Internetのガバナンス?米国による支配はどうなる?
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11月16日から18日にチュニスで、国連のイベントである世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society:WSIS)が開かれますが、インターネットの管理を巡って米国と他国の衝突は必至の様相です。
(11/18/05 - 追記:WSISの初日に、一応米国/ICANNによる管理という現状維持で合意に至ったようです)。
もともと、ドメインなどの管理は米国の非営利組織のICANNが米商務省との契約で行っていますが、まず各国は米国の組織が、しかも米国商務省との契約に基づいてドメインを管理する体制に不満を持っていました。しかも米国政府はICANNに移譲する予定となっていたインターネットのトップドメイン(.jpとか.frとかいうレベルの260程度からなるリスト)の管理をICANNに移譲せず、米国政府が継続して行うと今年7月になって突然発表したため、ますます各国の不満の火に油を注ぐ状態になっていました(ICANNでさえ許せないのに、米国政府が直接などとても許せんということでしょう)。
基本的には中国などは、インターネットのガバナンスを国連のITUのような組織の下の国際的団体で行うことを求めています。各国のメディアなども(米国を除けば)、米国のスタンスを非難する論調が目立っていました。
しかし、実際にWSISが近づいてくると、メディアの中でも実際の影響などに対して真剣になって少し論調が変わってきたものも見られます。最初に私の目に止まったのは、過去においてICANNによる運営に対して強烈な批判を浴びせていた(といってもICANNの米国とのつながりに関する批判ではなく、非効率的な官僚主義に対する批判ですが)英国エコノミストが米国による管理を支持した記事でしたが、最近では各国の言論規制に対して目を光らせている、米国に対しては好意的とは全く言えないフランスの「国境なき記者団」(Reporters sans frontieres)までが、米国によるドメイン管理を支持する立場を表明しています。
私も現状は理想的だとは思いませんが、現在提案されている他の案に比較すればはるかにマシだと言わざるを得ないと考えます。国連のITUのような機関にまかせるべきだという意見もありますが、このような課題の調整に対する国連の今までの無能ぶりを考えるととてもマジな意見とは思えません(ITUの「管轄下」にある世界の電話網の状態を見ればこれは明らかです。国際電話かけるか、電子メール送るか、あるいはメッセンジャーやIP電話使うかというオプションを考えただけでも分かります)。
しかも、「国境なき記者団」が指摘しているように国連による管理を最も支持しているのは中国、キューバ、イランなど、世界で最も言論抑圧的な国々であり、自国国民のインターネットへのアクセスをコントロールしている国々です。国連は人権・言論の自由に関して決して誇れるような実績を持っているわけでもありません。2003年にはリビアが国連の人権委員会の委員長に選ばれたり、大体「世界情報社会サミット」自体を、大統領とその一族がメディアとインターネットへのアクセスに対して完全なコントロールを持っているチュニジアで行うとかいう冗談のようなセンスを見れば、長期的にこのような国連に対する権限委譲がインターネットに対してどのような影響を持つか全く予断を許しません(「国境なき記者団」は「背筋が冷たくなる」と評しています)。
EUが推しているのは、中国などとは立場が違いますが、単純化するとWSISが意思決定プロセスを構築し、民間および政府が関与する新たな多国間のフォーラムを設置し、そこでインターネットの管理を行うというようなものですが、あまりにも曖昧模糊としていて、単にテレビに出てくる評論家の寝言程度の実現性しか考えらず、はっきり言ってマジで考えているとも思えません。
大体ICANNでやっていることはほとんどテクニカルな決定であり(しかも現在ではそこそこ国際的な構成になっており)、政治色が薄いというのが唯一の取り柄みたいなもんです。それを国際政治の渦中に放り込むというのはやはり「poor decision」と言えると思います。最後に「国境なき記者団」のポジションの結びを紹介しておきます。
ICANNが永遠に1つの国(米国)の管理下にあるということを正当化することは困難である。米国はこの点において交渉を行うべきであり、実際、米国はインターネットが民間セクターによって運営されるべきであると提案している。
米国がインターネットを大きな問題もなく構築してきたこと、および米国は概ねオンラインにおける表現の自由を尊重していることは認めなければならない。したがって我々は、政府の干渉を最小限に減少させ、言論の自由が保障されるような、なんとか容認可能な妥協がWSISで成されることを期待する。もしそのような妥協が不可能なのであれば、現状のままの維持が最善の方策である。

コメント
国連が理想の国際機関として機能しなくなったのはいつ頃からなんですかね? 元から機能してないという話もありますが…。
投稿者: wms | November 15, 2005 07:08 AM
悪いお猿が多いと猿山も機能しないという例では・・・
投稿者: くま | November 15, 2005 11:34 AM