2008/11/3 月曜日

米大統領選:4年間は少しキツいかも

選挙前にこのバブルははじけて欲しいと思っていたのですが、はじけたのは金融の方のバブルで、オバマ氏のバブルは最高潮のまま選挙に突入のようです。バロンズの最新のファンド・マネジャー調査でも、経済に関してオバマ氏の方が良いと答えたのは30%程度にすぎませんでしたが、86%がオバマ氏の勝利を予想しています。

私は外国人で、米国の内政問題に関してはどうこういう立場ではないので控えますが、米国外のことに関しては少しばかり懸念を持たざるを得ません(まぁ、一応まだ選挙前ですが・・・)。米国外の人はどうも超オバマ贔屓の米国大メディアの直輸入情報の影響か、少し楽観的に過ぎるような気もします。私の取り越し苦労であれば良いのですが、外国人としてオバマ氏に対して気になるところを2つ程度挙げておきます。

1. 外交・貿易上の事項に対するブレが激しい。
例を挙げるとキリがないので、1つだけ極めて象徴的な例を挙げておきましょう。オバマ氏は私が知るかぎり、最も親パレスチナの政治家の1人でしたが(つまり、少し前までは、ということです)、ユダヤ系の票を目当てに最も親イスラエル的な政治家の1人に大変身し、数カ月前にはとうとう「エルサレムは永遠に不可分の都だ」などと、あのブッシュでさえ口走ったことのない領域にまでイってしまいました(その後、問題になるといつものように発言を撤回していますが)。

中東政策がどうこうというレベル以前に、米国ほどの超大国のリーダーが他国の人々の命運に関する事項や、貿易に関わる事項で簡単にブレたり、2枚舌を使うのは非常に危険だと思われますが、NAFTA見直し発言に関わるカナダ政府との「裏交渉」や、北京五輪前のチベット騒動をめぐる右往左往など、このような例があまりに多いように思われます。どうも、圧力がかかった場合には重要な問題であってもポジションをキープできない(あるいはする気がない)人物のように見受けられます。

選挙戦中ならば、贔屓の大メディアがほとんど無視に近いような扱いにしてくれても、大統領になればそうはいかないでしょう。米国のポジションが大きい影響を与える地域にとっては(北東アジアも含まれますが)、不吉なことだと思われます。「ブレーン」が付いているから大丈夫という友人も多いのですが、ブレーンはブレーンでしかなく、厳しい状況下での心棒にはなれません。それに実際、「ブレーン」が付いていてこのザマですから・・・

2. 保護主義。
オバマ氏は投票歴から見るかぎり、「通貨操作」での対中制裁や、WTO違反のバード修正条項にまで賛成している保護主義的な議員の1人です。選挙戦終盤には中道の票を取ろうと「私は自由貿易主義者だ」と言っていますが、2-3の小さい例外(オマーン自由貿易協定への賛成や、それを「釈明」した地元紙への寄稿、あるいはオバマ氏が誰それ(中道のガクシャなどの名前が入ります)と仲が良いというようなウワサ程度の話)を除いて行動面でそれを裏付けるものはほとんどありません。農業補助金に対する支持者でもあります。ウルグアイ・ラウンドは止まったままになるのではないでしょうか。

EUは、一応ウルグアイ・ラウンドをリードしてきましたが、米国が後退した後までリードする意欲はおそらくはないでしょう。米国が後退すれば、EUは米国に合わせて「欧州要塞」に逆戻りではないでしょうか。米欧合わせれば、総合的に世界経済に与える影響は結構大きいような気がします。

経済問題関係でもオバマ氏の「ブレーン」について語る人が多いのですが、どう見ても「ブレーン」たちの言ってる内容と、オバマ氏の言っている内容が同期しているようには思えません。「選挙のためにウケることを言っているだけで、本当はもっと知的で現実的だ」という友人も多いのですが(その根拠は不明ですが)、たとえそうであるにせよ、選挙で打ち出すことのできないポジションを現実に打ち出すことができるのでしょうか。

外交も保護主義も米国の有権者にとってはほとんど関心がないことなので(この手のことはどうなろうが、現実問題として米国人が困ることはほとんどないですから)仕方がないとも言えますが、海外でもこの面での報道がさほど多くないように見えるのはなぜでしょうか。

内政面でも実現がとても可能とは思えない公約も多いので、最初の蜜月が終わった後での国内の支持者の幻滅も結構大きいのではないかという気もします。4年間が長いものにならなければ良いのですが。

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