« January 2005 | メイン | March 2005 »

February 27, 2005

ライブドアつれづれ

大騒ぎのライブドア対フジテレビのニッポン放送争奪戦ですが、限りなくクロに近い(と思いますです。はい)ニッポン放送のフジへの新株予約権発行に関して村上ファンドが批判したみたいですな(毎日)。

企業買収への対応策について、株主の判断を経ずに株主価値を毀損(きそん)する可能性が高い施策を経営者が決定することが認められれば、経済産業省や法曹界での防衛策の議論は意味がなくなってしまう

だそうで、いやまったく当たり前なんですが。

ところで、敵対的買収の過程で会社の取締役にどれくらいの裁量権(つまり今度の場合ですと新株予約権発行を決めちゃうとか、まぁ「防衛権」の発動権)を認めるかってのは難しいところだ。

価格とタイミングだけが問題になるような簡単なケース(今回はライブドア側も仁義なき?奇襲ということでTOBの価格/タイミングの問題じゃなくなってるんでこんなに簡単じゃないけど)でもおおざっぱにゆーと2つの考え方がある。

1つは最終的な決断権は株主にあるんだから、自分たちの利益しか考えない可能性のある取締役は勝手になんかしちゃいかん(買収価格とタイミングだけなんだったら株主に決めさせろってこと)というものと、もう1つは取締役は株主が決めるんだから、取締役会の優位性を認めて取締役会に裁量権を与えて良いっていう考え方もある。この場合は取締役会が買収に対して取れる防衛手段の幅は広がることになる。

実はこの2つに関しては買収先進国米国の大企業の登録が集中しているデラウェアでも簡単ではなくって、オラクルの買収提案に徹底的に対抗したピープルソフトの経営陣に対して、株主の利益を無視していると訴えたオラクルの訴訟によってちょっとはクリアになるかと思われたけど、結局はピープルソフトの方が裁判より先に白旗あげちゃったんで残念ながら(?)Leo StrineなんておもしろいおっさんのいるデラウェアのCourt of Chanceryの判断は聞けなかった。

で、どっちにしても最終的に「株主の利益」が反映されていることが重要なんだけど、日本の会社の取締役会ってのは株主のための経営監督機関(社長と経営陣監視機関)とゆーよりは単なる社長の部下だったりするんで、こんな連中に裁量権(対買収の対抗手段)を与えるのは少なくともとんでもない、とゆーことになる(べきだと思う)。だって株主どころか自分たちの保身のためになんでもやるのが目に見えてるでしょ。

ところで、さっきちょっと見てるとライブドアとちがってニッポン放送の方はちゃんと社長の部下だけじゃなくって社外取締役が入ってますな(驚)、、、みずほ信託の社長の衛藤博啓さん、弁護士の久保利英明さん、野中ともよさん、、、社外取締役もいることだしちゃんと株主の視点から新株予約権発行がおこなわれたんでしょうなぁ。いやはや。

February 22, 2005

金さえあれば何でも出来るというのはマズイ???

最近超忙しくてニュースもあまり見てないんだけど、どうもまたLivedoorが話題を提供しているみたいね。いろんな人が出てきて曰く、

「金さえあれば何でも出来るというのはマズイ」

金があるから「何でも」できるって、、、、、株を買って企業を買収しようとしているだけでしょうが。それが悪いんだったら上場なんかしなければよろしい(いや、マジで。サントリーとか竹中工務店とか上場しなくてもちゃんとやってる会社は山ほどある)。別にホリエモンを評価してるわけでもなんでもないんだけど、後から後から出てくるジーさん連中のボケ具合を見てると頭が狂いそうになってきます。

話はちょっと変わるけど、近い将来に商法改正により外国企業も株式交換で日本企業の買収が可能になる事から、経団連も敵対的買収に関して神経を尖らせているようで、最近テレビを見てると奥田経団連会長も、

