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January 06, 2006

マンキュー先生の新年7つの誓い

Mankiw-100ブッシュ政権のCEAの委員長なんかになったために、右からも左からもズタズタにされて学校に戻ったマンキュー先生ですが、1月3日のWSJに「Repeat After Me(私の後について繰り返してね)」というなかなか面白い文章を書いています。

これは新年に向けての7つの誓いの文章なんですが、別にマンキュー先生自身の誓いではなく、忙しくて考える時間のない政治家の代わりに7つの誓いを作ってあげた、という体裁になっています。そこで「後について繰り返してね」となるワケです。このうちのいくつかは日本の政治家にも使えそうですけど「Repeat After Mankiw」する人はほとんどいないでしょうねぇ(日米とも)。以下、さわりの部分を紹介・・・

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December 11, 2005

オーマン先生とシェリング先生のレクチャーがオンラインに

今年のノーベル経済学賞はゲーム理論のロバート・オーマン先生とトーマス・シェリング先生でしたが、お二人のノーベルレクチャーがオンラインで視聴できるようになっています。ちなみに、フォーマットはリアル・オーディオです。

ところで、最近スタンフォードなど、人気教授のレクチャーや講演をオンラインで配信するところが増えてますが、こういうのってなかなか便利ですね。実際に直接議論するのには及びませんが、文字では伝わらない部分もやはり結構多いですから。

ロバート・オーマン:War and Peace
トーマス・シェリング:An Astonishing Sixty Years

Aumann LectureSchelling Lecture

November 26, 2005

14年間、年間平均リターン33%以上のヘッジファンド?

この間New York Timesをぺらぺら見ていたら、14年間にわたって平均年率33%以上のリターン!! (同時期のS&Pのリターンは年率約11%)を上げているヘッジファンド(Medallion)の話が出ていました。

運営している会社(ルネサンス・テクノロジーズ)の社長はジェームズ・サイモンズ(James Simons)で、数学をちょっとかじった人ならピンとくると思いますが、その昔多様体の研究(だったと思う)で米数学会のヴェブレン賞(数学界でも相当ステータスの高い賞の1つです)をとった元大数学者です。

投資の世界でも、その筋の人にはそこそこ知られていたものの(2004年のヘッジファンド・マネジャー年収ランキングで2位だったような気がします)、バフェットなどのようには一般には良く知られた名前ではなかったのですが、今度のNYTの記事で相当有名になったのではないでしょうか。NYTの論調はこの統計とコンピュータを駆使したファンドに感銘を受けた感じで、サイモンズ先生の「特定の価格パターンはランダムではなく、結果を予見し得る」という言葉を引用しています。

確かに、14年間にわたって年率33%というのは並み大抵ではないですが、ファンドの使用している実際の戦略の詳細の吟味なしに「大学者+コンピュータ+数学+高リターン=すごい(に違いない)」という超おめでたい論調を見てすぐに思い出したのはノーベル賞学者によるヘッジファンドLTCMでした。実際にすごいファンドである可能性ももちろんありますが、こういう論調はファンドの潜在的リスクを無視しているという面で、極めて危険です。

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November 22, 2005

米国のインフレ論議:Barronsでも・・・

米国では、金利を引き上げ続ける連銀に対して、「インフレなんか大した水準でもないのに連中は一体何を考えてるのか」という批判がかなり強いですが(特に金融、不動産、カジノ、独立系電力などの「高レバレッジ」業界ではそうですが)、逆に「インフレは実質的には既に相当の水準に達しており、連銀はまたしても完全に出遅れている」という批判もこれまた金融界を中心にして結構あります。

そんな中で今週はWSJ発行の株屋さん御用達雑誌であるBarrons誌が売り物のコラムの中でインフレに対しかなり強い調子で警告しており、まわりではちょっとした話題になっていました。以下ちょっと紹介・・・

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November 16, 2005

バーナンキ次期議長、上院銀行委員会で証言

連銀次期議長に指名されているバーナンキCEA委員長は、上院銀行委員会の指名承認公聴会で証言しましたが、注目の下りはやはりインフレーション・ターゲティングに関する部分ではなかったでしょうか。その部分の簡単な訳のみ以下に示します(証言の全文はこちら)。

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量的緩和解除にからむ政府要人発言

量的緩和解除に関して、最近与党・政府要人の発言が相次いでいるようですが、内容の是非は別として、こういうのって出るたびに「あーぁ」という感じになります。なんか囃してる向きもあるようですが、何となく世界に向かって「日本はやっぱり田舎の後進国」って拡声器で言ってるみたいで恥ずかしい感じもあるのですけどね。まぁ言ってる方たちには別にカンケーないんでしょうが。中川氏は自民党の議員なんで別にこういうのはいくら言っても良いと思うんですが、小泉首相、安倍官房長官あたりは「慎重に対処されると思います」とか「日銀の決めることですから」くらいで良いんじゃないでしょうか。

大体、量的緩和は過去においては金融システム不安を抑えたり、現在では政府からすれば実質的な国債受け入れ水準が上がる面では恩恵があるんでしょうけど、実際にデフレに何らかの影響を与えてるんでしょうか。ハイパワード・マネーだけ増やしても、マネーサプライの主要コンポーネントであるM2, M3が増えてなければ「カンケー無い」んじゃないかと思いますが・・・

 
マネー・サプライ(前年比)
 
Narrow (M1)
Broad (M2/M3)
英国
+5.2%
+11.2%
米国
+0.3%
+6.6%
ユーロ圏
+11.2%
+8.5%
日本
+5.4%
+2.0%

November 14, 2005

ベビーブーマーの引退が米国に及ぼす影響

米国のベビー・ブーマーも日本の団塊と似たところがあって、数は多いし、エネルギーが有り余ってて、やたら突撃するくせに変わり身は驚くほど早いという愛すべき人たちなんですが(わーごめん)、この人たちが今後米国の政策に与える影響についてメリルのDavid Rosenbergが話してるのをちょっと前に聞いて、少し面白かったので忘れる前に書いときます(ちょっと記憶があいまいで細部は間違ってるかもしれません)。もっとも私は個人的にはセルサイドの人たちの言うことはあまり聞かないように心がけてはいるのですが、Rosenbergはそこそこ人気があるだけにおハナシは上手でした。

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November 02, 2005

FRB利上げ、ECBもおそらく?

