2008/11/10 月曜日
中国が2010年にかけて4兆元(5,860億ドル)の財政刺激をするとの発表をしました。
詳細なことは分かりませんが、2年に分けて使っても各年のGDPの7%になろうかという超太っ腹な額です。中国の減速で、財政刺激を予想していた向きも多かったようですが、大方の予想を上回る規模であると思われます。(追記:新規分の投資は1.5兆元くらいではないかとの観測も出ているようです。それでも大きいですが。)
投資対象は、低所得者の住宅、地方のインフラストラクチャー、水、電気、輸送、環境、技術革新、および災害復興などの分野とのことで、早くも今年の第4四半期には4000億元の投資が予想されているようです。また、ここのところ連続して利下げが行われていましたが、金融政策に関しても「やや積極的」なスタンスを取ると正式に表明されています。
中国の謝旭人財政相が、APECの会議でペルーに到着したばかりで、会議が始まる前に北京に呼び戻されたというニュースが昨日か一昨日に流れていましたがこれだったんでしょうか。そうだとするとかなり急な話ですが、指導部の内部で何が起こっていたのか憶測を呼びそうです。
しかし、北京からペルーの会議場まで32時間かかるそうですが、ほとんど休みなしで往復ではタフな中国人でも流石にこたえそうですねぇ。
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2006/1/21 土曜日
最近のBarronsのラウンドテーブルでマーク・ファーバー(Marc Faber: Tomorrow’s Gold
などの著者)が少し面白いことを言っていたので少し紹介・・・
世界で起こっている巨大な富のシフトというのが、私がここ数年フォローしているテーマだ。ブリッジウォーター・アソシエイツの創始者のレイ・ダリオ(Ray Dalio)も最近「米国から米国外への現在の富のシフトは今までに例を見ないものであり、経済的出来事の中でも最も大きいものの1つとして歴史に残るだろう」と書いている。(中略)
少し例を挙げれば、現時点におけるGMの時価総額は120億ドル、フォードは150億ドルだが、ホンダは550億ドル、トヨタは1,720億ドルだ。1970年には、IBM1社の時価総額だけで日本の株式市場全体の時価総額を凌いでいた。今後10-20年でアジア市場の時価総額が全世界の株式の時価総額に占める割合は現在の14%から25%、ひょっとすると50%になる可能性もある。
まぁ、私にはそんなに世の中リニアに動くとも思えないのですが・・・
ところでファーバー先生は先週号で、日本の株式はすでにかなり買われすぎとしており、(日経が20,000に達する可能性もあるとしながらも、それでもなお)他のアジア市場の方が魅力的としておりました。確かに、配当利回り1桁台後半で、そこそこ成長してて、しかもPER10倍程度とかいう会社がアジア市場はごろごろしているので、今の金余りが続く限り、そこらへんが米国市場なみになるまで上げるのかもしれませんね、、
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2005/11/22 火曜日
ここ1週間ほど商品市場の方で大騒ぎになっているのが、中国の公的な資源調達機関であるStrategic Reserve Bureau (SRB: 国家備蓄局)の下部組織であるState Regulation Centre for Supplies ReserveのディレクターであるLiu Qibing(劉其兵: 漢字表記は未確認)というトレーダーがロンドン金属取引所(LME)における大量(10-20万トン)の銅の空売りポジションを放ったらかして行方不明になっているというニュースです。
SRB当局は最初そんな名前の人間は働いていないと否定していたようですが、その後大騒ぎになると発表は一転して、確かに当該の人物は機関で働いていたが、問題の取引は彼が自分の裁量でおこなったもので、当局は関知していない、というものに変わっています。
ニュースを見ていると、中国当局はリスク管理が甘いんじゃないかとか色々なことが言われてますが、私の限られた知識では、中国はトレーダーが外国の市場で簡単に「自己裁量で」取引できるような甘いところではないような気もいたします。
同じように思う人も結構いるようで、中国の市場関係者の間では、Liu氏が自己裁量で取引していたとは考えられず、Liu氏は銅の市場価格操作のために、SRB当局の指令で取引していたのであって、価格操作が失敗した後で上部からの責任追及を恐れたSRB当局によってスケープゴートにされ「どっかにやられた(消された、とか、どっかに拘禁されている)」んじゃないか、とかいうコワイ噂が流れているようです(もちろん大手メディアにはそんな話はのっていませんが)。まぁ、中国ではよく人がいなくなったりしますから、あり得る話じゃないかという気もします。真相は闇の中ですが。
空売りが行われた時期は正確には分かりませんが、おそらく3,300ドル/トン以下でなされたもので、現在の価格である約4,200ドル/トンを考えると、中国の損害は2億ドルに達する可能性があります。空売りポジションをカバーするために中国が20万トンの調達を行うとか、中国当局はあくまで個人の責任にして取引を無視するんじゃないかとかいろんなウワサが流れて大騒ぎになっているワケです。いや、コワイコワイ・・・
FTの記事
Economistの記事
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2005/7/24 日曜日
人民元の「通貨バスケット」への移行はどうも極めて大きく取り扱われているようですが、実質切り上げ2.1%でしかも中心レートから上下0.3%の変動幅、しかも中心レートは「秘密の通貨バスケット」で人民銀行が決める、というシステムにしては全体的に少し騒ぎ過ぎじゃないかという気がします。「ドル基軸通貨が云々」なんて、ちょっと・・・ 実質はせいぜい「ドル圏」内通貨の小幅なリアラインメントといったところではないでしょうか?
