最近、少し印象的だったのが、多くの日本の方が「クライスラーが潰れたのは、クライスラーのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を買っていた債権者がCDSで儲けるためにごねたからだ」なんて言ってたことです。
クライスラーが沈没した際、調整を拒否した債券保有者に対する政府の露骨な圧力があったわけですが、これがメディアで問題になると、すぐに民主党系のブログなどから上のような(あまりニュースを読まない人々向けの)ウワサ話があっという間に広まりました。
「金に汚いヘッジファンドなどの奴らが善良な自動車会社の労働者を痛めつけて、自分たちだけ儲けようとしている」ってわけです。しかし、そんな話が米国内の政治的な対立と関係ない日本のおじさんたちにまで広がっているのに少し感心してしまいました。
クライスラーのチャプター11の裁判所への提出書類(”White & Case”と”Chrysler”でググれば山のように出てきます)を見れば、米政府の調整を拒否したいわゆる「Non TARP Lenders」がCDSの類いを保有していなかったのは明らかなんですが、なんとなく日本人のウワサや「裏のハナシ」の類いに対する本質的な弱さみたいなものが透けて見えてあまり気持ちの良いものではありません。
ところで、クライスラーの件に関しては、調整を拒否した投資銀行の「Perella Weinberg Partners」に対して、ホワイトハウスが「いつまでもゴネてると、ホワイトハウスの報道力を使ってお前とこの評判をメチャクチャにしてやる」と脅したとかという、これまた本当とも何とも分からないハナシも漏れており、GMでの「本番」のための「見せしめ」の効果は十分にあったのではないでしょうか。
クライスラーの「Non TARP Lenders」たちは、政府相手に戦っても金がかかるだけと見ると、「徹底抗戦」なんて言わずにあっさりと撤退しましたが、さすがにお金にはシビアでちゃんと正気は保っているようです。
しかし、クライスラーにしてもGMにしても米政府はとんでもないところにまで手を突っ込んでしまったものです。禍根を残すことになると思います。