FRBが予想通り25bpの利上げを行いました。依然としてFRBは現在のスタンスを「monetary policy accommodation」(まぁ、緩和的政策とでも言うんでしょうか)とみており、今後大きな変化がない限り、今後も利上げを続けるとみられます。まわりのお金アニマルはまたまた怒ることでしょう。まぁ、エネルギー価格のスピルオーバーなどでインフレが顕著になってからではよりドラスティックな利上げが必要になるというリクツも(完全に)根拠がないとは言いきれませんが。

他の地域では、デフレの輸出地帯と言われていたアジアも最近設備稼働率がかなり高くなっており、エネルギー価格のスピルオーバーも相まって、タイ、インドネシア、フィリピン、台湾、インド、韓国などが相次いで利上げに動いています(単純に対ドル安定のための対米追随ってことも大きいかも)。

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October 28, 2005

グリーンスパン退任までは利上げ継続の公算

次期連銀議長にバーナンキCEA委員長が指名されて、まわりのアメちゃんの株屋さんだとかファンマネの皆さんは相当というか天井が飛んじゃうんじゃないかというくらい大喜びしてました。

この皆さん方の本音をデフォルメして書くと、今の連銀の連中は常軌を逸したタカ派で、AGとかコーンなんてのはとんでもない(時代遅れの)フィリップス・カーバーやデマンド・サイダーで、連銀が住宅バブルや、経済成長率やら失業率なんかに注意を払ったり口をはさんだりするのは職権濫用の大間違いで、連銀は黙って商品価格や金融指標のハードデータだけに集中して、国内物価の安定だけ考えとけ、となります(まぁ、完全雇用は連銀の明示的な責務の1つなんで、職権濫用は定義上間違っていますが)。

特に最近ハリケーンが来ても、コアCPI、コアPCE、コアPPIのハードデータに大して動きがなくても、賃金上昇率が低下しても、おなじみの分かったような分からないような声明を出して利上げを続ける連銀には皆さんことにご立腹のようで、呪文のように「バーナンキ、バーナンキ」と唱えていたわけです。これはブッシュのバーナンキ指名直後の株式市場の反応にも良く現れていますね。

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October 18, 2005

日本の公的債務は大した事ない(かも??)

日本の公的債務はGDPの160%とか、770兆とか780兆とか、まぁとんでもない額になっています。底が抜けるととんでもない事になるとゆーので、誰の背中も凍り付き何も言えなくなる額ではあります。財務省はバランスシートの試案を出していますが、公的な資産などは実際には売れないものが多いので、実際の債務超過額は発表されている241兆ってなもんではないんでしょうね。

で、対策は第1に歳出削減、第2、第3が無くて、第4に増税、第5、第6がなくて、第7にインフレなんて話なんですが、日本の国民はこの数字にあまりビビって拙速になる必要はなく、理性的に自分たちに降りかかる負担を考慮しながら債務圧縮のオプションをゆっくり考えるくらいの余裕はあるという論文を最近ちょっと見つけました。財務省の脅しにあまりに敏感に反応する必要はひょっとしたらないかも?

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October 13, 2005

日銀量的緩和解除は2006年度にかけて?

日銀の福井総裁が量的緩和解除の時期に関して「2006年度にかけて可能性が高まる」と述べたそうです。慎重に観測気球を上げながら現在の政策フレームワークからの出口をはかっているようです。

先物市場も、来年の10月までにオーバーナイト金利が大体30-35ベーシスポイントになると織り込んでおり、用意は着々という感じもちょっとだけありますが、量的緩和の解除は日銀による事実上の国債引受の額の低下となる可能性が高いですから、政治家(とモルヒネ中毒者のみなさん)がどれだけやかましくなるかという点が少し不透明要因といえます。

量的緩和の主なメリットは日本の金融システムに対する信任のメルトダウンを防ぐという意味合いが最も大きかったと個人的には考えていますので、金融システム不安も一段落した今、あまり拙速にする必要はないとは思いますが、出口に着実に向かう時期に来ていると思います。まぁ、このままある程度の原油高が続けばCPIには強力な下支えになりますから、「表向き」のリクツもつけやすくなってますしね。

October 11, 2005

ノーベル経済学賞はロバート・オーマンとトーマス・シェリング

今年のノーベル経済学賞は「協力(Co-operation)と対立(Conflict)の理論的な理解に対する貢献で」ゲーム理論のロバート・オーマン(Robert Aumann)とトーマス・シェリング(Thomas Schelling)に決定したようです

トーマス・シェリングは1960年の「Strategy of Conflict」で自分自身のオプションを限定することにより、相手方にとってこちらがどう対応するかという想定がしやすくなり、相互の協調的な行動が達成しやすくなることを示しています。まぁ「なーんだ」と思われるかもしれませんが、それ以前には政治的・軍事的戦略などでも相手側がこちらの取るオプションをどう受け取るかということなど体系的に考えずにアクションを取っていたワケですから、こういう類いの研究が無ければひょっとすると冷戦なんかも恐ろしい結果になっていたかもしれませんね。

ロバート・オーマンは対立と協調に関する多くの問題を定式化した大家で、ベイジアン・ゲームでのCorrelated Equilibriumの定義や、それより少し以前には協調型ゲームの解のコンセプトや、プレーヤー数無限のゲーム、無限に繰り返されるゲームの解の初期的な記述をしています。

ちなみに繰り返しゲームに関しては、当事者間交渉や多国間貿易交渉の有益さを示しているとも言われており、受賞理由の1つでもあるようです。つまり、一回しか顔を合わさないようなゲームでは参加者は最大限に合理的な(すなわち自分の取り分を最大化する)戦略をとりますが、無限に顔を合わせざるを得ない状況では、協調的行動を取るようになるということを定式化したわけです。

ゲーム理論関連では、これまでにも1994年のジョン・ナッシュ、J.C.ハーサニ、R.ゼルテン、1996年のウィリアム・ヴィックリーとジェイムズ・マーリースなどがノーベル賞を受賞していますが、両氏はそれに続く受賞となります。

なお、ロバート・オーマンには有名な教科書「Lectures on Game Theory 」(訳書:「ゲーム論の基礎」)があります。

October 10, 2005

FRB次期議長のウワサ

ブッシュ大統領が「お仲間」のハリエット・マイヤーズを最高裁判事に指名したことから、「ブッシュは連銀議長にもお仲間を指名するんじゃないか」という恐れがささやかれており、NYTなどはジョン・スノーの名前まで出していますが(まさかね、、、いくらなんでも)、最近どうもメールやいろんなところで、そこはかとなく有力候補かもしれないというウワサを聞くのがドナルド・コーン(Donald L. Kohn)連銀理事です。まぁ、この件では根も葉もない(かどうかも判別不能の)噂が良く乱れ飛んでいるので、そのうちの1つかもしれませんが、コーンならば良いと思っている人が結構多いことを表しているような気もします。