「金さえあれば何でも出来るというのはマズイ」

いやはや、、、、いっそのこと株式市場を閉鎖して、大相撲の「年寄り株」みたいなのにすればいいんじゃないかしらん。「お前には売ってやらん」なんてね。

February 13, 2005

技術の先を読むこと:AT&T買収

ここのところSBCがAT&Tを買収するというニュースが大きく取り上げられてたけど、どれほどの企業でも大きく時代を読み間違えると(そして読み違えたままそれを認めずにアクションが遅れると)アウトになるという当たり前のことを再確認させられたニュースだった。

あれだけの技術力があればワイヤレスなどでも業界をリードできたはずだけど、AT&Tは1984年の分割時にワイヤレスへ進出しないことを決定している。この時のベースになったのがコンサルティング会社のマッキンゼーのレポートだと言われてるけど、その中でマッキンゼーは2000年までのワイヤレス電話の数を100万台以下としていた。もちろん大はずれで実際には7億4,000万台だったんだけどね(AT&Tは1993年にやっと方針転換してMcCawを買収しAT&T Wirelessとした。去年Cingularに売却)。

他にも商用インターネットの幕開けの段階でもAT&Tはその時点でバックボーンを制する機会があったのにまったくの無視に近かった(1970年代にはUUCPを開発し、UNIXの配布をネットワーク上で開始しているにもかかわらずだ。おまけにオープンなコンピュータ・ネットワークのバックボーンの運用を米国政府が20年以上にわたってAT&Tに要請し続けていたにもかかわらずだ)。

まあ、マッキンゼーやAT&Tを後知恵で笑うのは簡単だけどね、先を読むってのは簡単じゃないってことを考えると大事なのは間違いに気付いた段階でどうアクションを取れるかだろう。AT&Tに関しては読みの間違いもあっただろうけど、最大の致命傷は長年にわたる規制産業で動きが遅い官僚的超大組織だったってことじゃないかしらん。煎じ詰めればね。

February 05, 2005

止まらない中国

メールマガジン1月29日配信分。ちょっと遅れましたが一応アップ。

中国の経済拡大が止まらない。中国当局が1月25日に発表したところでは、中国の2004年度のGDP成長率は9.5%と相変わらずの超スピードだった。一連の引締め策により大方は8%台への鈍化を予想していただけに驚いている向きも多いみたい。しかし、なぜにみんなそんなに心配するんでしょ?

参考までに、中国に関する以前の記事はここにあります。
http://www.plateaus.com/econ/blog/archives/000052.html

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
□ 心配の種
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

中国が1978年(だっけ?)に経済開放政策をとって以来のGDPの年間平均成長率は約9.4%とすさまじいものだ。これだけから見れば9.5%の成長は極めてフツーのことに思える。何たって国は広いし、労働力はあり余ってるし、進出する外国企業は長蛇の列をなしているし、これくらい全然ノープロブレムという向きもいるに違いない。

しかし、多くの人が心配しているのは成長のスピードだけじゃない。最も懸念されているのは経済に占める投資の割合と、投資とはコインの表裏の関係にある信用(融資)の拡大だ。

2003年度においては、工場などの固形資産に対する投資はGDPの42%を占めている。2004年にはその比率はもっと増えているに違いない。米国の10%台はもとよりどんな経済もこれだけの急速な資本形成を継続できた例はない。

将来の経済成長は投資に依存するんだから、投資が多いのは悪くないんじゃない?基本的にはそうだけど、これも程度による(比較的高投資の日本の成長力がそれほど高くないのを見ても分かるが)。ケーザイで最初の方にベンキョーすることに「収穫逓減の法則」(どーでもいーが、この日本語どーにかならんのだろうか)ってのがあるが、投資が大きくなればなるほど通常リターンは下がっていく。ある点を超えるとそれ以上の投資は割りに合わなくなるってことだ。もちろん割りに合わない投資を続ければ元手は回収できないってことになる。

まぁそんな事を言わなくても単に生産能力過剰になっている可能性は小さくない。なんたって消費するのと同じくらい工場や生産設備の建設に使っているんである。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
□ 金融の問題
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

