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August 04, 2002

誰がために「金」は鳴る

(国際経済に強くなろう)第31号:2002年8月4日発行分

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■ 今回のテーマ:コーポレート・ガバナンス ■
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みなさま、レポート書きのため、またまたごぶさたしてしまいすみませんでした。メールもたくさん有難うございました。私もなんとか生きております。さて、今回のテーマはここ数年非常によく聞く「コーポレート・ガバナンス」(日本語では「企業統治」と訳されてるみたいね)。

どーも会社員が牛肉すり替えたりとかシステムの統合ドジったりとか不埒な事するたびに、この言葉が新聞なんかに出てくるみたいなんだけど、これって「社員が変な事せんようにちゃんと見張っとけ」ってのが「企業統治」なワケ?

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□ 誰がために「金」は鳴る、、、
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「統治」ってゆーくらいだから、「統治者」と「被統治者」がいるわけなんだけど、「企業統治」ってゆー言葉の文脈ではこれは、「株主」と「会社(経営者)」って事になる。

キョーカショ的に言えば企業の所有者は株主ってことになるんだけど(株主にあたる英語 - share holder - を字義通りに訳せば「区分所有者」ってカンジになるでしょ)、企業の所有者が企業(の経営者)をどうやったらうまくコントロール出来るのかってのが「企業統治」なんてしゃれた言葉ができる以前からケッコウ大きな問題になっていたワケなんだ。

現代の巨大化、複雑化した企業では、経営者をはじめ経営・運営に関わっているのは「その道のプロ」になっているのがフツーで、一昔前みたいにオーナー一族がやりくりするってゆー形態ではなくなっている(「所有と経営の分離」なんて言ってるねぇ)。

さて、株主は基本的に投資に対するリターンを最も重視するわけなんだけど、経営者もそうかとゆーと必ずしもそーゆーワケではない。経営者も人の子だから、(儲からなくても)他人と違う事をやってのけたり、(リターンに見合わない)とんでもないリスクをとったり、株主に還元せずに現金をためこんだり、まあいろいろとやってみたいワケだ。

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□ 誰が社長の首に鈴をつけるのか??
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企業のコントロールには大別して英米型(或いはアングロサクソン型)と大陸型(ドイツが代表的)があると言われているけど、今回はまず英米型をベースにして見てみよう。

まず、株主利益の代表として取締役会があり、経営戦略、社長(CEO)等の重要業務執行者の選任や報酬、株主に対する配当など、経営全般に対する監督承認の権限をもっている。取締役は株主総会で株主の承認によって選ばれるってワケで、株主はまず取締役会を通じてカイシャをコントロールする(事になっている)。

そして、企業の所有者としての株主が直接意志をあらわす株主総会がある。取締役の選任や企業合併などの重要事項に関しては総会の承認が必要となる(最近ではコンピューター大手のヒューレット・パッカードとコンパックの合併で賛成派と反対派が熾烈な多数派工作をしていたのが話題になった)。

また、資本市場では事業でのリターンの低い企業や株主への配当性向の低い(つまり利益を株主に配当の形であんまり還元しないってことよん)企業の株価は低迷するから、新規の株式公開で資金を集めるのが困難になるとか、敵対的買収の餌食になりやすくなるとか、基本的に株主・資本市場のプレッシャーにより企業が効率的かつ株主の利益を重視する経営をするってゆーのが英米型のカイシャのコントロールのコンセプトになっている。

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□ ガリバーと小人たち
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さてリクツはともかく実態はどーだったかとゆーと、こっちはあんまりはかばかしいものじゃなかった。なんせ現代の巨大な企業の株主なんて山ほどいて各々の株主の持ち分なんてそれこそタカが知れているうえに、お互い協力しようにも「どーすりゃいーのさ」状態だったワケだ。

それに、株価低迷で買収のリスクが増えるのは確かだけど、買収が簡単に進む企業ってのはもともとかなり問題のある企業であって(つまりあんまり買収するうまみが無いってこと)、買収するうまみのある、実力以上に株価が低い企業ってのは買収にはどんな汚い手を使っても徹底的に対抗するケースが多いから、敵対的買収ってのも企業のコントロールっていう面から言うとそれほど効果的だったとは言えないんだ。

株価が低迷したら株式市場からの新規の資本調達が難しくなるってのも本当だけど、それなりの裏付けがあれば銀行にお願いすればお金は貸してくれるし、利益も(株主に還元せずに)いっぱい内部に溜め込んでるから、「別に困りませーん」とゆーわけだ。

とゆーわけで、英米企業においても20年程前までは株主とゆー小人達はガリバーのような企業に対してそれほど効果的に影響力を発揮できたとは言いがたいんだ。80年代までは経営者はうるさい株主に対して「そんなにワシのやり方が気にくわんのやったら、ワシの会社の株売ってしもたらよろしいやろ」なんてカンジでどっちかってゆーと余裕たっぷりだったんだよん。

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□ ゴジラ登場
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そーゆー状況で、大きな変化は株主構成の変化とともにやってきた。最も象徴的なのは、年金基金(ペンション・ファンド)の表舞台への登場だ。1970年には1700億ドル程度を運用するにすぎなかった年金基金は90年代後半には7兆ドルを超える資金を持ち、そのかなりの部分が株式市場で運用されるにいたった。

保有する株式のリターンによって年金基金加入者に対する支払い義務を果たせるかどうか決まるとゆーだけあって、年金基金、基金の加入者とも企業の経営には超シビアな目を向けるのは当然だし、又、基金の株主としての圧倒的な存在は経営者にプレッシャーをかけるに十分だった(閑話休題:アメリカの労働者は年金基金を通じてだけど、アメリカ企業のかなりの部分を「所有」するにいたったわけで、これは資本主義国家アメリカの大きなアイロニーともいえる)。

90年代に入ると株主の圧力で、ゼネラル・モーターズ、アメックス、ウェスティング・ハウスなどの超大手企業の社長たちがクビになり、IBMは取締役会の社外取締役の数を増やさざるを得なくなり、シアーズは不採算部門から撤退させられた。こーゆー状況の中で経営者は株主の意向を無視できなくなっていったワケだ。筆者の勤めていた会社もフォーチュン100上位のかなりな図体だったけど、社長は取締役会の圧力に耐えかねて辞職せざるを得なかった。

この潮流は当面変わる事は無いだろうし、日本・欧州の企業にも大きな影響を与えていく事になると思うよ。

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□ おまけ
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数カ月前日本の東京スタイルという企業に対して元通産官僚の主宰する投資会社が、社外取締役の選任と配当の大幅な増額を求めて株主動議を出して会社側に敗れたというニュースがあった。

動議の内容自体は非常にマトモであるにもかかわらず、株主総会で多数をとれなかったとゆー事よりは、この持ち合いの多い日本でその動議が40%以上の賛同を得た方が驚きだった。この投資会社はまた同様の試みをするって話だったけど、どこかで90年代初頭の米国の経営者を震撼させたような事が日本でもあるかもしれない。

最近のワールドコムやエンロンの話も書きたかったけど、今回もかなり長くなっちゃったのでここらへんでまたね。いわゆる日本型経営や日本における企業のコントロールに関しては場を改めて書こうと思ってるのでよろしく。

  

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