もともと、ベン・バーナンキ、マーチン・フェルドスタイン、グレン・ハバードあたりが有力と言われており、ドナルド・コーンは大体4番手か5番手と言われていますが、Bloombergにもコーンの話が載っていたりして(誰が議長になってもコーンが大きい影響を及ぼすだろう、という内容でですが)、偶然なのかもしれませんが、何かウワサのもとがあるのかもしれません。

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Nestleがフェア・トレード

FTの記事によると、とうとうネスレが「フェア・トレード」だそうです

こんなこと書くと間違いなく大きな非難を浴びるのは分かってるんですが(それで、ケーザイ関連の人もほとんど口をつぐんでいますが)、「フェア・トレード」にからむ話や、グローバル企業による途上国における現地従業員の待遇改善などには、(一部の本当に許しがたい例を除いて)少し疑念を持たざるを得ません。

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October 02, 2005

米国の双子の赤字

国際経済メールマガジン9/30配信分

現時点で、世界経済で一番大きい問題は何かとケーザイ関連の人に尋ねると、米国の双子の赤字ってのは、おそらくベスト3には入るんじゃないかと思いますが、最近の米国のトレンド(?)でこれもケーザイというよりはすごく政治的な話題になっています。つまりブッシュがキライかどうかで、そうそうたる専門家の見方もまさに180度違うというワケで、ケーザイガクの人ってやっぱりいい加減?

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August 12, 2005

もう1つの高騰:排出権取引

原油が高騰していますが、昔ちょっと話題になった100ドルって話もまた復活するかもしれませんね。ところで、それに負けないくらい印象的な価格上昇を見せているのが二酸化炭素の排出権です。下のグラフは欧州排出権取引スキーム(EU ETS)での排出権価格ですが、今年の初めの1トン当たり7ユーロ前後から6月には25ユーロを超える勢いでした(現時点ではかなり反落していますが)。

Co2Price

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July 24, 2005

人民元切り上げ(その2)

人民元の「通貨バスケット」への移行はどうも極めて大きく取り扱われているようですが、実質切り上げ2.1%でしかも中心レートから上下0.3%の変動幅、しかも中心レートは「秘密の通貨バスケット」で人民銀行が決める、というシステムにしては全体的に少し騒ぎ過ぎじゃないかという気がします。「ドル基軸通貨が云々」なんて、ちょっと・・・ 実質はせいぜい「ドル圏」内通貨の小幅なリアラインメントといったところではないでしょうか?

「イエスかノーか」みたいに迫ったおかげで、もし無視されたら完全にメンツのつぶれたアメリカ人が大騒ぎするのは分かるんですが・・・

例えば大騒ぎされている米国債への影響ですが、以前にも書きましたが中国の米国債保有高は外貨準備高に比較して小さいものです。最近の米国財務省のデータをみても2,435億ドルと大きいことは大きいですが日本の6,857億ドルの比ではないですし、英国、ドイツ、ルクセンブルグの3国の米国債保有高の合計と同じくらいです(ところで日経など、中国が「こっそり」と米ドルでない通貨に変えていたからだなんて書いているところもありますが、主要マネーセンターでそのような動きは見られていません。少なくとも大きい額がドルから他の通貨に変えられていたということは無いはずです)。

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July 21, 2005

人民元切り上げ

先日8月の人民元切り上げの可能性のハナシを書いたところですが、8月を待つまでもなく人民銀行が人民元の実質的切り上げを発表、即日実施としたようです

内容は先日書いた内容と大体同じで、対ドル切り上げ幅2.1%(1ドル=8.1100元)に相当する通貨バスケット制をベースとする管理変動相場制への移行となっており、変動幅は従来通り中心レートから上下0.3%と狭いものとなっています。

通貨バスケットは中心レートの決定に際してドルだけでなく他通貨も考慮するということです。この中心レートは毎日市場が開く日の前日夜に発表されるようですが、通貨バスケットの構成比やレートの決定方法などの内容はおそらくあまり明確にされることはないでしょう。

またマレーシアも即時に管理変動相場への移行を発表していますが、「ブレトン・ウッズ2」で多かれ少なかれ対ドルにペッグされているとみられる通貨はつられ高になりそうですね(円も含め)。

July 19, 2005

8月の人民元切り上げはあるか?

6月末の中国の外貨準備は7,110億ドルというトンでもない額になっているようですが、これは2004年12月末段階から1,010億ドルの増加です。ちなみに日本の外貨準備は6月末で8,430億ドルですが、過去12カ月で1,070億ドルの増加ですから、中国の外貨準備は日本のほぼ2倍のペースで増加していることになります。

上の数字からみると中国の外貨準備は1カ月当たりで160-170億ドル程度増えてる勘定になりますが、この外貨準備の数字には国有銀行につぎこんだ150億ドルやユーロ安による目減りは含まれていないので、実質的にはもっと速いペースで増えていることになります。

で、中国の貿易黒字は過去、大低下半期に加速していますから、それを考慮に入れると今年中にあと1,200億ドルや1,400億ドル位増えるのはわけないと思われます(これは低すぎるかもしれません)。一方で米国は巨大な経常赤字をかかえており、この歴史上まれにみるスーパー赤字とスーパー黒字の組み合わせはブレトン・ウッズ2の安定性に暗い影を投げています。

そこで、人民元切り上げの話になるんですが、Financial Timesは、米国が8月の中国の人民元切り上げを予想していると報じています。さて、こんなに短期的に人民元の切り上げはあるんでしょうか。

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July 13, 2005

アフリカに今必要なもの・・・

Live8はいろいろなビデオやクリップを見たんですが、それなりに良かったような気もしますし、みんなの関心や注意を喚起するという面では成功だったんだろうと思うんですが、少し暗澹とした感覚も残っています。それはLive8のサイトを見ていろいろ読んでしまったからもあります。

私は開発経済学に関しても援助の問題に関してもほとんどトーシロに毛が生えたか生えないかという程度なんで、志の高いイベントに文句言えるような身分ではないんですが、「Live8よお前もか」みたいなそこはかとない脱力感をわずかに感じたのは確かです・・・

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July 12, 2005

(いまさらですが)米国長短金利の謎

今週のBarronsをパラパラ見てると、ここ数カ月いろんなとこで定番になっている米国長短金利の「謎」に関する記事がまた載っていたんですが、今回は長期債券強気3人組 (Van Hoisington、Gary Shilling、David Rosenberg)に焦点を当てていてちょっと面白かったです。

米国金利の謎っていうのは、連銀が短期金利(FFレート)を引上げているにもかかわらず、長期金利があんまり上がっていないってことで、連銀の短期金利引上げが始まってからもう1年にもなるのに長期金利はどかっと低め安定したままってやつです。連銀議長のグリーンスパンも「Conundrum(謎)」なんていってますね。

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July 05, 2005

いろんなリスクをヘッジする?

