ホワイトハウス前で「自由を愛する」イラン人のデモが行われたそうです。数百人と小規模なようですが、んんん?
国旗が違う・・・ 何と皆さんパーレビ国王時代の旗を振っていらっしゃいます。しかも、その後には昔のパーレビ国王のご子息まで登場したようです(パーレビさんは、最近色んなところで登場しておられますが、「もし私が選ばれたら国のために務める用意がある」そうです・・ )。どわー。CNNなどでも極めて好意的に取り上げられています。
私の知り合いのイラン人には、イスラム革命で国外に逃げ出したインテリ連中のご子息なども結構いるのですが、さすがにパーレビ体制が良かったというのは(当時の体制で甘い汁を吸っていた連中を除いて)あまり聞いたことがありません。少しでも体制批判すれば、秘密警察サヴァクに引っ立てられるという恐怖政治だったわけですから。
当時イランに駐在していた日本の方の話などを聞くと、日本語でシャーの悪口を言ってもどこからかサヴァクに通報されるとのウワサまであったそーです。で、もちろん、パーレビ政権は、それ以前の民主的に選ばれたモサデク政権を米国がクーデターで倒して打ち立てた「立憲君主国」だったということを考えると、上のデモは一体どなたが組織されたもんなんでしょうか?
で、今までの展開を私なりにまとめると:
1. 選挙はアフマディネジャドが実際に勝っていた可能性が極めて高い。
イランの大統領の権限はそれほど強くないというのは、ハタミの時もラフサンジャニの時も言われていたことです。アフマディネジャドだけが例外とも考えられません。ムサビやラフサンジャニの反対行動を見ても、革命政権の中枢部内部でさえ強い対立があることが分かります。
そのような状況で組織的に問題も起こさず全国的に1000万票以上もの不正ができるとは少し考えにくい様な気がします。事前の(海外の組織が行った)全国的な世論調査でも(選挙結果以上の)大差が付いていましたし。
2. 選挙後の騒乱は「出来レース」か?
ムサビは開票が始まる以前に勝利宣言をしていました。投票結果がどうであれ、それを認めないという意思表示です。そしてその通り、開票直後に反対派を率いて大規模な抗議活動を行いました。この強気の理由は分かりませんが、自分たちに対する政治的攻撃があれば大変なことになるぞという、ハメネイに対する示威行為ではないでしょうか。
ムサビの後ろ盾のラフサンジャニやハタミが巨額の富を有しているのは多くのイラン人が知っています。これらの政権幹部は、海外メディアの常宿の5つ星ホテルも多数あるテヘラン北部の超金持ち地帯(昔のパーレビ政権の幹部が住んでいた地帯)を支配していますが、こうなった経緯にはもちろん疑惑があります。
しかし、革命政権の正当性にかかわるものだけに、この疑惑は公然とは語られていません。それが、アフマディネジャドが、選挙前のテレビ討論で、国が苦しんでいた時期にラフサンジャニなどが不正蓄財を行っていたと爆弾発言したもんですから視聴者の間では結構な騒ぎだったようです。
ムサビやラフサンジャニやハタミこそが革命政権の腐敗から甘い汁を吸ってきた連中で、自分こそがその不正と戦う改革派なのだというポピュリスト的なポーズだったわけですが、これは貧乏人の大衆には受けた一方で、ムサビなどからすれば、アフマディネジャドが本当に危険な男であると分かった一瞬だったのではないでしょうか。おそらく、選挙後に示威行動をしないと、何をされるか分からんと思ったのではないでしょうか。
3. 外国メディア
この騒乱に外国メディアが飛びついたわけですが、それに関しては前のエントリーで書いた通りです。イラン人は過去の痛い経験から何かあるとすぐに英国人(米国人に対するよりも恨みは深いようにすら感じます)の陰謀のせいにするクセがあって、今回もBBC追放という形でそれが現れていたのは面白く感じました。実際、モサデク打倒で米国をそそのかしたのは英国だそうですが。
ただ、欧米のメディアにはやはり「後進的なイスラム体制」という抜きがたい蔑視感情があるように思えます。報道が完全にバランスを失っていると感じた者も少なくないはずです。今まではガザでもイラクでも「残酷な場面」の報道をある程度自粛してきたメディアが、今度はイラン人女性の残酷な殺害現場ビデオを休む間もなく報道するのはかなり異常に感じます。
私はイランの現政権による核武装は封じ込める必要があると思っていますし、イランの民主化も結構なことだと考えています。それが武力などによるものになる可能性があることも認識しています。しかし、それでも今回の選挙後の展開には極めて居心地の悪い空気を感じます。この感覚は全然上手く説明できないのですが、ひょっとするとそれは、私も戦争により「政権転覆」された国の人間だからかもしれません。

こういう情報もあります。色々錯綜していてワケが判りませんが、「欧米メディアは基本的に偏向している」ということだけは確かっぽいですね。
http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/2009/06/nora.html
コメント by 大雀 — 2009/6/24 水曜日 @
どうもありがとうございます。でもこの人、肝心のFisk記者の元記事を全然読んでいないようですね。
元記事
http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-secret-letter-proves-mousavi-won-poll-1707896.html
は、この数字を上げたレターが「機密文書のコピー」と称してテヘランの路上で大量にばらまかれていることを、「こんな怪しい情報もばらまかれてるよ」ということで、状況の混乱について書いたものです。
これが、どうやったら教えて頂いた記事になるのかさっぱり分かりませんが、書く前に元記事くらいには目を通してほしいものです。日本のレベルが分かるような話で気が重くなります。
しかし、こういう「機密書類」を大量にコピーしてばらまくのはどういう組織でしょうね?奇々怪々です。
コメント by plateaux — 2009/6/24 水曜日 @
やはり、件の記事には突込みがあったらしく、勘違いを認めています。
http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/2009/06/r.html
コメント by 大雀 — 2009/6/25 木曜日 @
大雀さん、どうもありがとうございます。
やっぱりまずいですよねぇ・・・
コメント by plateaux — 2009/6/26 金曜日 @