次期大統領のオバマ氏と、そのアドバイザーのケーザイ学者の関係というのは、半分安心で、それと同時に半分不安を抱かせるものですが、それを良く表しているのが、大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers:CEA)の次期委員長の最有力候補であるシカゴ大のオースタン・ゴールスビー先生(Austan Goolsbee)と、National Economic Council(国家経済会議:NEC)の次期ディレクターと目されているブルッキング研/ニューヨーク大のジェーソン・ファーマン先生(Jason Furman)です。
今まで書かれているものを少し読んだ限りでは、お2人とも中道あるいはそれよりわずかに左の(米国基準ですから、日本の一般の基準からすれば十分に自由主義的な)、すなわち十分にメインストリームの経済学者です。
ゴールスビー先生は、オバマ氏がヒラリー・クリントン女史との論戦で北米自由貿易協定(NAFTA)を攻撃し、協定の見直しを約束しているちょうどその最中に、カナダの領事と秘密会談を持って「オバマ氏が言ってるのは選挙のための単なるレトリックだから心配するな」と保証していたことがすっぱ抜かれて大騒ぎになった人物です。
ファーマン先生の方も、ヘルスケアに関しては、従来から大統領選でのマケイン氏のヘルスケア・プランに割と近い立場を取っている学者で、今年のタックス・ポリシー・センターのパネル・ディカッションでも、「マケインの応援をしているように見えるかもしれないけど・・・」と前置きしてから話していました。WSJなどには「オバマ氏はマケイン氏を攻撃する前に自分のアドバイザーを攻撃するべきじゃないのか」などと書かれていました。
というわけで、このお2人を見てもそこそこ真っ当で、そういう意味では半分は安心できるのですが、ただ、オバマ氏自身の演説はこれらの立場と真っ向に反する場合が多いため、政策の見通し、信頼性という面では極めて見通しが悪いという面があります。
ちょっと知的なオバマ・ファンの間では、これはオバマ氏が言われているような「超リベラル」な政治家ではない証拠ですし、懐疑派から見れば、オバマ氏は当選するためなら何でも言う「カメレオン」であり、信用できない政治家ということになります。(もちろん、大半のオバマ氏の支持者/批判者にとっては、アドバイザーがどこの誰で何を言ってるかなんてほとんどカンケーありません)
NECなどは位置付けも大統領次第という気がしますので、蓋を空けてみないと全く分からないというところでしょうか。人事から次期政権の性格を予想するという面では、商務省、SEC、USTR、FCCなどの人事の方が示唆的かもしれません。しかし、大統領の言葉だけからは良く分からんというのは何とも・・・
11:25追記:報道の通りNECはラリー・サマーズ、CEAはクリスティー・ローマーと、ますます「チェンジ」よりは、重厚な(言い換えると「フツー」な)布陣となっています。良いことだと思います。