Q1. ずっと住んでる家の価格が暴落する可能性があります。どうしたら良いですか?
Q2. あなたはプログラマーですが、インドへのアウトソーシングで給料が激減しそうです。どうしますか?

なんていうのは、人生で良くある(ファイナンシャル)リスクの一例ですが、結構ヘッジできないリスクの一例でもあります。例えば、1の方の答えとして「さっさと売っぱらう」とか2.の方で「別の勉強して転職する」なんてのはあんまりヘッジにはなっていません(おっと、念のために言っておくと、これはあくまで例で、アウトソーシングで先進国における給与が減少しているというようなことを示すデータを見たことはありません)。これが例えば、

Q3. 持ってる株が暴落しそうです。どうしたら良いですか?

なんかだったら、「空売りする」ってのもヘッジの有効な方法としてあるんですが。

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June 27, 2005

原油:CNOOCのUnocal買収

原油価格が高騰している中で、CNOOC(中国海洋石油公司)の米国の石油会社Unocalに対する買収提案が米国内で議論を呼んでいるようです。米国の政治家は相変わらずちょっと騒ぎ過ぎなんですが(Unocalが権益を持つ石油/天然ガスの大半はアジアにあり、米国に対する実質的な影響は極めて少ないようです)、ただこれには懸念を煽っても仕方がない部分も(かなり)あります。

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June 26, 2005

海賊版CD売上は微増、正規ダウンロードは大幅に上昇

以前取り上げたこともある、IFPIの年次海賊版報告書(annual commercial piracy report)の最新版が出ています。世界で販売されているCDの3分の1が海賊版というのは変わっていませんが、海賊版の売上伸び率は前年比2%増でここ5年間で最低としています。

以下ちょっとニュース・リリースから何点かピックアップすると、、、

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June 20, 2005

Barronsで恒例のラウンドテーブル

Barronsで恒例のラウンドテーブルをやってました。まぁ金融商品売ったり買ったり(だけ)の人たちの話はあんまり面白くないこともあったりするんですが、ただ、最近の動向についてここらへんの人が何を感じているのか、興味をひかれることもあります。ちょっと例を出すと、

年初にドルの反発を予測していたフェリックス・ズラウフは、米国のマネタリー・ベースと各国中銀のドル保有の合計でみた、「グローバル・ベース・マネー」の伸びの急低下を指摘して、夏以降の株式市場の下落を予想。ふむ、「グローバル・ベース・マネー」の伸びの急低下は、現在の世界的規模の資産バブル(に近いもの)に影響を与える可能性がありますね。

あと、ズラウフと、「トゥモローズゴールド」のマーク・ファーバーの両氏はとうもろこし、大豆、小麦などの長期的な上昇を言ってますね。中国の消費、それと今後の温暖化による気象の極端化で農作物の需給バランスが締まるってことみたいです。天候だけはちょっとわからんですが、食物価格上昇をあてこんだ、ここ数年の投資家やファンドの農業シフト(南アの農牧地を買いあさってるところもあるみたいですが)は続いているようですね。

そして、マリオ・ガベリは「全世界の産業用、商用、民生用などすべての用途の水」に注目だそうで、水処理関連を探してるみたいなんですが、農作物に水となると、エネルギー価格の上昇とも合わせ、どうも人間の生活自体を支えるのが大変になってきてるとも言えますね。あとファーバーの金・銀のおすすめなんかもあわせると何となく剣呑な香りもしますが。

May 29, 2005

イマイチなヘッジファンドの成績

ヘッジファンドの不振は長らく言われているので新しいことでもないですが、第一四半期もCSFB/Tremontのヘッジファンド・インデックスはマイナス0.11%、ヘッジファンド・リサーチのヘッジファンド・インデックスはマイナス0.7%とイマイチだったことや、GMの株式・債券をめぐって一部のヘッジファンドが大損失を被った噂が流れたりといったこともあって、今月はまたいろんなところで騒がれています。

もともと今のヘッジファンドの人気は、S&P500がマイナス9%からマイナス22%をつけた2000年から2002年の3年間の超弱気相場で、ヘッジファンド・インデックス(CSFB/Tremont)が3%から5%近くの上昇をみせて、「市場の状態に関係なく絶対的なリターンを上げれる」ことをみせたことが原因にあるのですが、長期的にみると、もともとそれほど「スーパー」というわけではありません。

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May 23, 2005

グリーンスパン:米国住宅市場はバブルかバブルでないか・・・

FRBのグリーンスパン議長は、先週金曜日のニューヨークでのEconomic Clubでの講演(これは原油に関するものだった)の後で会場の質問に答えていた。

日本でもっぱら注目されていたのは元の切り上げに関する発言だったけど、ひょっとするとこれ以上に注目されたのが米国の住宅市場に関する発言だった。日本のメディアではあんまり取り上げられなかったので(というより、内容がいかにもグリーンスパンらしくて可笑しいので)、ここでちょっと取り上げてみよう。

米国の住宅市場がバブルかどうか、という質問に対して・・・

"There are a few things that suggest, at a minimum, there's a little froth in this market. While we don't perceive that there is a national bubble, it's hard not to see that there are a lot of local bubbles.'' (下線筆者)

いや、相変わらず分かりやすい(笑)ですなぁ。frothってのは「泡」ですから意味的にはバブルなんですが、まぁバブルじゃないけど少し「泡っぽい」ってことでしょうか。「全国的バブル」じゃないけど「局地的なバブルが一杯ある」と。ふむふむ。

"Without calling the overall national issue a bubble, it's pretty clear that it's an unsustainable underlying pattern. What we see are a number of forces, which are, as far as I can judge, not infinitely projectable."

