最近色んなファンドがトンでもない損害を出しているモーゲージ・ベースのCDOですが、CDOのいわゆる「産業廃棄物」の部分は大元のローンプールの元金の5%程度が毀損すると文字通りの「紙くず」になると言われています。サブプライムの場合ビンテージにもよるでしょうが、十分5%の壁は越えているわけで、すでに実質上紙クズ同然となってしまっている証券が結構あると思われます。
リスクを承知でレバレッジを目一杯かけて「産業廃棄物」を抱え込んで大損しているヘッジファンドやら、自らせっせと販売用の「産業廃棄物」を製造して、そのあげく自己勘定にも抱え込んでる銀行や株屋さんなどは単なる自業自得なんで何とも思いませんが(「自業自得」で済んでないところが問題ですが)、問題は利回りと格付けだけで投資している投資家です。(みんな結構格付けが高かったりしました)
大体誰もすべての証券の精査などしている暇も能力もないですから、この手の投資家は結構多そうです(大体、格付けというのはそういう投資家のためのものであるはずですが)。Bloombergによると、この紙クズの持ち主は -
1. 銀行、プライベート・バンク (32%)
2. 資産運用会社 (22%)
3. 保険会社 (19%)
4. 年金、その他 (18%)
5. ヘッジファンド (10%)
となっています(株屋さんが見えませんが?)。年金などは相当アタマにきている状況ではないでしょうか。まだファンドを除けば普通の保険や年金などの損失の話はあんまり聞きませんが、単に価額の評価ができないのでまだ「モデルによる価格」でバランスシートにのっかてるところも多いのではないでしょうか。
今後減損の計上などで損失が明るみに出てくると、格付け機関を相手にした訴訟などが出てくる可能性もありそうな気がします。少なくともPIMCOなどの債券屋さんは、数年前から「メザニンのくせにAが3つなんておかしいだろう」などといった批判および見直しの要求を公にいろんなところでやってますから、格付け屋さんもまったくシラを切ることはできないはずです。ベア・スターンズのファンドが吹っ飛んだときも、ベアとフィッチ、ムーディーズ、S&Pなどの間で見苦しいやりとりが見られましたが、今後の予告編みたいなものかもしれません。
バーナンキ御大はこの手の証券の損失額を約1,000億ドルと言っていますが、昔のS&Lの崩壊のコストが1,500億ドルだったので大体似通った水準になりそうです。まぁS&Lの場合には全部米国の納税者が負担していたところを、今度は世界中が負担するわけですから、宣伝通りの「リスク分散(というか拡散)」の能力だけは証明されたと言えます。
Bloomberg 「あなたの年金に潜む毒物」(英語、PDFです)

何だか金融ハイテクを駆使した“(不良債権の)飛ばし”のようにも見えますね。もっとも、結果的にそうなったのであって、最初は“おいしい債券”だったのでしょうが。何だか変だよな、と思いつつ、なかなか値が崩れない(むしろ人気化する)と、変だと思うのが変なのか、と思考が鈍るのですが、変だよなと思う気持ちはやっぱり持ち続けた方がよいのでしょうね。まあ、理想論ですが…。
コメント by 本石町日記 — 2007/8/14 火曜日 @
冗談でなく、「サイドポケット」とか言って問題部分だけを別のところにマジで「飛ばし」てるとこもあるようで、何となくまたキタナい話が一杯でてきそうなイヤな感じもあります・・・
コメント by plateaux — 2007/8/14 火曜日 @