FRB次期議長のウワサ
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ブッシュ大統領が「お仲間」のハリエット・マイヤーズを最高裁判事に指名したことから、「ブッシュは連銀議長にもお仲間を指名するんじゃないか」という恐れがささやかれており、NYTなどはジョン・スノーの名前まで出していますが(まさかね、、、いくらなんでも)、最近どうもメールやいろんなところで、そこはかとなく有力候補かもしれないというウワサを聞くのがドナルド・コーン(Donald L. Kohn)連銀理事です。まぁ、この件では根も葉もない(かどうかも判別不能の)噂が良く乱れ飛んでいるので、そのうちの1つかもしれませんが、コーンならば良いと思っている人が結構多いことを表しているような気もします。
もともと、ベン・バーナンキ、マーチン・フェルドスタイン、グレン・ハバードあたりが有力と言われており、ドナルド・コーンは大体4番手か5番手と言われていますが、Bloombergにもコーンの話が載っていたりして(誰が議長になってもコーンが大きい影響を及ぼすだろう、という内容でですが)、偶然なのかもしれませんが、何かウワサのもとがあるのかもしれません。
コーンは長年にわたって(1987年以来)グリーンスパンの右腕中の右腕であり、また同じく長年にわたってFOMCの会議で議論のベースとなる通称"Blue Book"の作成チームのリーダーをしていたこともあり、グリーンスパンのスピーチも書いてるんじゃないかと言われている程の人物です。2人の二人三脚ぶりから今までの連銀の金融政策を「グリーンスパン=コーンの政策」と呼ぶ人も結構います。という意味では、グリーンスパンなき後、最も現在の政策の継続性を保証できる人物とも言えます。
連銀スタッフの間でも信任が高いようで、1996年から2002年まで連銀理事を務めたローレンス・メイヤー(Laurence Meyer)がFRBの内側を書いた「A Term at the Fed: An Insider's View」でも、コーンのことを「常に物静かで思慮深く、FOMCのメンバーが最も頻繁に指針を求めて頼るスタッフ」と書いています。
はっきりと共和党系のグリーンスパンなどと異なりキャリアを通じて政治家とはほとんど関わらず、政治的には完全に中立と見られているためもあってブッシュの指名を受ける可能性は低いと言われていますが、グリーンスパンがブッシュにコーン氏を推しているというような(これも出所の定かではない)噂も飛んでいます。
コーン氏が中央銀行家として、最有力候補のバーナンキと最も異なる点(そして当然のことながらグリーンスパンと最も近い点)は、インフレターゲティングに極めて懐疑的(というよりあからさまに反対)な点で、インフレターゲティングに対する彼の見解を読むと、議論の展開などからも彼が実際極めてシャープな人物であろうことが推察できます。
さて、次期連銀議長候補の中では、バーナンキも一応保守派ですが、ブッシュが好きな(とメディアは信じている)根っから「保守的な価値を信じている」人物かどうかは良くわかりません。フェルドスタインはお墨付きの本流保守派経済学者の大物ですがレーガン時代に大統領経済諮問委員会委員長を務めているときに、財政赤字をこっぴどく非難して共和党から非常に深い恨みを買った「前科」者でもあります。同じく財政赤字を垂れ流しているブッシュとしては避けたいかもしれません。
グレン・ハバードに関しては、元経済諮問委員会委員長で大統領にも近いという点が挙げられます。ブッシュが最高裁判事にジョン・ロバーツ氏を指名したときには、スマートさと「健全で保守的な私生活」と言う共通点を上げて次期連銀議長にはブッシュはハバードを指名するんじゃないかという予測も結構飛んでいました。
一応、大方の見方は依然としてバーナンキ有利、そしてフェルドスタイン、ハバードと続いているようですが、個人的にはドナルド・コーンは米国経済にとって良い選択なのではないかという気もします。
そう言えば、カリフォルア大バークリー校の経済学教授であるブラッド・デロングのブログに昔、面白い記事がのっていました。
アドメトス:ドン・コーンとは誰か?
グラウコン:正当な世界であれば、アラン・グリーンスパンの後継者になり得る人物だ。
アドメトス:では、我々の生きる不当な世界では、誰がアラン・グリーンスパンの後継者になるのか?
グラウコン:そうだな、世界銀行のジム・ウォルフェンソンの後継者がポール・ウォルフォウィッツである世界では、アラン・グリーンスパンの後継者は明らかに一人しかいない。ドナルド・ラムズフェルドだ。
ところで、文中で紹介したローレンス・メイヤーの本は、連銀での政策決定の内幕を一理事の立場から描いたもので、連銀の政策意思決定に興味のある人には面白い本だと思います。