えーと、まとめるとですね、バブルじゃないけど、持続不可能。バブルじゃなくて、泡。バブルじゃなくて、多くの局地的バブル。ということだそうです・・・・ そういえば、住宅価格に関しては4月22日にドナルド・コーン連銀理事もやや強い調子で言及していましたね。

金利政策とのからみで考えると、グリーンスパン自身は資産価格の(異常かもしれない)上昇に対して、金利引き上げで対応すべきとはあまり考えていないタイプのように見えるので(逆に資産価格の破滅的な下落があったときに、金融の大幅な緩和で対応するべきというスタンスにみえます)、住宅価格から(だけで)は金利政策に大きな影響はないのではないかと思います。

上記ニュースのソース:

Bloomberg
CNN

May 18, 2005

ROCKONOMICS : ロックの経済学

音楽データのデジタル化やらダウンロード販売で、音楽インダストリーをとりまく環境はすこしずつ変化しつつあるけど、これに目を付けて群がってきているのはMP3メーカーだけじゃない。

音楽インダストリー内での著作権をめぐる収入の分配や、契約形態の複雑怪奇さが新技術との衝突で注目を集めたり、また一つのインダストリーが非連続的な新技術により変化するさまが関心を呼んだりで、ケーザイ学者の方々も音楽インダストリーに群がってきている。まぁ、これはアメリカとかイギリスのハナシなんだけどね。日本だと「真っ当な」ガクシャはあまりこの手の研究はしないんじゃないかしらん?

この動きの中でまた新しい論文を見つけたんだけど、そのタイトルもずばり「ROCKONOMICS」だ。書いたのはプリンストン大学の経済学・公共政策教授で、労働経済に関しては御大のALAN KRUEGER先生とMARIE CONNOLLYだ。ALAN KRUEGERセンセーは10年ほど前に米国労働省のチーフ・エコノミストも務めていたガクシャだ。

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May 17, 2005

賭博サイトにおけるFRB議長後継者の賭け率

Greenspan
FRB議長アラン・グリーンスパンがとうとう退任の意向を表明した。もともと来年の1月がメドとみられていただけに、驚きはまったくないんだけど、これで後任者の憶測もよりおおっぴらに行われることになるんでしょうね(といっても、まぁ、もう十分おおっぴらに行われていますが)。

で、英国人は競馬、将来の株価、相撲の優勝者と何でも賭け事のネタにしてしまうけど、もちろんFRB議長の後任者も賭けの対象になっている。そこでちょっと、インターネット・ギャンブルのサイトでの賭け率をチェックしてみた。

BetRoyal.com

ベン・バーナンキ 33-20
グレン・ハバード 2-1
マーチン・フェルドスタイン 4-1
ジョン・テイラー 7-1
ドナルド・コーン 7-1

PaddyPower.com

ベン・バーナンキ 13-8
グレン・ハバード 2-1
マーチン・フェルドスタイン 4-1
ジョン・テイラー 13-2
ドナルド・コーン 15-2

ということで、どちらも本命がベン・バーナンキ、大穴がドナルド・コーンとなっていて、衆目は一致しているようです。

ところで、最近経済学では大人数による賭けを使った予想の研究が結構行われていて、選挙結果や経済、株価の予想まで多くの人が(賭場サイトなどのように)お金を賭けて予想した結果は割と当たるということが言われてますが(株式市場なんかはお金賭けた事業パフォーマンス予想そのものですから、同じようなやり方で予想した結果が当たるのは当然という気もしますが・・・)、これはどうでしょうか、、、(まぁ、どう見ても順当な予想ですが)

May 12, 2005

イスラム教と経済成長

世間ではイスラムが経済成長を阻害しているとか、それでイスラム圏の貧しさがテロの温床となっているとかという「お話」を良く見かけるんだけど、これを怪しいと感じている人も多いんじゃないかしらん(でもないか)?

もともとマホメットは商人だったし、現在はともあれ、昔のイスラム圏は西欧に比較して商売に関しても極めてオープンで、経済的に隆盛を極めていた歴史もある。現在でも、マレーシアなどはそこそこ高い成長率を保っているという例もある。

それで、最近イスラム教と経済成長にかんする実証研究の論文(Religion, Culture, and Economic Performance, Marcus Noland, IIE)をちょっと見つけたんだけど、やはり想像通り、イスラム教に対する信仰が経済成長に対してマイナスに働くという仮説は統計的に棄却されている。それどころか、複数国間の研究でも、単一国内の研究でも、イスラム教徒の人口に占める割合と成長率の間には統計的に有意な正の相関が認められている(つまり、イスラム教徒の比率が多いほど成長率が高いという可能性がある)。

計量経済研究の結果はかなり精密な分析が必要とされるので、この研究だけで決定的な結論が出るわけではもちろん無いんだけど、少なくともイスラム->貧困->テロという単純なオハナシは成立しないみたい。

紹介した論文はここでみれます。

May 03, 2005

ジョン・ベイツ・クラーク・メダルにみる米国の元気さ

米国の40才以下の優れた経済学者に与えられるジョン・ベイツ・クラーク・メダルは、今年はMITのDaron Acemogluに決まりました。

修士、博士を取ったのはLSEで、現在はMITの教授です。論文は一部ここでみることができます

このあいだ受賞したSteven D. Levitt (Freakonomicsの著者です)もそうだったのですが、研究内容をみると、米国の若い学者が「楽しんで(そんなに気楽ではないと思いますが)」柔軟(好き放題)に研究しているのがみてとれます。

例えば、ある論文では100年前の植民地では兵士、司祭、船乗りの死亡率が入植者の数に影響を与え、その結果として植民地にどのような制度ができるかに影響を与え、それがそれらの国々の現在の経済・社会的な側面に大きな影響を与えているとかいうことを研究していますし、他の論文では民主主義と経済パフォーマンスの因果関係に異論を唱えています。

まぁ、こんな連中がぞろぞろいて、その好き放題な研究を認める年寄り連中もいるという点からみても、米国の元気さはやはりあなどれません。

ところで、Freakonomicsもなかなか面白かったです。

April 15, 2005

米国ジャンク債市場にバブル崩壊の危機?

