アメリカで大規模なバブルが進行中という懸念が広がっている。それとともに金利をそろそろ上げないと、最後には強烈な調整になるという論調も目立ってきている(モルガン・スタンレーのStephen Roachとか、英国のThe Economistとか最近ではNew York Timesまで)。2000年以来、パブリックセクターと民間をあわせて借金は6.5兆ドル(!)増加しており、消費者は不動産の値上がり等を背景に借金まみれになりつつ消費(と投資)を続けている(昨年1年で家計の借金は9000億ドル増加している)。
アメリカ経済は1999-2000年のハイテクバブルの崩壊をそれほど傷を負わずに切り抜けたけど、これはもちろん大規模な財政出動と金融緩和によるものだ(連銀の連中は日本のバブル崩壊に関しては相当研究していた)。ただこれが結局、不動産などのバブルを呼び起こした、ってのが大方の主張だ。
では、連銀は早期に金利を上げるだろうか?その答えはたぶんノーだ。経済があるていどバブル化してるのはたぶん確かだけど、今までの発言を見る限りアラン・グリーンスパンは金利引き上げによるバブル抑止は適切な政策ではないと考えているフシがある。つまり、バブルが崩壊した後、大規模な流動性を市場に注入して崩壊のダメージを和らげるのが中央銀行の役割であって、中央銀行は資産価格の上昇に対して金利政策で対応すべきじゃないって事(ただいまや金融政策は相当ゆるんでるからバブルがつぶれたらどーすんのってゆー意見も多いけどね)。
で、これが妥当かどうかって事になると、意見がわかれるとこだ。米連銀でもBernankeとかは大昔から、最近では欧州のセントラルバンカーの多くも資産価格の異常な上昇に対しては中央銀行が早期に金利政策で対応すべし、という主張をしている。バブルが崩壊した時の経済的ダメージを考えれば、まぁ、一見まっとうなように見えるけど、これはお利口さんたちが考えるほど簡単なモンじゃない。
一般的に言えば、資産価格は経済のファンダメンタルがあがっても上昇するし、バブルでも上昇する。それに資産価格は株を見ても分かるように、将来の価格を先取りする(今500円のモンでも将来1000円の価値になると分かったとたんに1000円になる)。で、中央銀行の連中にとっても資産価格の上昇のどれだけがバブルでどれだけがファンダメンタルに基づくものなのかを見分けるのは結構難題だ。つまり、資産の(将来の)適正価格に関して中央銀行が判断し得るか(そして判断してその結果金利スタンスまでを変更するべきか)どうかっていう問題になると、誰も単純には答えられない(金利政策は資産価格だけじゃなくて経済の隅々にまで影響を及ぼすしね)。それに経済にあんまり口をはさむと先人が苦労して確立した中央銀行の独立性にまで火の粉がふりかかる可能性もある。
あと、低金利は長期的な経済成長に関して必ずしもプラスではないって事は以前のメールマガジンでも書いたけど、低金利が合理化されるケースがひとつある。それは経済成長があんまりにも遅くって雇用等の経済資源の利用が低調な時だ。つまり、リスクの割にリターンが低くっても、(失業とかで)資源が完全に遊んじゃうよりはマシでしょっていえるときだ(低いリターンでもゼロよりましってこと)。現在のアメリカがこれにあてはまるかどうかもこれまた議論のわかれるとこだけど、少なくとも雇用とインフレ率を見る限りは、金利を近い将来上げるっていうスタンスに変える程ではないんじゃないかしらん。でも投資には気をつけてね(ウォーレン・バフェットなんかも、今はなんでもかんでも高すぎてとても買う気にならんなんて言ってる)。