(国際経済に強くなろう第41号)3月10日配布分:「先進国で広がる格差」より。
第2次大戦終了から1980年代までが先進国間の所得ギャップが縮小する時代だったとすると、1990年代以降は先進国間の所得ギャップが開いていっている時代だ。これはとうとうOECDのリサーチのトピックとなっているが、残念なことに日本はちょっと遅れ気味のようね。
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□ 広がる対米ギャップ
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現時点で米国の1人当たりの所得(購買力平価ベース)を100とすると、欧州、日本の1人当たり所得は大体70-75の間に入っている。日本はかつては80を超えていたこともあるが、90年代以来ぱっとせず対米ギャップは広がる一方だ。
欧州でも国による差は結構あり、英国などは対米ギャップを狭めている傾向にあるが、フランス、ドイツなどでは日本と同様ギャップが広がっており欧州全体で見ると日本と同様やっぱり米国と差が開きつつある(ついでにいうと米国よりも所得が高くしかも米国をさらに引き離しつつある国がOECDで1つだけある-ノルウェイだ)。
下の図はOECDのEconomic Reformからパクってきた図だが(クリックすると見やすいです)、縦軸は米国と比較した場合の相対成長率でマイナスの領域(つまり図の下の方)にある国は、1人当たり所得で米国に遅れつつある国で、逆に上の方にある国は米国に追いつきつつある国だ。また横軸は相対的な1人当たり所得で左の方の国ほど所得が低く、右の方ほど高い。米国より豊かでしかも米国を引き離しつつあるノルウェイ(NOR)、米国と同等の所得だが成長力が高いアイルランド(IRL)以外はパッとしないが、中でも日本(JPN)、ドイツ(DEU)、イタリア(ITA)の「三国同盟」はとくにパッとしないねぇ。
さて、毎年少しずつでも長年となると差は大きいものとなる。現在の米国人の中流階級の生活水準は100年前の米国の相当な金持ちと比較しても格段に恵まれているが、これはたとえ数パーセントずつの成長でも長期間では大きな差になることによる。たとえば1年間に5%ずつ所得が伸びると大体14-15年で所得は倍になる勘定だ。50年間では10倍以上、100年では130倍となる。
これはどーゆーことかと言うと、日本はもうそんなに成長しなくても良いという人もいるけど、日本が今の生活水準からそう変わらなければ、100年後には間違いなく世界でみれば貧乏国の仲間入りになるってことだ。ん?100年後の日本人なんて知った事じゃないって?まぁそーゆーのも分かるけどね。
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□ 欧州人は働き足りない
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OECDは米国とのギャップの内容を「労働力の活用度」と「労働力の生産性」に分けて大まかな分析をしている。活用度ってのは利用可能な労働力をどれだけ活用しているかってもので、生産性は労働の付加価値の高さだ。
例えば、人口10人のある国では働いている人間が1人、その1人が稼ぐ所得を100万円とすると、人口1人当たり所得は10万円となる。さて1人当たりの所得を増やすには、1)生産性を上げる:この場合だと稼いでる人の所得が例えば120万になれば、人口1人当たり12万円となる。2)働く人数を増やす。あるいは働く時間を増やす。さっきの人が残業でもするか、他の人も働くってことだ。
逆の例で言うと所得が下がるってのは、生産性が落ちてるか、労働活用度が落ちてるってことなんだけど、米国との相対的なギャップで言うと、米国と他の国の差が開いてるってことは米国と比較して、1)生産性が落ちてる。または、2)労働活用度、要は全体としてみたときの労働量が落ちてる。ってことになる。
OECDの分析によると、欧州では生産性は米国と比較しても結構いい線いってるらしい。とすると、要するに働いてる人/時間が少ないってことになるが、この理由としてOECDは労働市場の硬直性を指摘している。つまり、解雇や給料を下げるのが難しいから雇用主が雇用を躊躇するとかね。あとは年金が結構いいからある程度年とると働くより年金もらう方を選択しちゃうとか。
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□ 日本はアメ車
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「そーか。日本でもニートなんて働いてない若いの多いからなぁ」なんて思った人がいるとすると残念ながら大間違いだ。日本の場合は欧州と逆で、労働力活用度では米国より増加率が高い。したがってそれをちゃらにするぐらいのスピードで生産性で差をつけられてるってことだ。これって深刻でしょ。日本の車は燃費がいいけど、こと労働に関して言えば日本人は逆にアメ車並みってことだからねぇ。
まぁ、OECDが出してるデータなんかはもう聞き飽きたようなものだ。日本の市場は製品市場(まぁいやぁモノの世界)では相当競争的だが、サービス、農業では規制とか非競争的な補助金が多くて新規参入、競争が阻害されてるとか、GDP比で公共投資が多いとかね(これも非競争的なとこに資源が投じられてるってことね:GDP比で言えば「左翼」労働党の英国に比べて3倍近い)。
くまは結構いろんな国で働いたんだけど、日本人、特に現場の連中はそんなにさぼってるワケじゃないし(まぁ無駄な仕事多いんだけどね)、質だってそんなに悪くない。なあんで一生懸命働いてる連中が結構ずぼらしてる連中より貧しくなっちゃうのかね。これはね、別に「有効需要が足りないせい(お金使いたくてうずうずしてる日本国政府御用達のケーザイ学者の決まり文句だ)」じゃないと思うよ。