音楽携帯が躍進してiPodの「我が世の春」も終わるって話はもう聞き飽きるくらい流布してるんですが、今度はウォール・ストリート・ジャーナルの投資誌であるBarronsで同じハナシが出てました。私自身は「携帯機器ではあんまり音楽聴きたくない派」なんですが、個人的にはこの「携帯圧勝シナリオ」は眉唾だと思っています(ケータイってなんか音楽の対極にある機械のような気がして・・・でも趣味がからむと大体私の予測は外れるんですが・・・)。
野暮用で記事のちょっとしたまとめを作ったんですが、その一部だけ下にのせてみました。上で書いたように個人的には内容はあまり買えないんですが、ヨーロッパでの携帯電話音楽サービスのミュージウェイブのハナシがちょっとだけ面白かったような・・・
モルガン・スタンレーのアナリストであるレベッカ・ランクル氏は最近のレポートで、アップルの全製品のラインアップで勢いが続くとしている。同氏の予想では -
- iPodの今年度の売上は400%増の2,200万台、来年度はさらに倍増の4,500万台
- マッキントッシュの伸長も続く
- アップルの今年度の売上は70%増の140億ドル、来年度は220億ドル
- 利益は今年度には4倍のほぼ12億ドル(EPS1.34ドル)、来年度には15億ドル(EPS1.67ドル)以上
- アップルのPERは33倍が妥当であり、それによると株価は60ドル程度(現在39ドル程度)。
しかし、この予想は今後予定されている音楽携帯電話の登場を計算に入れていない。携帯電話企業は音楽産業と連携し大半の携帯電話を音楽プレーヤーに変貌させようとしている。iPodがたとえ4,500万台売れたとしても、携帯端末は7億5,000万台販売されており、これはアップルの将来に暗い影を投げかけている。
iTunesストアでは1曲が99セントであるのに比較し、携帯電話では6秒間のリングトーン(着うたのようなもの)が2ドルで売れている。すでにLi'l FlipやPetey PabloのようなアーチストはCDよりもリングトーンの売上の方が多い。ソニーBMGやEMIのような音楽産業もワイヤレス通信業者との方がアップルよりもやりやすいと考えている。
欧州でもドイツ・テレコムのT-モバイル、ボーダフォンなどが音楽のダウンロード・サービスを提供している。この両社は音楽サービスをフランスの非公開企業であるミュージウェイブに外部委託している。
ミュージウェイブのサービスでは、携帯ユーザはいつでもストリーミング音楽を聴くことができ、携帯で音楽をダウンロード購入できる。フルトラックの他にもリングトーン、ビデオ・リングトーン、リングバック(電話をかけてきた相手に聞こえる呼び出し音を音楽にしたもの)の購入ができ、購入した音楽は、携帯とPCの両方にダウンロードできる。
外出先で新しい音楽を聴いたときに、携帯をその音源に近づければ、ミュージウェイブのサービスはその曲が何かを探し出し、その曲を購入できるようにしてくれる。また、ユーザはダウンロード購入した曲を友人にワイヤレスで転送できるが、その友人はその曲を1-2回聴くと支払いが必要となる。顧客の購入履歴データも重要であり、顧客の過去の購入履歴から他の曲やリングトーンを推奨するサービスを行っているが、売上の34%はそのような推奨によるものである。
先月ロジャーズ・ワイヤレスはカナダでフルトラックの音楽ダウンロード・サービスを1曲1.25-1.99カナダ・ドル(1カナダ・ドル=約88.5円)で開始した。最初にサービスに対応した携帯端末はノキア(NOK)の端末で価格は130-300カナダドルである。アップルは1曲販売するたびにクレジット・カード会社に10-20セントの請求手数料を支払う必要があるが、毎月請求を行っている携帯電話会社にはこのような追加費用は必要ではなく、デジタル音楽を販売する上で大きく優位にある。
電話会社はアップルよりも音楽の売上を伸ばせると考えている。アップルが4億曲もの音楽を販売したのは称賛に値するが、現在までに1500万ユニットのiPodが販売されたことを考慮すると、1ユニットあたりの販売曲数はそれほど多いものではない。
ボーダフォンとベライゾン・コミュニケーションズのジョイント・ベンチャーであるベライゾン・ワイヤレスは米国で最初に大規模な3Gネットワークを展開するが、音楽は同社にとって「極めて戦略的」としている。
逆にワイヤレスは音楽産業にとっても戦略的である。CDの売上は下落しており、アーチストとレコード・レーベルはこの下落をリングトーンやリングバックなどで埋め合わせるための努力を進んで行っている。音楽産業は今や売上の10%をこれらの素材から上げている。ソニーBMGの幹部は携帯端末はその数の多さによりiPodに比較して重要な音楽市場になるとしている。この幹部は米国の携帯電話の数はiPodの数を18対1で上回っているとしている。
クアルコム、フリースケール・セミコンダクターやテキサス・インストゥルメンツは、携帯端末の基本的なチップセットにデジタル音楽用のチップを組み込む予定であり、クアルコムはすでにそのようなチップのサンプル出荷を行っている。来年以降、ノキア、サムソン、モトローラなどの3G端末にとっては、音楽プレーヤーの方がデジタル・カメラよりも一般的な装備となる可能性がある。
もちろんアップルも立ち止まっていないだろう。次世代iPodはWiFi機能を搭載するといわれており、ミュージウェイブのサービスのように友人に音楽を転送できるようになるだろう。
しかしソニーBMGやEMIのようなレコード・レーベルはアップル独自の音楽フォーマットに反対し、iPodにデータを転送できないCDをリリースしている。しかもワイヤレス通信事業者とレコード業界はオープン・モバイル・アライアンスの旗印のもと、自分たちのデジタル音楽フォーマットを開発している。
ミュージウェイブの会長であるジル・バビネ氏はiPodについて「袋小路の戦略をとっているかもしれない」と述べている。