米国でも日本でも、超ゆるゆるの金融政策が長年続いているけど(最近FRBは小刻みに金利を連続してあげてきているけど、ニュートラルよりはまだまだ緩いと思います)、金融が不自然に緩いと必ず信用が膨張してバブルっぽくなってくる。日本では国債かもしれないけど、米国では住宅、不動産、そして一番コワイのがジャンク債市場だろう。

最近GMの不調やインフレ懸念なんかで米国のジャンク債市場が揺らいでいるけど(GM自体はまだジャンクじゃないですけど)、こんなもんじゃ済まないと思っている専門家も多いみたい。ジャンク債を買うだけじゃなく、ジャンク債を買って、信用保証の付いたデリバティブをショートするとかありとあらゆる取引も蔓延していて、一旦市場がはじけるとどうなるか分からない。

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March 27, 2005

Bush政権の金庫番はガラガラ

ブッシュ政権の2期目は社会保障、年金、税制改革とかなり重い課題が山積みとなっていますが、どうも手足となる財務省はガタガタの状態のようで、The EconomistNew York Timesなど懸念を表す向きも増えています。で、ちょっとみてみると、

財務長官:ジョン・スノー
副長官:空席
次官:(国際関連)ティム・アダムス(現在指名中、現職ジョン・テイラーは4月22日付で辞任)
次官:(国内財務)空席
次官:(Enforcement)スチュアート・リービー

長くなるのでこの下は省きますが、次官補クラスまでみても3分の1程度が空席という恐ろしい状態です。しかもジョン・スノーを含め経済に関しては大半が軽量級といっても良い布陣になっています。The Economistにいわせれば「経済学者よりビジネスマンを重用している表れ」か「政策のセールスマンさえ確保すれば後は上手くいくと思っている」のではないか、となりますが、さすがにそこまで単純なんでしょうか(可能性がないとは言えませんが)?

米国のガクシャの中には「給料が低いわりに、権力がないから」なり手がないなんて言ってる人もいますし、ブッシュ大統領のアドバイザーになったばっかりにガクシャ連中から「総スカン」を食ったマンキュー(マンキウ)先生の例もあってなり手がないとも思えますし、能力よりも忠誠度が問われるという印象のある政権では能力のある人がよってこないとも考えられます。

どちらにしても米ドルがフラフラしているこのご時世にちょっと危なっかしいですね。アルゼンチン危機やアジア通貨危機、あるいはLTCM危機みたいなことがあれば結局アラン・グリーンスパン頼りってことになるんでしょうか。彼の任期も残りわずかですが、、

March 11, 2005

日本人はアメ車か?

(国際経済に強くなろう第41号)3月10日配布分:「先進国で広がる格差」より。

第2次大戦終了から1980年代までが先進国間の所得ギャップが縮小する時代だったとすると、1990年代以降は先進国間の所得ギャップが開いていっている時代だ。これはとうとうOECDのリサーチのトピックとなっているが、残念なことに日本はちょっと遅れ気味のようね。

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March 07, 2005

ブッシュに「やさしい」グリーンスパンに非難集中

Greenspan
グリーンスパン連銀議長が先週ブッシュの減税、社会保障改革に控えめながらもプラスとなる議会証言をしたことから、もともとグリーンスパンがブッシュの減税に「お墨付き」を与え続けてきた事を快く思っていなかった民主党の連中の怒りがとうとう爆発したようだ。(記事:ヘラルド・トリビューンFinancial Timesなど)

グリーンスパンはクリントン政権時代も辣腕を振るって民主党政権下の好景気の立役者となり、「不偏不党」の有能な金融テクノクラートというイメージがあったためか、可愛さ余って憎さ100倍、民主党のみなさん余計に頭に来ているようだ。民主党系のケーザイ学者連中も「裏切られた」なんてそろって怒りを表明している(例えばクルーグマン先生)。民主党系メディアも結構多いのでそこそこの騒ぎとなっている。

しかしねぇ、これはちょっとお門違いのような気もする。グリーンスパンが有能な金融テクノクラートだということは確かなんだろうけど、彼は「まっとうな社会では政府支出はGDPの5%以下であるべき」っていうような、長年のアイン・ランド(Ayn Rand)信奉者でガチガチの「保守主義者(経済学的な意味でね)」なんだから、民主党やケーザイ学者の方々がもともとありもしないグリーンスパンの「幻影」を勝手に愛していたという方が正しいような気がする。

「財政政策に金融当局が口をはさむな」ってのも分かるけど、あまりにインパクトの大きいものに関してはそんなに簡単じゃないかも(そういえば昔、速水日銀総裁も構造改革の加速を小泉に直訴してたね)。それに口をはさんだとしてもブッシュの政策の非難をしてればこんなにも騒がれなかったんだろうから、勝手にイメージが作り上げられるスターってのも辛いものがあるね。

October 14, 2004

ノーベル経済学賞はキドランドとプレスコット

ノーベル経済学賞はキドランドとプレスコット両氏に決まったようだ。彼らの2つの業績が主に認められたみたい。

1. 「一貫性」の問題:
つまり、嘘つき政府の政策はロクなことにならないということ。例えば彼らが示したのは、もし政府が長期的にインフレを抑える気も実力もないのに、いくら「インフレを抑える」と言っても消費者はインフレを予想した行動をとり、結局インフレが実現しちゃうっていうような例だ。これって「インフレ」を「デフレ」に置き換えたら、どこかの国みたい、、、、(いや、デフレもそろそろ弱まるかもしれませんけどね。)

2. 「景気循環」:
彼らは景気循環は多くの学者が考えるような好景気と不況のサイクルで起こるんじゃなくって、主に技術革新のペースの速さで起こると考えた。まぁ1930年代の大恐慌まで技術革新の速度の減速のせいにできるかって気もしますが、当時は大反対したガクシャたちも少なくとも彼らの理論の1部を取り入れたりしてる。この理論は証明なんてできないとは思いますけどね、面白いのは確かだと思う。直感的なアピールもあるしね。

May 09, 2004

米国雇用統計2カ月連続で予想を上回る

米国の雇用統計によると4月の雇用増加(非農業)は288,000となり、3月に続き予測を大きく上回った。おまけに3月度のデータも上方に修正され337,000となった。これで過去8ヶ月の雇用増加は100万の大台を超えたことになる。増加は主にプロフェッショナル・サービスだが、製造業での雇用が2000年の7月以来初めて増加するなど、増加は広範にわたっている。それにしたがって利上げ観測も強くなっており、ゴールドマン・サックスなどは年末まで利上げはないとしていた従来の予測から、年末までに1%のFFレートの利上げと予測を上方に修正しているが、ここらへんが大体市場の予想のようだ。