その投資を支えているのが外国からの資金流入と中国の貯蓄だ。中国の家計部門は収入の約45%を貯蓄しているが、その貯蓄の大半(3分の2程度)が4大国有銀行に預けられ、この貯蓄の大半が中国の企業(主に国有企業、または国策企業)に低金利で貸し付けられ、企業の投資の源泉となっている。

これらは融資というよりは、国からの助成金に近いという向きもあるくらいだが、過剰投資の原因の1つでもあり(Lenovoだって低金利の融資が無ければ赤字のIBMのPC部門を買収できただろうか?)、当然回収不能のリスクは高い。融資の半分近くが不良債権化しているという説すらあり、これからも現在の投資水準の継続は長期的には困難だと言える。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
□ 中国のジレンマ
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

さて、投資が今の水準で維持不可能だとして、例えば「もうちょっとだけ維持可能な」GDPの30%台に投資が減速するとしたらどうなるか?もしこの減速が短期間で起こった場合は額の大きさから考えて「軟着陸」どころか「地面に激突」に近く、相当のダメージは避
け難い。中国における政権の最重要課題は歴史的に政治的安定にあるから、共産党からすれば急激な減速はなんとしても避け「軟着陸」を果たしたいところだ。

経済を減速させるためには小幅な金利引き上げはあり得るが、金利の引き上げによる減速がどれだけになるか読みにくい上に、対ドルでの為替レートを固定したままの金利上げには限界がある。しかも消費とともに投資の穴を埋める事が期待される輸出のためにも通貨の大幅な切り上げはあまり好ましくない。

ということで、金利、為替レートといった手段はとられても限定的なものにならざるを得ないような気がする。引き続き、中央政府による融資の規制といった手段と、中央の意向に添わず暴走をしている地方幹部の処罰などがメインの手段としてとられるんじゃないかしらん?

投資の伸び率は2004年度は少しではあるが鈍化して25%程度、輸出、消費は堅調な伸びで投資の減速分を凌ぎ、全般としては大きな成長となっている事をみれば「軟着陸」の可能性は十分にある。ただ今まで急発展中の経済で過剰投資、過剰信用創造による急成長とその後の急減速、経済危機を免れた国は少ないと言うことも忘れることはできない。

February 04, 2005

Elizabeth Monroeの英国による中東介入史

"Britain's Moment in the Middle East, 1914-1971"は大分昔の英国の歴史学者のElizabeth Monroeが、イギリスの中東へのかかわりの最初から最後(まぁ、まだ続いているわけですが)までを書いた本だ。残念ながら絶版になってるようだけど、知り合いに貸してもらうことができた。最近の米国の中東へのかかわりを見る上でも色々比較するとアイロニーに満ちている。再版を望みたい本だ。

英国、フランスにとって、中東の石油へのアクセスは歴史的に大きな関心事だったわけだけど、英国、フランスの中東での野心が大きく挫折したのがスエズだ。エジプトのナセルを追放するために、「世界にとって危険なアラブの独裁者を倒す」という名目で英国・フランス軍、そしてイスラエル軍がエジプトに侵攻を試みたんだった。肝心の米国にも参戦を求めたが米国はエジプト侵攻に反対し結局「連合軍」は撤退せざるを得なくなった(ちなみに今回のイラク戦に対するフランスの行動はこれへの仕返しだという向きもある)。

以前(大昔)、フランスの「テル・ケル」誌のフィリップ・ソレルスのインタビューを読んでいると、フランス軍がスエズから撤退しなければならなくなった時、当時フィリップ・ソレルスは学生だったわけなんだけど、フランス国旗が半旗に掲げられた寒い校庭に全員で整列させられて国歌を歌わされたっていう話をしていたのを思い出す(記憶があまり定かじゃないんだけど、こういう話だったと思う)。イラク戦争に対するフランスの反対があんまり信用できなかったのもこんなところがある。あのドビルパン外相も内務大臣に「栄転」したとたん、国内のイスラム系団体をがんがん締め付けてるしね。やれやれ。

  

Advertisement


Recommended

My Weekly Favourites

plateaux's Last.fm Weekly Artists Chart

ABOUT



テクノラティプロフィール