「イエスかノーか」みたいに迫ったおかげで、もし無視されたら完全にメンツのつぶれたアメリカ人が大騒ぎするのは分かるんですが・・・
例えば大騒ぎされている米国債への影響ですが、以前にも書きましたが中国の米国債保有高は外貨準備高に比較して小さいものです。最近の米国財務省のデータをみても2,435億ドルと大きいことは大きいですが日本の6,857億ドルの比ではないですし、英国、ドイツ、ルクセンブルグの3国の米国債保有高の合計と同じくらいです(ところで日経など、中国が「こっそり」と米ドルでない通貨に変えていたからだなんて書いているところもありますが、主要マネーセンターでそのような動きは見られていません。少なくとも大きい額がドルから他の通貨に変えられていたということは無いはずです)。
また「通貨バスケット」ですが、もし中国が貿易高にある程度従ってバスケットの構成比を決めるという過激な仮定をおいたとしても、2004年1-8月の中国の貿易相手をみると
EU 15.5%、米国14.8%、日本14.8%、アジア太平洋諸国(香港、台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、フィリピン、その他ASEAN)34.9%、その他20%
ですが、「じゃあ米ドルは14.8%?」というのは大間違いで、日本、アジア太平洋諸国、その他の国も強弱の差はあれ対ドルで為替をある程度固定している国が多数ですから、ドルの比率が大して低下するわけでもないと考えられます。というわけで、米Barronsにのった記事の抄訳をのせておきます。
中国は人民元の対ドルのペッグを断ち切り、主要通貨のバスケットに対しペッグすることにより、米政府の執拗さに屈したようにみせかけた。この決定により人民元は2.1%切り上げられたが、実質的な影響はサイをノミが噛んだ程度だ。
中国政府の巧妙な動きは、米国で高まる保護貿易主義を鎮めることを目的としたものだが、さしあたりうまくいったようである。今回の決定に対するコンセンサスは「良い最初のステップ」というものである。アラン・グリーンスパンとジョン・スノーなどが賞賛を口にしただけではなく、対中強硬派の最先鋒で、中国に為替政策の変更を迫る報復的な法案(シューマー・グラハム法)の共同提案者であるチャック・シューマー上院議員でさえ、一時的にせよ態度を軟化させたようである。
これほど露骨にとるに足りない動きが、私たちの勇敢な政治家たちからこれほど迅速で、圧倒的に肯定的な反応を引き出したということは、面子を重んじるのが中国人の専売特許ではないことを示している。例えばシューマー上院議員が求めていたのは27.5%の切り上げであった(この不可思議な数字の根拠はまったく不明だが、2.1%より大きいのは確かである)。
ブリッジウォーター・アソシエーツは、中国が「好きなように何でも行うことが可能で、好きなように何とでも他国に説明できる」為替システムを考えついた、と鋭い観察をしている。中国が採用する通貨バスケットの構成は、時として倫理をわきまえない外国人投機家が為替操作などを行えないように秘密にされ、対ドルでの取引レンジは極めて狭く、取引日の前夜に人民銀行によって設定される。
今回の発表は、新たな為替システム自体の内容に関しては貧しいものだが、中国の経済システムの本質を示唆するものとしては注目に値する。例えば今回の発表で使われている「社会主義的市場システム」あるいは「管理変動相場制度」という言葉が示すのは、中国が第一義的に「統制」経済であるということである。どのような経済でも政治的な要素はあるが、中国ではすべてがそれに盲従している。これは中国経済を予測不能なほどもろいものにしている。例えば、失業の急増による社会不安を怖れて中国政府は経済の過熱を抑制できていないが、これは全世界で衝撃が感じられるほどのハード・ランディングの可能性を大きく高めるものである。
今回の変更がどのような意外な影響を及ぼすかを予想するには時期尚早だが、我々の巨大な貿易赤字も財政赤字も為替ではなく我々の役立たずの財政政策が原因であることから、今回の切り上げが貿易赤字にも財政赤字にも何の影響も与えないということは賭けても良い。そして大惨事でも起こらない限り米国の財政政策が変更されることはないだろう。
(ついでに言うと、上の「巨大な貿易赤字も財政赤字も為替ではなく我々の役立たずの財政政策が原因」というのはクルーグマンなんかが言いそうですが、少し違うような気もします。どちらかというとバーナンキやマンキューなんかが言ってる「世界中の資本が米国に流入するため」という方が当たってるような気がします。)
2005/7/21 木曜日
先日8月の人民元切り上げの可能性のハナシを書いたところですが、8月を待つまでもなく人民銀行が人民元の実質的切り上げを発表、即日実施としたようです。
内容は先日書いた内容と大体同じで、対ドル切り上げ幅2.1%(1ドル=8.1100元)に相当する通貨バスケット制をベースとする管理変動相場制への移行となっており、変動幅は従来通り中心レートから上下0.3%と狭いものとなっています。
通貨バスケットは中心レートの決定に際してドルだけでなく他通貨も考慮するということです。この中心レートは毎日市場が開く日の前日夜に発表されるようですが、通貨バスケットの構成比やレートの決定方法などの内容はおそらくあまり明確にされることはないでしょう。
またマレーシアも即時に管理変動相場への移行を発表していますが、「ブレトン・ウッズ2」で多かれ少なかれ対ドルにペッグされているとみられる通貨はつられ高になりそうですね(円も含め)。