地球温暖化に関するコペンハーゲン会議が迫っており、どうも国際的合意に悲観的な観測が高まっているようですが(私もやや悲観的ですが)、その理由に関しては少し誤解があるようにも思えます。ということで、少しだけコペンハーゲン会議/合意に関して。
コペンハーゲンに対する悲観論で、米国内でも結構多い誤解に「中国やインドが数値目標に合意できないのに、米国が合意できるはずがない」ってのがあります。
もちろん、昔にも書きましたが、米国ではバード・ヘーゲル決議などもあり、おそらく中国やインドが相当な譲歩をしない限り、どのような条約であっても議会で3分の2の多数による批准はほぼ絶対に不可能です(実際、米国上院は、1991年にUNFCCCを批准して以来、いかなる国際的な環境合意も批准していません)。
しかし、オバマ政権は今回、コペンハーゲンの合意をUNFCCCの下での「実施協定(Implementing Agreement)」の位置付けにするように根回ししており、おそらく合意があってもその形になると思われます。「実施協定」の場合は、各国法の範囲を超えることはないため、オバマの旦那が勝手に署名できるわけです。
というわけで、京都議定書というのは、トップダウンでえいやでターゲットを決めて、後は各国で法制上の実施準備をしたわけですが(そして、もともとそれができるわけがなかった/する気もなかった米国のクリントン政権はドロップアウトしたわけですが)、コペンハーゲンの場合は、各国である程度合意できる線まで交渉して、よいしょと「実施協定」を結ぶという、ボトムアップに近い形になると思われます(いや、なるはずだったと思われます)。
さて、ここで本当の問題ですが、オバマ政権は「ワックスマン-マーキー法案」を通しておけば、表面上の削減目標はそこそこの数字なので、それで国際交渉に臨んで、中国やインドに圧力をかけて、数値目標の約束は無理でもペナルティなしのセクター別メカニズムでも呑ませて、「コペンハーゲン会議の合意という大成功」を宣伝できるという作戦だったと思います。
ところが肝心の「ワックスマン-マーキー法案」(上院では「ケリー-ボクサー法案」ですが)の年内成立がやや怪しくなっているようです。これが成立していない場合には米国はほぼスッポンポンで交渉に臨むことになりますから、すでに一方的に20%削減を表明しているEU(条件付きで30%)を除けば、各国は無理して踏み出す必要もなく、(鳩山首相の25%も条件付きですから、各国の足並みがそろわなければ、その半分や3分の1のオファーでも文句を言われることはないでしょう)、コペンハーゲンでの意味のある合意はムリということになる可能性が高いと思われます。
個人的には「ワックスマン-マーキー」はとんでもない欠陥法案だと思っているので、それでも良いかという気もしないでもないのですが、2012年の京都議定書の失効後の国際体制の合意がないという状況もマズいように思われますので(最終的には何かできるんでしょうが)、痛し痒しというところです。