と、まあ利上げに関してはちょっとばかり市場の観測が先走っているような気がしなくもない(まあ1%上がっても歴史的に見ればまだまだかなり低いレベルと言えるけど)。経済が好調なのは確かだけど、雇用にしても、ここ数カ月の増加を入れても2000年末から考えれば230万の雇用が失われていることになるし、失業率5.7%は連銀の考える完全雇用のレベルでの失業率をかなり上回っている。雇用者対人口の比率も上向いていないし、おまけに先頃発表された第1四半期の生産性は非常に高く雇用にはプレッシャーをかけ続けるだろう。ってわけで米国経済のギャップが埋まったわけではない。

連銀は先週(雇用統計発表以前に)、利上げに「慎重な」アプローチを取る(以前は「忍耐する」だったから、利上げにはまた一歩近づいたわけだけど)としたけど、「慎重」以上になるには雇用データが引き続き好調であることと、インフレ率が予想以上のジャンプを見せるなどのことが必要じゃないかしらん。とゆーわけで、このままの状態だと、6-8月に+0.25%、後は状況次第ってとこ?

April 30, 2004

中国:一部銀行融資停止?で大騒ぎ

止まらない信用の拡大に業を煮やした中国当局が一部の銀行に新規融資の停止を求めたという報道が28日に流れて大騒ぎになった。実際には一部のメディアの張り切りすぎ(というより誤報に近いような気もするが)だったようだが、中国経済のスローダウンによる商品市場の低迷をおそれて商品価格の影響を受けやすいオーストラリアドルが売り込まれたり、中国経済に対する期待と不安の大きさをはからずもさらけ出すこととなった。

市場の騒ぎに驚いたのか中国の規制当局は即座に、5月の休みに入る前に融資の審査・実行を慌ててしないように指導しただけだと発表している。中国当局は最近の準備率引上げ、特定業種に対する融資を控えるようにとの通達などの引締め策がどれくらい効果をあげているか見極めようとしているところであり、休み前にみんな急いで融資案件を片付けようなどとされると、月次の融資残高のデータが歪んでしまうという背景があったようだ。

温家宝首相も「全てを切ることのできるナイフのような」政策はとらないと何度も強調しており、規制を行うにしてもマイルドな規制を積み重ねるという形になるだろう。もちろん手がつけられなくなった場合の手段は「全てを切ることのできるナイフのような」強力な規制あるいは金利の操作ということになるだろうが、急速な冷却あるいは通貨・資本市場の混乱は当局が一番怖れているはずだから、これは最後の手段ということになるのではないだろうか(金利はかなり規制されていて、預金金利、貸出金利などの金利は規制変更の一部としてある程度いじられる可能性はある)。

ところで情報が錯綜していて、どのような通達が実際になされ、なぜこのような報道になったのかが良くわからないが、少なくとも昨日夕方には中国当局は通達の内容に関してそれほど大騒ぎするものではないということを発表しているにもかかわらず、今朝の日経の朝刊などはそれには少しも触れずまだ「中国政府が一部銀行融資の停止に踏み切り云々」などという記事を載せているのはなぜだろう?今日は米国株安もあって日経平均は大きく下げているが、中国関係の報道による下落も大きかったような気がする。はっきり言ってこれは日本を代表する経済メディアとしては怠慢なんじゃない?それとも過熱してる中国関連株の熱を冷やそうっていう老婆心(陰謀?)だったりして。

April 23, 2004

アラン・グリーンスパン

アラン・グリーンスパンは今週火曜日、水曜日と議会で証言したが、内容はなかなか楽観的なものだった。連銀の関心の中心はインフレと雇用だが、インフレに関しては「デフレの危機は終わった」(火曜日)と現在の超低金利の主な理由となってきたデフレの危険性が遠のいたとの見方を示した。雇用に関してもやや明るい見通しを示した。

ただ、まだ経済には需給ギャップがあり、おまけに生産性の向上が続いており、インフレに関しても雇用に関しても簡単には上昇しないとの見方を付け加えるのを忘れなかった(つまりすぐには利上げを要求するレベルではないってこと)。

セントルイス地区連銀のBill Pooleや、ダラス地区連銀のBob McTeerといった「早期利上げ主戦派」からするとちょっと物足りないところだろうけど、アラン・グリーンスパンは1994年の利上げが引き起した大混乱を繰り返す気は毛頭無いだろう。つまり、早めに利上げを何度も警告しておいて、実際の利上げがあまり経済的にインパクトを与えないように細心の注意を払うだろう。とゆーことで今回の証言は「銃の安全装置を外しましたよ」というアナウンスってところだ。

1994年とは違って、今回は市場もそこそこ利上げを織り込んだ動きを示してきている。経済学者がよく使うやつにTerm StructureのExpectation Theoryってやつがある(これは統計学的なテストでは実証されていないーでもケーザイ学者はよく使う。うむ、、、単に他にツールが無いからかも、、、)。で、それで米国市場の利上げ期待をざっと見てみよう。現在(4月20日のデータ)のUS政府債券のTerm Structureは、

Maturity   Yield

3ヶ月    0.99%
6ヶ月    1.16%
2年     2.14%
3年     2.61%
5年     3.51%
10 年     4.45%
30 年     5.26%

上のデータから、市場は2004年8月に0.25%のFF Rate(Federal Fund Rate - 日本で言えば翌日物コール金利にあたるんでしょうか)の利上げ、2006年の春にはFF Rateは3%以上になり、2007年春にはFF Rateは4%以上になると期待しているとゆーこと(あてにならんExpectation Theoryによると)になる。ただ市場は今雇用データ等の動きに極めて敏感だから、この先どーなるかは「神のみぞ知る」だ。グリーンスパンも安全装置は外した(と解釈されるような物言いをした)けど、撃つとも撃たないとも言っていないでしょん。

March 25, 2004

信用膨張とバブル

国際経済メールマガジン3月25日配信分(第36号):

なぜ信用膨張はバブルを呼ぶのかという問題をウォートンのAllen先生とニューヨーク大のGale先生の理論をダシにして紹介した駄文です。基本的にはPrincipal-Agent問題の定式化といえます。

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March 17, 2004

アメリカのバブル懸念とアラン

アメリカで大規模なバブルが進行中という懸念が広がっている。それとともに金利をそろそろ上げないと、最後には強烈な調整になるという論調も目立ってきている(モルガン・スタンレーのStephen Roachとか、英国のThe Economistとか最近ではNew York Timesまで)。2000年以来、パブリックセクターと民間をあわせて借金は6.5兆ドル(!)増加しており、消費者は不動産の値上がり等を背景に借金まみれになりつつ消費(と投資)を続けている(昨年1年で家計の借金は9000億ドル増加している)。

