット(Foxのインタビューで):「んなことやってるひまあったら、SIVを自分のとこのバランスシートに入れろ」
ビル・グロス(インタビューで):「アホか」

しかし、今回の話で(シティ以外で)一番評判を落としたのは、嬉しがって銀行間の会議を設定したポールソン先生ではないでしょうか。大体この手の話の「自然な」仲介者はNY連銀ですが、NY連銀も動く気配が無いときに「もう待てん」って感じで「昔のお仲間たち」を救済に動いたと見られても仕方がないような気がします。(はしゃいで、G7でも「PIMCOやフィデリティも参加する」なんて口走ったようですが、その後PIMCOに否定されて散々です)

2007/10/13 土曜日

何となくバブリー・・・

今週はFOMCの議事録で利下げに全員一致だったというので、皆さん「やっぱり、もう一杯、いやひょっとしたらもう二杯」という感じで完全に一杯機嫌になったという感じでした。(FRBの場合は委員の反対にどれだけ意味があるのか、私には少し分かりかねますが・・・。英国のMPCの場合は、各委員が自分の意見に対して「個人的にも公的にも責任を負う」とされており、総裁が票決で敗れることも結構あるので、票数に意味があるのは分かりますが・・・ それにコーン御大は「50bpもやったら十分かも」みたいなことも言ってますし)

フェリックス・ズラウフなどは2年程前から、今の強気相場は10年毎のバブル絶頂-崩壊への助走だなどと言っていましたが(今年の始めにも、今年は大きい調整があるが、強気市場は終わらんなんて言ってました)、何となくそれを思い出したりした週でした。

で、今週は色んなとこに「データとリリースへの対応の早わかりシート」ってな感じの題の戯れ言のメールが回っていたようですが、内容はこんな感じでした(原文は英語ですが)

弱いデータ = FRBの利下げ、したがって株は上がる。
強いデータ = 経済は強含み、したがって株は上がる。
銀行の損失40億ドル = 悪材料出尽くし、したがって株は上がる。
原油価格急上昇 = エネルギー関連銘柄に好材料、したがって株は上がる。
原油価格下落 = 消費者に好材料、したがって株は上がる。
ドル急落 = 他国籍企業に好材料、したがって株は上がる。
ドル急上昇 = インフレ沈静、したがって株は上がる。
インフレ急上昇 = 全資産の価格上がる、したがって株は上がる。
インフレ沈静 = 利益の質が上がる、したがって株は上がる。

あーあ。何と言いますか・・・まぁ、これが「強気」ってもんなんでしょうが。
(ところで、上のサンタさんバーナンキの絵はここで頂きました)

2007/10/1 月曜日

バフェットの「買い」(のウワサ)は「売り」?

先週はニュヨークタイムズが「ウォーレン・バフェット氏がベア・スターンズに投資か」というウワサを流して株価が一時的に急騰し、日本でも日経などがフォローしていました。

大体、状況が怪しくなってくると変なウワサを流す輩はどこにでもいるものですが(株屋さんの世界もアニマルの皮をかぶったアニマルが一杯いますので・・・)、大手のメディアまで一緒になってウワサを流すのは(いや、何らかの裏付けをとっておられたのだとしたら済みません)いかがなものでしょうか。

バフェット氏といえば、将来的にキャッシュフローを生む企業を割安で買うという典型であり、いまこの状況で(常識的に考えると)ベアに手を出す意味があるとは思えません(まだアタマもしっかりされているようですし)。

大体、最近でもバフェット氏が「投資を考えている」と噂された会社には、これまた住宅建設で火を噴いているホブナニアン(HOV)やら、同じく住宅ローンのカントリーワイド・ファイナンシャル(CFC)、建材のUSGコープ(USG)など死屍累々でみんなウワサのあと大きくへこんでいます。

この中でもベア・スターンズは一番あり得ないと言う気がしますが・・・おっと、そう言えばニューヨークタイムズもバフェット氏が買うというウワサの対象になっていましたが、ウワサが出て上がった時点からボロボロに下がっています。大体バフェット氏自身投資家へのレターで「新聞なんかあきまへん」と言っています。(これらの「買い」のウワサはNYTの腹いせでしょうか、ひょっとして・・・)

まぁ、一応きちんとしている(と思われている)メディアが率先して「ウワサ」の流布にはげむのはやめて欲しいものですが・・・(フツーならば報道しながらも疑いの一言くらいあっても然るべきだと思われます)。

Bloomberg

2007/9/30 日曜日

もう1つのリスク:米中関係

イランの次のリスクと言うと、米国の次期大統領が決まるまでに荒れるリスクが少しあるのが米中関係ではないでしょうか。イランの場合は(経済的には)エネルギー関連への投資というヘッジの手段があるのですが、米中関係の場合は誰も得るものが無いだけに少し厄介です。

