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March 29, 2004

米国経済指標

先週は米国経済に関するいくつかの発表があった。まずは、昨年GDPの最終改訂で明らかになったところでは、昨年第4四半期の米国企業の利益は29%の伸び(1984年以来最高の成長)を記録して、年間では1兆699億ドルという史上最高の膨大な額にのぼった。生産性の伸びは5.4%とこれまた大きな伸びで、賃金上昇の3.6%を大きく上回っている。基本的には、儲けが増えている程に労働者の賃金が増えていないということと、ドル安の影響が大きい(別に輸出がすごく増えたって事じゃなくて、ドル安のおかげで米国企業の海外部門の利益がドル換算すると大きくなったってこと)。

賃金の伸びがそれほどでもないって事で、消費者の意識はイマイチかっていうとそれがそうでもなくって、ミシガン大学の消費者信頼感指数(Consumer Sentimient Index)のデータは大方の予想を裏切って94.4から95.8に上昇している。実質で見た消費支出が増えてないんで、がっかりしてる向きも多いみたいだけど、これは自動車の超低金利ローンなどの販促が例年第1四半期にはあまり行われないせいじゃないかっていう見方がある。

先週発表のトリは、いわゆる「ベージュ・ブック」、地区連銀経済報告だ。雇用に関しては相変わらず低調としながらも、「レイオフの減少と、ゆるやかながら雇用の増加」が見られるとして、一つ前の報告よりもやや明るいトーンとなっている。また、製造業に関しても業績の拡大が続いているとしている。ただ経済の拡大にも関わらず、小売価格は「非常に安定的でゆるやかな上昇」としており、あいかわらずインフレの兆しがみられないとしている。

とゆーことで、当面緩めの金融政策が継続され、不動産などの資産価格は上昇し、消費者はあいかわらずそこそこ楽観的という状態が続きそうな具合ではある(いつまで続くかはわかりませんが)。

March 25, 2004

信用膨張とバブル

国際経済メールマガジン3月25日配信分(第36号):

なぜ信用膨張はバブルを呼ぶのかという問題をウォートンのAllen先生とニューヨーク大のGale先生の理論をダシにして紹介した駄文です。基本的にはPrincipal-Agent問題の定式化といえます。

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国際経済に強くなろう

http://www.plateaus.com/econ/blog/

■ 今回のテーマ:信用膨張とバブル ■

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ウェブでも書いたけど、アメリカでのバブル懸念が広がっている。アメリカで
の前回のバブルはハイテクバブルだったけど、今度は株ばっかりじゃなく、不
動産が結構な高値になっている。資産の価値がどんどん上がってるもんだから
それを背景に新規の借金やら借り換えやらでまた投資資金が増えて資産価格が
また上がるという、どっかで見た光景になっている、っていうんだけど、今回
は信用膨張(つまり貸し借りの膨張)とバブルの関係についてちょっと考えて
みよう。

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□ ニワトリとタマゴか?
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金利が下がると、借金をしやすくなる。そして金利が下がると、投資もしやす
くなる。したがって金利が下がると信用(貸し借り)も実物投資も膨張する。
債券以外の金融資産(株とかね)も比較的魅力的になるから金融投資も膨張し
て資産の価格も上昇する。

例えば年間10円のキャッシュフローのある資産の適正価格は金利10%なら100円
だけど、金利が1%なら1000円になる(1000円以下だとこの資産の方が金利を稼
ぐより有利だから、1000円になってこの有利さが消滅するまではみんなこの資
産を買い上がることになる)。

これは当たり前なんだけど、往々にして金利の低下(や経済成長とか)で合理
的に説明できる以上に、資産の価格がはるかに上がっちゃうことが時々おこる。
さっきの例で言えば、この資産の価格が2000円にも3000円にもなっちゃう事が
あるが、これが俗にいう「バブル」だ。

