what’s my sceneさん経由、ITMediaのニュースによると、フランスでiTMS(だけでなく他のオンライン・ミュージック・ストアも)が固有のDRMで保護しているコンテンツを、消費者がさまざまな機器で利用できるように、フォーマット変換できるように義務付ける法律(DADVSI)が下院を通過し上院にかけられることになったようです。また、消費者は自分の購入したコンテンツを他のフォーマットに変換するためDRMを解除することも認められるようです。
これだけであれば、私も基本的に大賛成なのですが(買ったものをどーやって聞こうと勝手でしょ)、この法案自体はどうも極めて「クサイ」もののようです。
まず第1に、この法案にはフランスお膝元のメジャーのVivendiによりトンでもない修正が加えられており、「潜在的に」ファイル交換に使用され得るソフトウェア(クライアント、サーバを問わず)は違法となり、この手のアプリケーションやサービスに関する情報をネット(や他の媒体)に掲載するだけでも最大で懲役3年、30万ユーロの罰金が課される可能性があります。
第2にDADVSIでは消費者が自分自身の使用のためであっても自分のDVDのバックアップ・コピーを作るのが違法となっています。これは「フェアユーズ」でさえ、著作権の侵犯に当たるとするような最近のRIAAの主張に近い過激なものです。
どうも世間ではApple/iTMSのDRM解放の話題のみに注意がいっているようですが、全般的にここらへんのことも考えると、これはひょっとするととんでもないガラクタ法案なのではないかという気もします。
ところでAppleはどうでるかの話なのですが、まずフランスでのこの法案がコピーの増加による事業のコスト増と同じ影響を持つと考えれば、Appleの業界内での独占的地位(フランスではまだバージンが首位ですが)を考慮すれば、これは基本的にVarianによる「独占業者と価格差別」の古典的な例となり、フランスでの価格を大きく引き上げるというオプションを取らない(または取れない)場合は、AppleにとってiTMSのフランス撤退というのが経済的に最も合理的なオプションとなる可能性があります。
で、この場合、最も被害を受けるのはフランスの消費者ということになりますが、iTMS撤退による消費者利得の喪失だけでなく、ガラクタ法案によるより厳しい規制も被ることになり泣き面に蜂という最悪の場合も有り得るわけですが、アホな議員をもったツケは最終的に自分に戻ってくるという教科書的結末になる可能性もあります。めでたしめでたし(どこがや)。