中間選で民主党が大勝して以来、人民元の「操作」による「中国の不公正な」貿易慣行などという批判がかなり出てきており、民主党の大統領予備選の主要候補もそういうことを結構言っています(もちろん、現政権がきちんと対応していないからだという攻撃ですが)。

今後大統領選に向かって組合票などをまとめることも重要なテーマになってきますから、民主党の各候補もこの手の攻撃を強めることになる可能性があります。事実オバマもヒラリーも「人民元の人為的な操作」とそれに対する現政権の「無為無策」をかなり攻撃しています。

これは不幸なことですが、中道に近いヒラリーも例えば中米自由貿易協定に反対投票したことなどを宣伝材料に使っており、今後一段と保護主義的な空気となることも予想されます。もちろんこれは民主党の伝統的地盤の組合対策ですが、共和党が宗教右派を無視できないのと同様、民主党も組合左派を無視できないというわけでしょう。

それで、タイミング良く(悪く)中国製品の安全問題などが大きく取り上げられていますから、何か問題があれば一気に一部製品に対する輸入規制などの動きになりかねません。対中であまり弱腰に見られたくない共和党にそれを止める力はあまり期待できないかもしれません。

そして、もう1つ間が悪いことですが、最近中国政府は外資に依存した成長から、戦略的な産業で世界的な競争力をもった自国企業の育成を行うという方針に転換しています。

米国の実業界はかなり中国に直接投資をしてきており、それが保護主義に対する一定のブレーキになっていましたが、中国の方針転換により、一部業界ではかつての極端な外資優遇政策から一転して技術移転への強硬な要求が出てきたりしており、進出していた米国企業が地元の議員に陳情したとかしないとかいったウワサもちらほら飛んでいます。これも保護主義に対するブレーキを弱める要素になりかねません。まぁ他にダルフールとかミャンマーとか、イランとか米中の火種は山のようにあるわけですし・・・

これだけ強固に経済的につながっている米中が全面的に貿易戦争に突入という可能性は極めて低いですが、世界経済拡大のペースが弱まっている時に少しでも2大経済大国の貿易面での衝突・摩擦があれば相当なショックになるリスクもあります。

というわけで、今後特に大統領選が終わるまでは、米中関係に関して少し注意が必要であるような気がします。

2007/9/26 水曜日

もう1つのリスク:その1

今は経済に関しては、どこを見てもクレジット危機が実体経済におよぼす影響のリスクの話ばっかりなんですが、やはり少しは「実体」リスクにも目配りをということで少しだけ覚え書き(いや、アフマディネジャド大統領の顔がここんとこ新聞やテレビなんかで氾濫してるんで、ついアタマがそっち方向に向いただけなんですが)。

米経済の減速は、程度の差はあれ皆さん織り込み済のように見えますが、世界経済に一気に冷や水をかけるようなリスクに関してはあまり注意されていないように思われます。

やはり、リスクの1番目はイランではないでしょうか。イラクは米大統領選前の政治的プロパガンダがどうであれ、次期大統領がオバマかポールにでもならない限り現状と大した変化はなさそうな気がします。

イランが核開発を進めれば、どこかの時点で米軍が攻撃する可能性は高いと思われますが、米国の現政権が次期政権まで問題を持ち越すかどうか決断する時間はあまり残っていないのではないでしょうか。

どうも攻撃なんかあり得ないと思ってる人が結構多いようですが、イランの現政権の今までの行動から、核兵器を持てばイスラエルを攻撃する可能性は100に10とまでは行かなくても100に1くらいはある(と少なくともイスラエルや多くの国の政府は考える)のではないでしょうか。テルアビブあたりに攻撃でもあれば一巻の終わりです。イランはかなり科学技術も進んでいますし。

少なくとも国連ではイランに対するこれ以上の制裁が合意される可能性は極めて低いと思われますから、イランの現政権が続く限り、可能性の高いシナリオはブッシュ政権下での攻撃か、ブッシュ政権が次期政権に問題を持ち越し->外交解決進展無し->イランが核開発継続->米国の攻撃・・・という感じではないでしょうか。どっちもまったくロクでもありませんが。

また、この問題に関しては共和党、民主党を問わず、主要な次期大統領候補の面々、議会ともそれほど(強硬)姿勢に差があるようには思えません。それに最近フランスのサルコジ大統領も「イランが爆弾を持つか、イランに爆弾が落ちるかのどっちかだ」なんて言ってるように、イランが核開発を進めた場合、攻撃に対する障壁は(経済的影響を除けば)それ程高いものであるとも思えません。

で、最良のケースでもイランをめぐる緊張は当分続くと思われますが、これは原油、ひいてはエネルギー価格全般に上昇圧力がかかることを意味しますし(今もかかっています)、この上もし何か起こるとある程度の生産余力があるのはサウジくらいでしょうから、石油は一気に上昇、世界経済には大ショックという可能性もあり得ます。くわばらくわばら。

というわけで、アフマディネジャドさん(さん付けするなと言うに)には気を付けましょう。