企業なんかの場合は将来のキャッシュフローはまあ当たるも八卦ってとこがあ
るから、株の場合はさっきの例みたいには簡単にはいかないけど、どう転んで
も将来的にキャッシュフローが倍になりそうになくても平気で株価が倍になっ
ちゃったりする事があるわけだ。で、その購入資金が借金だったりすると、信
用量も金利で合理的に説明できる以上に増える事になる。

さて、信用が膨張して、資産価格がバブルっぽくなってくると、新聞なんかで
は「余った金が行き場を失ってXX市場に流れ込んで価格急騰」なんて感じで良
く書いたりするけど、これだと貸し借りでお金が増えてバブルになるって感じ
だ(まあお金が増えた分の裏には借金が増えてるんだから別に「余ってる」ワ
ケじゃないんだろうけどね)。

また、ケーザイ学者なんかの論法では、何らかの理由で資産の価格が上昇し続
ける、あるいはなんらかの理由で資産の適正価格が実際よりもっと上にあると
人々が思っちゃったりして、どんどん投資を行う。投資のリターンに対してみ
んな強気だから(金利が低くてやりやすい)借金をしまくりその結果信用も膨
張する。「何らかの理由」ってのは「根拠無き熱狂」だったりするんだけど、
これだとバブルがあって信用が増えるってカンジになるね。

とゆーことで、「信用の膨張」と「バブル」ってのはニワトリとタマゴみたい
なカンジだけど、「金あまり」とか「根拠無き熱狂」ってのにあんまり感心し
なかったのがウォートンスクールのアレンとニューヨーク大のゲイルの両先生
だ。先生たちによると、「信用の膨張があると必ずバブルになる」。なんで?

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□ 他人のお金は使いやすい
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両先生の論点は非常に簡単だ。たとえばあなたが今10億円もってるとしよう。
ある資産があって、50%の確率で12億円、50%の確率で8億円になるとする。
もしあなたがリスク中立なら(ケーザイ学用語だ。まぁ無理してリスクをとら
ないし、非常にリスクを怖れるわけでもないって事)、あんまり無理して購入
しようとは思わないだろう。

さて、今度はあなたは一文無しだとする。奇特な人がいて10億円貸してくれた
とする(話を簡単にするため金利はゼロとしよう)。今度は全く同じ資産でも、
50%の確率であなたには2億円はいる(12億で資産を売り払って元金の10億円を
返すからね)。50%の確率であなたは破産して1文無しになる(貸した人はもち
ろん残った資産を差し押さえる)。

この場合はもちろん合理的な人間なら購入した方が有利ってことになる。最初
のケースでは資産の適正価格は10億円だが、次のケースでは借金して買う人に
とっての資産の適正価格は11億円となる。したがって、借金によりファイナン
スされる場合は、「合理的に」バブルが発生する。

この例はもちろん極端に簡略化されている(例えば破産のコストだとか貸した
人が実はすごくコワイ人であとでコワイ目にあうなんて事は考えてない)。し
かし、例えばこれが「あなた」ではなくて企業だったりしたらどうだろう?実
際このような企業による投資を山ほど見たのではないだろうか?失敗しても倒
産はまずないし、倒産すればそれはその時なんてね。ペイオフ以前の銀行にい
たっては、借りたお金(つまり貯金)を返せなくても政府がかわりに保証して
くれると言うオマケまでついていたんだった。

平たく言えば投資を決定する主体にとっての損得と、実際上の損得が一致しな
い場合、必然的に、又、合理的にバブルが発生し得る。って事なんだけど、借
り手と貸し手の損得は上で見たみたいに基本的に異なるから、信用が膨張して
る(つまり借金してる連中が一杯モノを買ってる)っていう状態は「必然的に」
バブルになるってワケ。

これは基本的にスティグリッツ先生なんかがずっと言ってる、モラルハザード
による市場の非効率性の定式化と言える。

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□ 政策的手段
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バブルに対する政策的手段ってのはいろいろ議論の種になってきた。一つは規
制(prudential regulation)によるもので、例えば上の資産の例で言うと、10億
借りて投資するなり貸し出しなりする場合は2億円の自己資金をもってないとダ
メってゆーような規制だ。