アメリカ経済は1999-2000年のハイテクバブルの崩壊をそれほど傷を負わずに切り抜けたけど、これはもちろん大規模な財政出動と金融緩和によるものだ(連銀の連中は日本のバブル崩壊に関しては相当研究していた)。ただこれが結局、不動産などのバブルを呼び起こした、ってのが大方の主張だ。

では、連銀は早期に金利を上げるだろうか?その答えはたぶんノーだ。経済があるていどバブル化してるのはたぶん確かだけど、今までの発言を見る限りアラン・グリーンスパンは金利引き上げによるバブル抑止は適切な政策ではないと考えているフシがある。つまり、バブルが崩壊した後、大規模な流動性を市場に注入して崩壊のダメージを和らげるのが中央銀行の役割であって、中央銀行は資産価格の上昇に対して金利政策で対応すべきじゃないって事(ただいまや金融政策は相当ゆるんでるからバブルがつぶれたらどーすんのってゆー意見も多いけどね)。

で、これが妥当かどうかって事になると、意見がわかれるとこだ。米連銀でもBernankeとかは大昔から、最近では欧州のセントラルバンカーの多くも資産価格の異常な上昇に対しては中央銀行が早期に金利政策で対応すべし、という主張をしている。バブルが崩壊した時の経済的ダメージを考えれば、まぁ、一見まっとうなように見えるけど、これはお利口さんたちが考えるほど簡単なモンじゃない。

一般的に言えば、資産価格は経済のファンダメンタルがあがっても上昇するし、バブルでも上昇する。それに資産価格は株を見ても分かるように、将来の価格を先取りする(今500円のモンでも将来1000円の価値になると分かったとたんに1000円になる)。で、中央銀行の連中にとっても資産価格の上昇のどれだけがバブルでどれだけがファンダメンタルに基づくものなのかを見分けるのは結構難題だ。つまり、資産の(将来の)適正価格に関して中央銀行が判断し得るか(そして判断してその結果金利スタンスまでを変更するべきか)どうかっていう問題になると、誰も単純には答えられない(金利政策は資産価格だけじゃなくて経済の隅々にまで影響を及ぼすしね)。それに経済にあんまり口をはさむと先人が苦労して確立した中央銀行の独立性にまで火の粉がふりかかる可能性もある。

あと、低金利は長期的な経済成長に関して必ずしもプラスではないって事は以前のメールマガジンでも書いたけど、低金利が合理化されるケースがひとつある。それは経済成長があんまりにも遅くって雇用等の経済資源の利用が低調な時だ。つまり、リスクの割にリターンが低くっても、(失業とかで)資源が完全に遊んじゃうよりはマシでしょっていえるときだ(低いリターンでもゼロよりましってこと)。現在のアメリカがこれにあてはまるかどうかもこれまた議論のわかれるとこだけど、少なくとも雇用とインフレ率を見る限りは、金利を近い将来上げるっていうスタンスに変える程ではないんじゃないかしらん。でも投資には気をつけてね(ウォーレン・バフェットなんかも、今はなんでもかんでも高すぎてとても買う気にならんなんて言ってる)。

March 10, 2004

アメリカのサービス産業労働市場動向ー明日は我が身か?

アメリカでの雇用はサービス産業でさえ、ここのところ伸びが低いけど、理由として良くあげられてるものの一つに(ブッシュの政策を除いて言えば)、ITによる生産性の向上がある。つまり、ITのおかげで(せいで)昔より少ない人数で昔と同じ仕事ができちゃうって理由だ。そこでBLSのデータから、どんな仕事がふえて、どんな仕事が減ってるのかちょっと見てみた(けっこうヒマ人?)。アメリカで起こってる事は結構時間差をおいて日本でもおこるんで、どんな傾向なのか興味のあるとこだ。2003年2月から2004年の2月の1年間の雇用の増減をアメリカの主要サービス産業に関して見ると下のようになる。

卸売・商業  -21,000
小売り +24,000
運輸・倉庫 -56,000
ユーティリティー(電力・ガスなど)-5,000
通信 -52,000
情報(通信以外) -17,000
金融 +54,000
プロフェッショナル、ビジネスサービス +253,000
教育・医療サービス +291,000
娯楽 +86,000

ふーむ。たしかにシステム化で効率化できそうな仕事は減ってるとゆー見方も出来る。プロフェッショナル、ビジネス・サービスってのは、IT関係、法律、広告、エンジニアリング、コンサルティング、会計などなどのサービスだが、たしかに医療、教育と同様システム化で人減らししてどーこーという仕事じゃなさそうに見える。オフショアリングでインドとかにサービス関係(システム開発やら、遠隔医療やら)の仕事が流出してると騒がれてるけど、数字で見る限り全体としてこの手のサービスのアメリカにおける雇用は伸びてるってのがわかる。たぶんこの手の傾向は日本でもあきらかになってくるだろう(もうなってるかしら?)。

March 07, 2004

円安、、、、(風が吹けば桶屋が、、、)

ついこの間まで円高で大騒ぎだったのに、すこし円安に振れてきてる。もちろん政府の大規模な介入もあるけど、基本的には円ドルの関係よりも、ユーロ・ドル間のユーロ安にひきずられている面が大きいような気もする(円高の時と同様にね)。

ユーロ安に関しては、ユーロ圏の経済データがいまいちパッとしないためっていう解説が多いんだけど、どうだろう?一部ではこの間までのユーロ高はイラク戦に反対した欧州に対するアメリカによる「お仕置き」だってな話もあったんだけど(かつてバブル経済の直前に膨大な対米黒字を出してた円が槍玉に挙がったみたいにね)、この話はちょっと面白すぎてすぐには信じがたい(でも面白い)。

どちらにしても、ユーロ安で欧州中銀はますます利下げの理由がなくなり、そーすると欧州経済の牽引車(とゆーかお荷物?)のドイツ経済は引き続き低迷する事になる(かもしれない)。ドイツ経済が低迷すると欧州圏全体の経済はパッとしないから、ユーロがあがる理由はますます無くなる(かもしれない)。そーすると円も?(いやいや、こればっかりはよくわかりませんね)。ドイツ経済に関しては今度の国際経済のメルマガで書いてみようと思ってます。

  

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