

先週は株式の下げのスピードと同様にポールソン長官の突進も大したものでした(もし、ブッシュ + スノーのコンビだったらどうなっていたかと思うと背筋に冷たいものが走ります)。しかし、その後EU-15の「あっち向いてほい集団」が週末から月曜にかけてどたばたながら一応の体裁を整えてきたのも快挙ではないでしょうか。
欧州の総額1.7兆ユーロ(約2.3兆ドル)のプランは一応一足先に銀行に資本注入を発表した英国のプランを下敷きにしたものですが、サルコジ、ブラウン、メルケルといった役者がそろっていなければ、これはなかなか難しかったでしょう。実際にはつっこみどころが多そうなプランですが、それでもブレークスルーには違いありません。
月曜の暗い時間からスピーチを見ていたのですが、まずブラウン首相のスピーチはまるでバトル・オブ・ブリテンに向かうチャーチル風の時代がかったもので、まさしくブラウンが今度の事態を「戦争」と同様に捉えているということが強調されていました。
国内ではライバルの保守党に世論調査で2桁の差を付けられ、身内の労働党内からも「反逆者」が続出するなど、主要国首脳の中でもこれだけサンドバック状態の人も珍しいですが、それにも関わらずめちゃくちゃタフで粘り強いおっさんです。少なくとも以前のノーザンロックの時にへっぴり腰でイングランド銀行に厄介ごとを押し付けようとしていた人物とは全く別人です。
「私が訪れた市や町では、静かで、断固たるイギリス魂(British Spirit)を見てきました。この世界的な金融危機は米国で始まったものかもしれませんが、英国がこの危機から脱出する道をリードします」
大きく出たものですが、相手が金融危機であれ、保守党であれ、身内の反逆者であれ、総選挙までは絶対に戦い抜くという肚を決めていることは良ーく分かりました(市場もそのようでした)。横にいたアリスター・ダーリング財務相が刺身のツマみたいに見えて可哀想でしたが、これはやはりトップの仕事だからしかたがないでしょう。そしてブラウンは(今のところは)この仕事を見事にこなしてみせました。
そして、ブラウンを上手く使ってEU-15をまとめた議長国フランスのサルコジの腕力も大したものです。今年の6月までは議長国はスロベニア、来年の1月からはチェコということで、ちょうど議長国がEUの中心のフランスで、そのまた大統領が元気と野心と色気に服を着せたようなサルコジだったというのもEUにとっては運に恵まれていたかもしれません。サルコのスピーチも見ましたが、相変わらず超エネルギーのかたまりで、ブラウンとサルコジの2人の「濃い」スピーチを連続で見た後では、少なくとも連中はマジそうだということは伝わりました。
また、独仏中軸でのサルコジのパートナーが「鉄のお嬢さん」ことメルケルだったのもEUにとっては幸運だったかもしれません。昔「私は授業中、飛び込み台の板の上に立っていて、45分たってようやく飛び込むような人間です」と言ったとか伝えられていますが、同氏の慎重さ、思慮深さ、そしていざという時の思い切りの良さが現れている言葉です。
というわけで、ここ一番で、主要国のリーダーが踏ん張ってみせたという週末/週の初めでした。
しかし、一応日本は今年G8議長国だったような気もするのですが、サミットも無事終わったしカンケーないんでしょうねぇ。きっと。