この場合は投資で穴あけた場合も自分のお金を出して補填しないといけないか
ら、上の例で見た、損得で見た資産の適正価格は10億円となってバブルは生じ
ない。ちょっとエリアは違うけどBISの銀行に対する自己資本規制も良く似た
コンセプトだと言える。ただ、企業で言えば自己資金は株主資本になるけど、
株主が大損しても企業のマネージャーが(個人的に)大損するとは限らないか
ら、これでは「損得の不一致」は完全には無くならない。

あとは、バブルっぽくなってきたら、中央銀行は早めに金利をあげて対応しろ
ってのもあるけど、これはウェブログでも書いたけど、「言うは易し、行うは
ナントカ」ってカンジで結構むつかしい(興味があったらblogの方を見て下さ
い)。

最後は、連銀のグリーンスパン流の「バブルには中銀は手出ししない(口は出
してもね)」ってやつだ。バブルがつぶれた時に市場にお金をばらまいてバブ
ルが崩壊した痛みを和らげるしか、バブルに対して中央銀行が出来る事はない
ってカンジだけど、上で言ったように信用の膨張はバブルを呼ぶから、最悪の
場合は中央銀行がお金を出回らせる、と投資家が判断した場合は次のバブルが
すぐ起こるってことになってこれも痛し痒しだ。とゆーことで、バブルに効く
特効薬とゆーのは今のところナイ。

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□ おまけ
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簡単にしすぎてAllen, Gale両先生にご迷惑をかけるといけないんで、参考文献
をあげておきます。Googleなんかで検索すればPDFで手に入るものもあると思い
ます。

Allen, F. and Gale, D. (1999).
  ‘Bubbles, Crises, and Policy’
   Oxford Review of Economic Policy, vol.15, No.3 pp.9-18

Allen, F. and Gale, D. (2000).
  ‘Bubbles and Crises’
   The Economic Journal, vol.110 pp. 235-255

Allen, F. and Gale, D. (2002).
  ‘Asset Price Bubbles and Stock Market Interlinkages’
   Center for Financial Institutions Working Papers,
   Wharton School Center for Financial Institutions,
   University of Pennsylvania

March 17, 2004

アメリカのバブル懸念とアラン

アメリカで大規模なバブルが進行中という懸念が広がっている。それとともに金利をそろそろ上げないと、最後には強烈な調整になるという論調も目立ってきている(モルガン・スタンレーのStephen Roachとか、英国のThe Economistとか最近ではNew York Timesまで)。2000年以来、パブリックセクターと民間をあわせて借金は6.5兆ドル(!)増加しており、消費者は不動産の値上がり等を背景に借金まみれになりつつ消費(と投資)を続けている(昨年1年で家計の借金は9000億ドル増加している)。

アメリカ経済は1999-2000年のハイテクバブルの崩壊をそれほど傷を負わずに切り抜けたけど、これはもちろん大規模な財政出動と金融緩和によるものだ(連銀の連中は日本のバブル崩壊に関しては相当研究していた)。ただこれが結局、不動産などのバブルを呼び起こした、ってのが大方の主張だ。

では、連銀は早期に金利を上げるだろうか?その答えはたぶんノーだ。経済があるていどバブル化してるのはたぶん確かだけど、今までの発言を見る限りアラン・グリーンスパンは金利引き上げによるバブル抑止は適切な政策ではないと考えているフシがある。つまり、バブルが崩壊した後、大規模な流動性を市場に注入して崩壊のダメージを和らげるのが中央銀行の役割であって、中央銀行は資産価格の上昇に対して金利政策で対応すべきじゃないって事(ただいまや金融政策は相当ゆるんでるからバブルがつぶれたらどーすんのってゆー意見も多いけどね)。

で、これが妥当かどうかって事になると、意見がわかれるとこだ。米連銀でもBernankeとかは大昔から、最近では欧州のセントラルバンカーの多くも資産価格の異常な上昇に対しては中央銀行が早期に金利政策で対応すべし、という主張をしている。バブルが崩壊した時の経済的ダメージを考えれば、まぁ、一見まっとうなように見えるけど、これはお利口さんたちが考えるほど簡単なモンじゃない。

一般的に言えば、資産価格は経済のファンダメンタルがあがっても上昇するし、バブルでも上昇する。それに資産価格は株を見ても分かるように、将来の価格を先取りする(今500円のモンでも将来1000円の価値になると分かったとたんに1000円になる)。で、中央銀行の連中にとっても資産価格の上昇のどれだけがバブルでどれだけがファンダメンタルに基づくものなのかを見分けるのは結構難題だ。つまり、資産の(将来の)適正価格に関して中央銀行が判断し得るか(そして判断してその結果金利スタンスまでを変更するべきか)どうかっていう問題になると、誰も単純には答えられない(金利政策は資産価格だけじゃなくて経済の隅々にまで影響を及ぼすしね)。それに経済にあんまり口をはさむと先人が苦労して確立した中央銀行の独立性にまで火の粉がふりかかる可能性もある。

あと、低金利は長期的な経済成長に関して必ずしもプラスではないって事は以前のメールマガジンでも書いたけど、低金利が合理化されるケースがひとつある。それは経済成長があんまりにも遅くって雇用等の経済資源の利用が低調な時だ。つまり、リスクの割にリターンが低くっても、(失業とかで)資源が完全に遊んじゃうよりはマシでしょっていえるときだ(低いリターンでもゼロよりましってこと)。現在のアメリカがこれにあてはまるかどうかもこれまた議論のわかれるとこだけど、少なくとも雇用とインフレ率を見る限りは、金利を近い将来上げるっていうスタンスに変える程ではないんじゃないかしらん。でも投資には気をつけてね(ウォーレン・バフェットなんかも、今はなんでもかんでも高すぎてとても買う気にならんなんて言ってる)。

March 10, 2004

アメリカのサービス産業労働市場動向ー明日は我が身か?

アメリカでの雇用はサービス産業でさえ、ここのところ伸びが低いけど、理由として良くあげられてるものの一つに(ブッシュの政策を除いて言えば)、ITによる生産性の向上がある。つまり、ITのおかげで(せいで)昔より少ない人数で昔と同じ仕事ができちゃうって理由だ。そこでBLSのデータから、どんな仕事がふえて、どんな仕事が減ってるのかちょっと見てみた(けっこうヒマ人?)。アメリカで起こってる事は結構時間差をおいて日本でもおこるんで、どんな傾向なのか興味のあるとこだ。2003年2月から2004年の2月の1年間の雇用の増減をアメリカの主要サービス産業に関して見ると下のようになる。

卸売・商業  -21,000
小売り +24,000
運輸・倉庫 -56,000
ユーティリティー(電力・ガスなど)-5,000
通信 -52,000
情報(通信以外) -17,000
金融 +54,000
プロフェッショナル、ビジネスサービス +253,000
教育・医療サービス +291,000
娯楽 +86,000

ふーむ。たしかにシステム化で効率化できそうな仕事は減ってるとゆー見方も出来る。プロフェッショナル、ビジネス・サービスってのは、IT関係、法律、広告、エンジニアリング、コンサルティング、会計などなどのサービスだが、たしかに医療、教育と同様システム化で人減らししてどーこーという仕事じゃなさそうに見える。オフショアリングでインドとかにサービス関係(システム開発やら、遠隔医療やら)の仕事が流出してると騒がれてるけど、数字で見る限り全体としてこの手のサービスのアメリカにおける雇用は伸びてるってのがわかる。たぶんこの手の傾向は日本でもあきらかになってくるだろう(もうなってるかしら?)。

March 09, 2004

ドイツも日本病?

メールマガジン3月9日配信分(第35号):

ドイツ経済が振るわないといわれだして早10年にもなろうとしています。ドイツ統一のせいだとか、高福祉のせいだとか、労働市場の柔軟性が無いからだとか、いろいろ言われていますが、最近はやってきたのが、「低資本コストによる恒常的低リターン体質」論です。これって日本に似てる??

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■ 今回のテーマ:ドイツは日本病??? ■
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ドイツ経済がふるわない。どれくらいふるわないかとゆーと、購買力平価ベー
ス(名目の金額じゃなくってその金額でどれくらいのモノが買えるかってゆー
購買力のベース)で、ドイツの一人あたりのGDPはとうとうEUの平均を下回って
しまった(ほんの20年くらい前は平均より20%も高かった)。

EU15カ国の中で一人当たりの所得でドイツより低いのはいまや4カ国しかない。
日本経済のバブル後の不振は「スキャンダル」とまで言われてたけど、それに
勝るとも劣らない不振ぶりといえる。

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□ 東ドイツが悪いのか?
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ドイツ経済のケチのつけはじめは1990年の東西ドイツ統合だ。統合でドイツの
一人当たりGDPは一気に下がる事になったんだけど、それでもEU平均よりは9%
は高かった。それ以降のドイツの経済成長率は平均して年1.4%と、日本を東の
横綱(もちろん不振の)とすると、まさしく西の横綱といえるひどさだ。日本
はとうとう2003年暦年ベースでプラス2.7%と超低空飛行からおさらばしそう
だけど、ドイツは1%以下の伸びでこのままだと一人横綱となってしまいそう
な勢いだ。

これだけ続くと、東ドイツのせいとばっかリは言えなくなってくる。もともと
東ドイツの経済規模は西ドイツに比較すれば小さいものだったしね。ドイツ経
済の問題としてよく言われてるのは、高水準の労働者コスト、高い税金、高福
祉コスト、おまけに硬直的な労働市場などがあげられてるけど、これらは多か
れ少なかれ(結構好調だったりする)他のヨーロッパ諸国と共通してることだ。
じゃあ、一体ドイツのナニが悪いのか??

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□ 安い資金が諸悪の根源??
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そこで最近言われてるのが、歴史的に見て他国と比較して安かったドイツの資
本コストが問題だという見方だ。ひらたくいうと、ドイツでは企業が他国と比
較して安い金利で資金を調達できたのが問題だってこと。

ちょっと待って、と言いたい人もいっぱいいるだろう。資金調達コストが安け
れば、企業はいっぱい投資するし(投資リターンが低くっても、投資コストが
低けりゃ利益が出るでしょ)、投資が多ければ資本集積が進んで結局長期的な
成長率は上がるんじゃない?

実際こう考えて、政策的に戦略的産業分野に対して、資金調達コストを下げよ
うとした国も多いし、日本のかつての高成長は企業が低コストで資金を調達で
きたからだっていう論調も(昔は)多かった。しかしここが問題のポイントだ
と考える向きも多い。

つまり、資金調達コストが低いと、低リターンのプロジェクトにも多くの資金
が使われる事になる。そして現在行われる投資の生産性が将来の経済の生産性
を決定つけると考えるならば、低リターンの投資を多く行う経済は必然的に長
期的には低成長の経済となる。資金調達コストが高ければリターンの低い投資
は割に合わないから必然的に集積される資本の生産性は高くなる(まぁ真偽は
さておいて、ここらへんが「人為的に金利を抑えるのは良くない」ってゆー、
ここ20年くらい勢いの良い、金融自由化論者たちの論拠のひとつでもある)。

さて、間接金融が主流で、しかも国有金融機関の強いドイツでは確かに、英米
型経済に対して資金調達コストは安かった。さてリターンの方はと言うとこれ
また、Return on Capital (資本に対する利益の割合)で見ると、ドイツ企業
の平均はここ10年一貫して5%を切っている。米国企業、他の欧州の企業が平
均して10%以上のリターンを出しているのと比べると、明らかに無駄な投資が
多い(そして長期的な経済の生産性を損なってきた)といえる。

そして、今やより透明で競争的な金融政策を目指す欧州委員会が、国有金融機
関に対する国家による保証を「非競争的」として将来的に排除する事を決定し、
また、投資家も銀行に対する投資により多くのリターンを要求するようになり、
ドイツの資金調達コストは上がりはじめている。低リターンであれ投資が行わ
れている間は将来のリターンはともかく、少なくとも現在の需要を支えること
はできるけど、それすら困難になってきたわけだ。

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□ 経済も日独同盟??
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ここまで書いてみると、どうも日本経済との類似点の多さにいやでも気がつく。
間接金融主導による安い資金調達コストによる、過大な(低リターンの)投資っ
て言う点でね。実際日本企業の資本に対するリターンも(最近はかなり上がっ
てきてるみたいだけど)、歴史的に欧米企業に比べて非常に低かったし、GDPの
うち投資が占める割合も(ドイツと同様)非常に高かったというのはこのメール
マガジンでも以前ふれたとーりだ。

さて、おまけに日本と違うのは、今やEUの一部であるドイツにはつかのまでも
低金利政策をとって痛んだ企業のリストラをやりやすくするっていうオプショ
ンがないってゆー点だ。ドイツの政治家たちは欧州中銀の利下げを強く求めて
きたけど、先日も欧州中銀は金利の現状維持を決めたところだ。日本と同様な
硬直的な労働市場も、資源の再配置を難しくする要因となっている。

とゆーわけで、もしも上がりつつある資金コストが長期的にドイツ経済の生産
性をあげる(かもしれない)としても、それまでには結構キツい道のりになる
んじゃないかと思われる。そしてドイツ経済が大きな位置をしめる欧州経済も
全体としてみれば数字上パッとしないかもしれない。

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□ おまけ
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ただ、ドイツを除く他のヨーロッパ諸国は結構好調だったりする。企業の投資
リターンが米国と同様に高いってのは上にも書いたとーりだけど、一人当たり
のGDPでも過去10年間の平均成長率が2.3%と米国経済を上回っているし、雇用
の伸びも1.3%と米国と同レベルになっている(ちなみにドイツは0.2%)。

日本の成長率が底打ちした(ように見える)今、ますますドイツだけ目立って
しまうワケだ。

March 07, 2004

円安、、、、(風が吹けば桶屋が、、、)

ついこの間まで円高で大騒ぎだったのに、すこし円安に振れてきてる。もちろん政府の大規模な介入もあるけど、基本的には円ドルの関係よりも、ユーロ・ドル間のユーロ安にひきずられている面が大きいような気もする(円高の時と同様にね)。

ユーロ安に関しては、ユーロ圏の経済データがいまいちパッとしないためっていう解説が多いんだけど、どうだろう?一部ではこの間までのユーロ高はイラク戦に反対した欧州に対するアメリカによる「お仕置き」だってな話もあったんだけど(かつてバブル経済の直前に膨大な対米黒字を出してた円が槍玉に挙がったみたいにね)、この話はちょっと面白すぎてすぐには信じがたい(でも面白い)。

どちらにしても、ユーロ安で欧州中銀はますます利下げの理由がなくなり、そーすると欧州経済の牽引車(とゆーかお荷物?)のドイツ経済は引き続き低迷する事になる(かもしれない)。ドイツ経済が低迷すると欧州圏全体の経済はパッとしないから、ユーロがあがる理由はますます無くなる(かもしれない)。そーすると円も?(いやいや、こればっかりはよくわかりませんね)。ドイツ経済に関しては今度の国際経済のメルマガで書いてみようと思ってます。

  

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